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愛の歌  作者: Dust
10章
232/234

228話 似てるモノ

「・・・同じ立場?」

「ああ、いや、似てる立場と言うべきかな・・・。君は・・・アウナリトの魔力者の実験の生き残りと聞いている。」

クーユーは顔色を伺いながら、続ける。

少しでも触れられるのが嫌なら、他の言葉を探す為に。

「・・・・・・なるほど?」

「そう、彼女もある実験の生き残り―。人外の魔力持つ生物の研究と兵器化・・・。彼女が簡単に人を殺してしまうのも、その時の洗脳による部分が多いんだ。何とか、改善しようとしているが・・・。」

「その研究してた場所は?」

「滅びたさ・・・。ランドルフ博士って知ってる?彼が反乱して滅ぼした・・・。」

「魔女事件・・・。アウナリトでも名前くらいは伝わってる件だ、詳しいところは曖昧だが・・・。」

遠くから飲み終わったー!と声が聞こえる。


「すまない、長話はまた今度だ。連絡先を渡しておこう。」

「・・・ああ。一応、協力出来そうなら最後まで敵対はしないつもりだ。」

クーユーはニコリと笑って会釈し、シュラの元へ向かっていった。

「えっと、魔女事件って確か・・・。」

愛花の言葉に舜はチラッとウンサとカメラを見る。

「場所を変えよう。」

愛花は頷き、二人で別所へ歩いていく。

デバイスを出して、選手紹介の放送は流しつつ、人気の少ない所へ。


「魔女事件・・・俺も詳しい訳じゃない。まあこっちの大陸の事件ではあったし・・・。なんて国だったかな・・・小国が凍結して滅びた事件だ。その主犯がランドルフ博士。ただ、さっきの話から推測もできる。」

愛花はふんふんと頷く。

「実験をしてたから、ランドルフ博士が反乱した。その結果凍りついて、生き残ったのがさっきのシュラって方・・・って事ですよね?」

「多分ね。その過程が分からないから、なんで小さな国といえど凍り付いたのかとか、何も分からないけど。」

中継では、ウンサが気を取り直して選手紹介を続けている。

ちょうど黒いドレスに身を包んでいる漣が紹介されていた。


「生物兵器実験の生き残り・・・か。」

「・・・・・・舜兄、引っかかってることがあるんです。」

「うん?」

「どうして・・・2人だけなんでしょう。どうしても生き残りたいなら、是が非でも石を取りたい。もちろんその石が本物かは分からないと言ってもですよ?他になんちゃらウタウスを探す人員を割いたとしても、2人は少なすぎます。」

舜はハッとする。

シュラの境遇に思考を取られていたが、冷静に考えるとその通り―

「・・・他にも来ていると考えた方がいいな。大会参加者でなく、石を盗むための人員が・・・。」

「ただ優勝すればいいだけ、じゃなくなりましたね・・・。」

「それでもまず誰かが優勝しないと話にならない。・・・愛花。―――。」

愛花は舜の耳打ちに、覚悟を決めた目で頷いた。


翌日。

「それでは始まりました!まずはルール説明をさせていただきます!まず本日より始まる予選ブロック。こちらはランダムに選ばれたタッグのチーム同士の対決となります!勝てれば1次リーグへの参戦が決まります!しかし、2度そのチームで負けた場合は敗者ブロックに移動となります。また、初戦で相方が負傷や不参加になる事態になった場合、1人で2試合目に参加するか敗者ブロックへ移動するかは選べます!もし他のチームが全て試合が終わった上で、また1度しか戦えてないチームが残った場合、不戦勝として1次リーグへ参戦出来ます。」

ウンサがつらつらとルールを読み上げていく。

「勝敗の決め方についてです。まず、タイムアウト。時間切れの場合、どちらの攻撃がよりダメージになってるかを審判団で話し合い、勝敗を決定します。次に気絶、気絶した時点でその方は敗北となります。また、事故による死亡も同じ判定です。第3に審判団による決着。これは気絶はしてないものの、これ以上続けると危ないと判断した場合、くだされます。最後に各選手にお配りしている魔道具の破壊・・・これは、滅多に壊れることはありません。これが壊れるほどの威力なら、危ないという判定で用意してありますが、そんな威力を食らった時点で大体は上記の勝敗が着いてますので、大会中一度も起きた事はありません。」


ウンサの説明に漣が手を挙げる。

「これ、簡単に壊れます!」

漣は一度身体を炎にし、また炎から姿を表す。

魔道具が壊れた判定でピーピー鳴り始めた。

「えっと・・・この場合は・・・ちょっと審判団も集めて協議を・・・。」

「ええんやない?この子、それ外させても。どうせ起きた事ない負け方やし、なぁ?」

オピスが漣の両肩に手をおき、大会運営の人達に笑いかける。

「えっと・・・じゃあ、そういう事で。」

「ふっ、前回優勝しただけで随分顔を大きく使えるもんだな。」

「あら、ネメスはん。そんなにウチに前回判定負けしたのイラついてるん?」

2人の視線がビリビリとぶつかる下で、漣はそーっと離れた。


「故意による殺害は失格となり、永久的な大会の出禁となります。予選リーグ以降の説明は、また予選リーグ後にさせて頂こうと思います。それでは、記念すべき予選リーグ第1回戦のくじを引かせていただきます!」

ウンサがレバーを引き、ボールが転がってくる。

「まず1人目は・・・咲希選手!」

「あ、咲希ちゃん。頑張ってね!」

「最初の試合か・・・。相方は・・・。」

ウンサはもう一度レバーを引き、ボールが転がってくる。

「相方は舜選手です!咲希・舜チームとなります!!」

「知り合いか、なんというかまあ、ホッとしたな・・・。」

「咲希、よろしく。」


「そして対戦相手ですが・・・1人目はオピス選手!前回優勝者が第1戦から登場だ!」

「・・・はっ、ちょうどいい。私たちの強さ、見せればいいだけだよな?・・・な?」

「・・・・・・タッグ戦だしね、お互い知ってる相手と組めてる方が有利だよ。」

ウンサがその相方のくじを引き、読み上げる。

「相方はネメス選手です!オピス・ネメスチームとなりました!決勝常連組のチームとなりました!これは注目です!」

舜と咲希は先程視線をぶつからせてた2人を見た。

2人はにこやかに舜達を見ていた。

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