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愛の歌  作者: Dust
2章
32/230

31話

「・・・てんま?」

図書館で魔力者についての本を片っ端から読み漁っていた舜は聞き慣れない単語を読み上げる?

「纏魔ですか?」

同じく本を読み漁っていた愛花が顔を上げる。

「知ってるの?」

「知ってるというか・・・まあ、ええ、知っていますけど・・・。」

愛花は口ごもる。

(・・・?・・・まあいいか。)

舜はその本を置く。


他の内容が全体的に胡散臭かった。

その本の中には様々な事が書いてあったが最も引っかかったのは1000年前から魔力があったとしてる事。

なら何故、今になって人がそれを使えるようになったのか、そもそも人が使えるようになるまで存在が知られてないのは何故なのか―

その説明は無かった。だから信じにくい。

(だけど―信じにくいだけで絶対に違うと反論するだけのものもない。)

もしかしたら他の本がきっかけで肯定や否定が出来るかもしれない―。

次の本を舜は手に取った。


始祖十賢人

始まりは隕石だった。

魔力―当時は病と思われたそれは感染した子供たちだけを死に追いやった。

死体はまるで内側から何かが破裂したかのような見た目であり、様々な観点から研究されたがそれが何故なのかは解明されなかった。

そんな中、ある日生き延びた子供が現れた。

その子供は解明されなかった魔力を使いこなしてみせた。


(・・・。)

舜はページをめくっていく。



10人の魔力者が集まったのは偶然か必然か。

悪魔の病に勝っただけならともかく、その悪魔の力を使えてしまった。

それは人々を恐怖させ、彼らを孤立させるには十分であった。

集まった10人はようやく孤独から解放された。だがそれも時間の問題だった。


(・・・・・・。)

舜の手の進みが遅くなった。

破れたり黒く塗られたりで読めない部分が多い。


10人の魔力者は隕石と戦い、8人が犠牲になった。


(なんで隕石と戦ってるんだ・・・?隕石が戦うって何?)

最後のページには血のようなもので何かが書き加えられていた。

こ は誰か に たい

僕は の 陸 験に 力 る


(書いてる文字全部は読み取れないな・・・。)

ふぅと息をつく。

気が付けば外は橙色に染まっていた。

「・・・愛花、そろそろ帰ろうか。」

舜は立ち上がり重ねてた本を戻しに行く。

「はーい。」

愛花は両手を差し出し、手伝う意思を見せる。

愛花に1部本を渡して一緒に元の場所へ戻す。

「・・・。」

ふと横を見ると愛花は必死に背伸びをして腕を伸ばしている。


「・・・。」

「いや何見守ってるんですか手伝ってくださいよ。」

「いいの?負けじゃない?」

「なにおう!届かせてみせようじゃないか!」

また愛花はプルプルと腕を伸ばす。

舜は自分の手元のを全て戻し終えると愛花の手の本を取り上げ、片付けた。

「むー、もうちょっとだったのに。」

「タイムオーバーだよ、それより夕ご飯どうしようか。」

「・・・2人で食べに行きます?」

行きたいの?―とおちょくろうとしてやめた。

愛花の横顔は真剣だった。

(さっきの、纏魔?について何か話したいのかな?)

「・・・うん、分かった。いい感じのお店あるかな?」



「ピッツァ!スパゲティ!」

愛花は目の前の料理にキャッキャとはしゃぐ。

「ピザってそういえば作った事ないなぁ。」

(パンと同じくイースト菌で発酵とかさせるのかな?)

少し作り方を考える舜に愛花は不敵に笑いかける。

「ふっふっふ!舜兄!ピッツァ!NOザ!ピッッッツァ!」

「テンション高いな・・・。」

「うざかわ系も狙っちゃうぞ!って事で。」

2人は楽しく会話を続ける。


(真剣な顔してたけれど、特に大事そうな話はしないな。気の所為か・・・はたまた切り出しにくいか。)

もし切り出しにくいなら、そう少し考えて。

「そうだ、今日の昼入ってたから知ってるとは思うけれど、基本的に居る時は部屋はいつでも鍵開けてるから好きな時に来ていいよ。」

「へ?・・・へ?えっと・・・。」

愛花は意図を読み取ろうと舜の目をじっと見る。

「お酒はある程度あるかな、後は本と―将棋とオセロと囲碁辺りは出来る。」

「・・・へぇ、この愛花ちゃん相手にそういう系の誘っちゃいますか。特に将棋は自信ありますよ?」

他意は無いのが分かると愛花はすぐに表情を戻した。


その日の夜。

(部屋の前まで来てみたけれど・・・やっぱ緊張するなー!・・・でもローグを倒してくれるヒーロー―憧れだったあの人とこんなすぐ近くで冗談言い合える仲なんて。)

愛花は決心してドアをノックする。

「はーい。いらっしゃい。・・・将棋打つ?」

「ええ!そのつもりですとも!」


「愛花は自信あるみたいだけど俺はルール知ってる程度だから玉―先手を貰うよ。」

「いいんですか?角落ちぐらいならサービスしますけど。」

「まあお互いの実力差分かってないしとりあえずね。」

(まあ・・・序盤は攻め手を緩めてあげましょうかね。最初に動かしたのは飛車を玉の前、角道空けたり飛車の前の歩を動かしたりとかはしない・・・と。)

愛花も自分の手を打つ。

「そういえば、また俺が知らないだけかもだけどさ。纏魔って何なの?」

気になっていた事を向こうが切り出すか待っていた舜はついに自分から聞いた。


「魔力を纏って戦える人がごくごく1部にいるんですよ。その状態を纏魔って言うんです。」

その間にも戦況は動いていく。

「愛花は出来るの?」

「・・・・・・・・・ええ、一応。」

舜は愛花の表情を見る。

答えに詰まったのは話の内容か、将棋の内容か―。

「なるほど、振り飛車穴熊ですね。」

「ん、1番形覚えやすかったからね。愛花のは美濃囲い?」

「ええ、高くしたりとか色々ある囲いですけれどこれは基本に忠実なやつです。」


戦局は終始愛花リードで進んでいく。

「穴熊の攻め方はいくつかありますけど―基本的に守りに再利用されにくい歩とかを犠牲にしつつ剥がしていくんですよ。」

「へぇ・・・美濃囲いの攻め方は?」

「基本は・・・この対局の後に教えますね。」

「ボロ出してくれないかぁ。」


「・・・王手。詰みです。」

「参りました。強い言うだけあるわ。」

「いえ・・・。」

(穴熊だったはずなのに―玉に思ったより逃げられた。まだ未熟な手も多いけれど私は今の1局に―神の手を感じた!)

「続きそうな感じ出してるけど多分将棋は今回だけの1発ネタだと思うよ愛花。」

「ですよねー。」

舜は少し伸びをする。

「でもそっか。纏魔かぁ。俺も使えるようになるのかな。利点とかはよく分かってないけれど。」

「なれますよ、きっと。」

「聞くこと聞いたし・・・飲む?」

こうして夜は明けていった。

1ヵ月ぶりです。

1ヶ月前も1ヶ月ぶりでしたね・・・。

頻度をあげたいのですが・・・最近忙しくて・・・。

ただ久しぶりに書いたら続きの言葉が出てこないなぁとなったのである程度の頻度を保ちたいですね。


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