23話
いつからだろう
輝いてた未来は見えなくなり無色の道を歩き始めたのは
いつからだろう
諦めという名の心を殺して過ごさなくちゃ行けなくなったのは
怜奈
「さて、これからの話だけど。」
空き家を勝手に借りて舜たちは作戦会議をしていた。
「まずは仲間を増やしたい。クロムをこのままほっときたくはないけどこの人数じゃどうしようもない。」
「・・・クロムに仕掛けるの?」
怜奈が聞く。
「クロムがアウナリトに仕掛けて戦になってる所を後ろからドカン!その功績でみんな無罪で帰る!とか期待してたり。」
「いやぁ、逃げた方がいいよー舜様。」
「そっかぁ・・・あれ?」
後ろからの声に振り返る。
「・・・情報屋さん、もう場所バレてるんだ。」
「ええ、まあ。プロですし?」
背後に立つ金髪の女性、エリがそこにはいた。
「とりあえず全員デバイス変えた方がいいよ。ほら、これ。今までのやつは処分したげる。」
エリがぽんと3つ出す。
「準備がいいな・・・。」
「こんな危険だなんて思ってなかったけれど・・・私の依頼でこうなった訳だし少しはサービスするよ。・・・というか怒ってない?」
「行くって決めたのはこっちだし。で今回知った事なんだけど・・・・・・。」
舜とエリは情報の共有をする。
「クロムと戦うのはやめた方がいいと思うけど・・・どうしてもって言うなら仲間増やしのおすすめの場所教えてあげる。」
エリはデバイスからマップを開く。
「ほら、ここの山。ここさ、竜族が住んでるんだ。」
「・・・・・・竜・・・族・・・?」
エリと愛花はえっと驚いたような顔をする。
「舜兄、世間知らずですね。ではこの愛花ちゃんが教えてあげよう!」
「よろしくお願いします!愛花先生!」
舜は元気よく愛花に頭を下げた。
「といっても・・・そんな大層なものじゃないんですけどね。竜の血が流れ、竜に変身できる種族ですよ。まあ魔族がちょこちょこ魔界からこの世界に来てますから。住み着いたのは珍しいですけど。」
「・・・魔族?魔界?」
舜はキョトンとしている。
「・・・・・・王族では教えてないんですか?まあまだ確かに魔界関連は不明な点は多いですけど。とりあえず私たちとは別世界の魔力を持った種族です。何となく名前聞いてイメージしたまんまだと思っていただいて。」
舜は前に戦った鎧の化け物とそれを生み出してたスライムを思い出してあんな感じかと納得する。
「後は・・・都合よく協力してくれる人がいるかかな。それはもう行き当たりばったりか。」
現在地から竜の里まで地図で経路を見る。
一日では着かなさそうだ。となると間にある村に一旦お世話になれないだろうか。
この治安上、あまり外部の人間を受け入れる体制は無いだろうが・・・。
「・・・竜の里、耐えられるかな。」
舜がそんな事を考えてると怜奈がポツリと呟いた。
「耐えられる?って何が?」
「・・・あそこ、魔力の密度、高い。・・・高すぎると、危ない。」
怜奈は言葉をどう紡ごうか選びながら答える。
「・・・ちなみにどういう人なら高密度に耐えやすいの?」
「・・・魔力高い人。」
「となると不安は俺だけか・・・。」
舜は2人の魔力の高さは身をもって知っている。
「・・・隊長
「舜兄 は大丈夫。」」」
「君
「・・・・・・そうなの?」
「・・・隊長ほど体内の魔力操作上手い人いないし・・・それが出来れば平気。」
「じゃあ誰も不安ない・・・かな?」
「・・・分からない。・・・でもまあ、大丈夫そうかも。・・・今の私でも。」
怜奈ははっきりとは答えきらなかった。
「それじゃ、私は行くわ。また会いましょ。」
エリはそうとだけ言うと去っていった。
「また・・・か。」
クロムに挑んだ後。生還出来れば会う可能性はある。
無論負けるつもりで挑む気は無い。勝てる算段がついてから挑みたい。
ただクロムに挑む理由に、復讐だけではなくアウナリトに攻め込ませないためが加わっていた。
平和なあの町を壊させたくはない。
たとえ相討とうが止めてみせる。
そう舜は考えていた。
作戦会議を終えた後、とりあえず竜の里の間にある村へと舜達は向かう。
「・・・向こうが騒がしいですね?」
その道中で罵声が聞こえてくる。
「・・・今目立つのは避けたいけれど。」
だがしかし。誰かが被害に遭うのをほっとけるような人間ではなかった。
「・・・行ってくる!」
結局躊躇の間もなく走り出していた。
それは綺麗な淡い水色の髪をしたセミロングの少女が中心であった。
その水色の髪の少女は眠っているかのように静かで動かない。
そしてその周りには氷が張り巡らせてあり、それを砕こうとしてる3人の人間がいる。
「何してる?」
舜は状況を把握しようと声をかける。
眼では3人は歪み、その水色の髪の少女は歪んではいない。いないがいまいち今の眼を信用出来ない。
「ちっ、人が来たぜ。3人か、一人一殺だ。」
「敵対するんだ・・・そう。」
舜は構え・・・刹那、怜奈が1人殺り、愛花が魔弾で2人まとめて倒した。
「一人一殺、出来ずしまい・・・かぁ。」
役に立てず少ししょぼくれる舜だったが氷に近づいて行く。
「・・・なんだろ、何か・・・不思議な。」
舜が氷に触れるとパリンと割れる。
「・・・ばかが・・・・・・鍵を・・・。」
愛花に倒されたうちの1人が息も絶え絶えにそう呟く。
水色の髪の少女はふわりと地にたち、雪が舞う。
「雪の・・・」
魔法?そう言いかけた時少女は目を開ける。
瞳の色は柔らかな白みを帯びた青色。
何か人のようではないような美しさを感じさせた。
「・・・雪乃。」
透き通る声がそう言った。
「・・・あ、名前?えっと、どもどもーこちら舜です。」
「・・・・・・。」
雪乃はしばらくぼーっとまるで周りに何も無いかのように佇む。
「あ、えっと、その、助けてくれてありがとうございます。」
そして周りを理解したかのようにお礼を言う。
「大丈夫?怪我とかしてない?」
「・・・怪我は、大丈夫です。でも、その。ごめんなさい、起きる前の記憶が無くて・・・。」
「じゃあなんで襲われてたとかも?」
舜は鍵という言葉が気になり聞いてみる。
「・・・全く・・・・・・あのごめんなさい。」
「いやいや気にしないで!でもそっか・・・困るよねこれから。身内とかも分からない感じでしょ?」
「・・・はい。」
舜は少し考える。
「そうだね・・・とりあえず今この先にある村に行こうとは思ってるんだけど・・・・・・。そこが安全かは分からないけど。」
唯一安全と言えるアウナリトには既に舜達は行けない。誰かの手引きも期待出来ず、中に入るには―
「ちょっとまってて。」
舜はデバイスを取り出し、電話をかけた。
「もしもし、エリ?実はかくかくしかじかで。」
「いや、私にそんな権力ないよ?無理無理。」
「そっか、じゃあ安全な場所とか知らない?せめてそこまで送っていこうかと。」
「リライエンスかな。ちょっと遠いし入れるか分かんないけど。」
リライエンス―大きな図書館のある小さな国の名前である。
一応隣国ではあるのだが、ここからでは10日はかかるだろう。
「そっか・・・うん、ありがとう。」
「つい教えちゃったけどこれ料金取れないのよね・・・。」
「何か教えられることあったら今度教えるよ。それでチャラって事で。」
電話を終えて舜は額に手を当てる。
まずは村に行ってみてそこ次第。駄目そうなら―少し連れ回すことになる。それも危険な事をしようとしてるのに。
「・・・あの!」
雪乃は声を振り絞る。
「私を連れていってください!戦えます!他にもきっとお役に立ちます!・・・どうか、1人にしないでください。」
雪乃は頭を下げる。
「危険でも、いい?」
「はい!恩返し、させてください。」
今は確かに少しでも仲間が欲しい。
「そっか、じゃあよろしく!雪乃!」
愛「愛花ちゃんだよ!」
怜「・・・怜奈。」
愛「今回は新登場キャラの紹介だよ!」
雪乃 身長157cm 体重48kg B89 W58 H83
誕生日 不明(記憶喪失のため) 年齢 不明(記憶喪失のため)
能力 現時点で不明
性格 おしとやか・・・かな?(愛花談)
見た目 淡い水色の髪、やや白みのある青の瞳。青系統だが全体的に白いイメージがある。髪の長さはセミロング。巨乳。
戦闘スタイル 氷とか雪を使うようだけど・・・(舜談)
愛「分からないとこ多いですね・・・。胸デカイのは分かるんですけど。」
怜「・・・世の中には小さい方がいいって人もいるから。」
愛「それではまた次回!」
怜「・・・見てね。」




