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愛の歌  作者: Dust
2章
37/184

35話

深夜。

客室の縁側で黒い髪がなびいている。

「・・・起きてたんだな。」

「・・・・・・うん。」

やってきた舜の問いに黒髪の少女、怜奈が答える。

「・・・隊長は寝ないの?」

「酔い覚まし。」

結局あの後、色んな人と話しながら酒を飲み続けた。

舜は縁側に座る。

「・・・大変だったね。」

「そうだな・・・。」

「「愛花のせいで。」」

1番酒を注いできたのが愛花だった。

というか飲んだ7割ぐらいは愛花が入れた酒だった。

「まあ、ずっと飲ませてきたことを怒る気にはなれないんだけどね。」

「・・・はい、これ。」

怜奈はどこからかコップを取り出し、渡す。

「ん、ありがとう・・・ゴフッ!?」

むせる。

「・・・めちゃくちゃ強い酒だから一気は危ないよ。」

「水をくれ。五臓六腑を癒す水をくれ。」

怜奈がクスクスと笑う。


舜はその横顔を眺めてから月を見て、チビチビと酒を飲む。

「少し、話さない?」

「・・・ええ、喜んで。」

怜奈は舜の横に座る。

「怜奈は俺の事知ってたんだよね?聞きたいな。」

「・・・ごめんなさい、それはまだ、言えない。」

「言えない?」

怜奈の表情からは何も読み取れない。

「・・・でも1つだけ。・・・大事な時はその眼を使って。」

「・・・使う?」

舜は首を傾げる。

「・・・メガネを外すだけでいい。」

「分かった。・・・言える時が来たらその時また話して欲しいな。」

「・・・うん。・・・ごめん。」

残った酒を一気にあおる。

怜奈は間髪入れずにまた注ぐ。


「・・・・・・。」

怜奈は少し誇らしげにこちらを見ている。

舜は仕方なく飲んで―

「今度は水だ。」

「・・・ふふ。」

困惑した舜を怜奈が笑う。

「そういえばいつまで隊長呼びなの?」

「・・・キャラ付け。・・・呼び方でこのセリフが私なの分かりやすい。」

「メタいな・・・。」

舜は伸びをする。

「・・・・・・明日が来るのが嫌だな。多分厄介事に巻き込まれる。」

「・・・そうだね。」


呼ばれた理由。それは戦闘力として見られてるのだろうな、と舜は静かに目を瞑る。

「巻き込みたくないな・・・。」

ポツリとつぶやく。

「そう思ってたんでしょ、愛花。」

影からそろそろと愛花が出てくる。

「・・・聞いてたのバレてたんですね。どうしてそう思ったんですか?」

「手紙、渡し忘れたってのがまずらしくない。不器用だけどそういうところはしっかりしてるし。ほんと不器用だけど。」

「一言余計ですよ。」

ムッと愛花がする。

「後はあからさまなヤケ酒。・・・それと周りが俺にその話をさせないよう傍にいてずっと酒を注いでた。」


怒る気になれないと言った理由だった。

愛花が不器用ながらも舜を戦いから遠ざけようとしていたのが分かったから。

「だって・・・!痛い思いも、悲しい思いも、苦しい思いも散々してきたじゃないですか!これ以上・・・!」

愛花はギュッと自分の左腕を右腕で掴み、涙をこらえる。

「この国はいい国だよ。きっと断っても居るのを許してくれるぐらいには。」

舜は水を飲み干す。

「だからこそ困ってるなら、力になれるならなりたいんだ。」

「・・・分かってましたよそう言うのは。でも・・・これ以上傷ついて欲しくない・・・!」

我慢していた涙がポロポロと落ちた。


「大丈夫だよ愛花。・・・俺が戦うって言ったら2人とも付いてきそうだし。」

「・・・もちろん。」

愛花もこくんと頷く。

「俺も巻き込みたくないって思うからさ・・・。例えば兵士を鍛えるとか直接戦闘以外にも方法はあると思うんだ。だから、ね?」

「・・・うん。」

愛花が落ち着いたのを見届けて。

「さあて、怜奈さん最後に一杯酒ちょうだい。」

怜奈はこくんと頷いて同じ水筒から酒を注ぐ。

舜はそれを一気に飲み―

「さあ、寝ま・・・おろ?」

クラりとする。

「ちょ、舜兄!」

「・・・・・・あっ。・・・さっきより強い酒入れちゃった。」

舜は2人に支えられる。

「怜奈ちゃん、ちなみにその酒は何度?」

「・・・96。」

「スピリタス!?舜兄しっかりして!舜兄ーー!!!」

薄れ行く意識の中、やっぱりこうやってワーキャーしてるのが楽しいなと舜は思っていた。

漣「漣ちゃんだよ!」

雪「雪乃です。」

漣「今回の話、最初に考えてた内容からどんどん書いてるうちに変わったみたいだよ。」

雪「愛花ちゃんが出る予定なかったみたい。」

漣「結構こうやって変わるらしいけど、ちゃんと想定したエンディングに辿り着くのかな。」

雪「あ、別エンディングが最近出来上がったらしいよ。」

漣「既に手遅れ!?」

雪「それではまた次回。」

漣「みてねー!」

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