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愛の歌  作者: Dust
9章
223/228

219話 blue heart

「ふーん・・・あんたも奥の手を隠してたから、敢えて手札を明かしてそれだけだと思わせたの?」

「ふっ・・・お前にもあるのなら死ぬ前に出しておくことを勧めておこう。俺の奥の手を破れるのであれば、だがな。」

ロルバは平静を保ちつつ、話をする。

(今の・・・虹が私の水を奪って行った・・・。虹の色ならなんでも奪える力?・・・憶測でしか分からない、けど私がやるべき事は1つ!)

ひっそりと魔力を貯める。

(この虹ごと水の底に沈めてやろうじゃない・・・!時間がかかるから、あの太陽云々の為に使っては少しずつ貯めるしかないけど・・・!)

「・・・来ないのなら、さっさと終わらせようか。」

「へぇ・・・明らかに何かを狙ってる相手に自分から突っ込めるんだ。」

「戦いには勢いも重要だからな!」


ロルバの元へ灼熱が近付いた。

その瞬間だった。

「地衝烈牙!」

虹色の空間の天井が割れる。

「おっと!」

身を僅かに躱し、クラウはその斬撃を避ける。

「うっ・・・お兄さん・・・。」

「うっ・・・とは随分なご挨拶だな。・・・今んとこ、味方って認識でいいか?」

「もう敵対しないわよ!はぁ・・・調子狂うわ。」

ロルバはほっとしながら、魔力を込めて行く。

舜はそれを一目見て、ほんの少し前に出た。


「気を付けてお兄さん。あいつ熱いから近付けないし、私の水を奪ったわ。」

「成程・・・?」

「水というのはこれの事かね!」

虹の青の部分から水が押し寄せる。

「キャッ!?」

舜はロルバを抱えて、穴目掛けて黒翼で飛んで行く。

「入口はあれど・・・出口などないさ。」

「!!」

舜より速い速度で虹が周囲を囲っていく。

「あっそ。ナチャ!」

舜は糸を出し、その中に入り・・・同じ場所から出た。


「・・・・・・。」

「聞こえなかったか?出口などない。俺が出さない事にはな。」

下の水が青に吸い込まれ、消えて行く。

「お兄さん!上!」

「クトゥグア!」

大量の白煙に囲まれる。

クトゥグアの炎でクトゥルフの水は相殺された。

舜は即座に降りて、ロルバを降ろす。

「・・・復讐鬼。」

そのまま舜は牽制のために漆黒の刃を投げた。


「黒・・・か。作れないと思ったか?」

だが、クラウの前で虹の色が混ざり合い、黒となりてそれを吸収していく。

「お返しだ。」

「わっ!わっ!わっ!!?」

ロルバ目掛けて飛んで行く黒の刃を、ロルバは必死に走って何とか避けた。

「ちょっとお兄さん!私の方に攻撃飛ばさせないでよ!」

「・・・ロルバ、どの位稼げばいい?」

「・・・これがより大きくなれるのであれば・・・できるだけ・・・。」

舜はふぅっとため息をついた。

「・・・頼りたくはなかったけど、仕方ない、か。」



「ふざけるな!!!!!」

血反吐を吐きながら、シェフティは叫ぶ。

「何が愛だ!腹に穴開けながら何をほざく!!」

何かを思い出したのか、フラフラと頭を抱えながら喚く。

「愛なんてもうはまやかしだ・・・!力がある間だけ、利用価値がある間だけ、それがあるように見せつける。愛なんぞほざきながら俺が強くないと思ったら見捨てやがった・・・!実の親も育ての兄もだ・・・!!」

「・・・そうか、君は。」

「俺を憐れむんじゃねぇ!俺は全てを手に入れる。金も力も何もかも!そうすりゃ見てくれの愛だって手に入る・・・どいつも俺に逆らう事も出来ず、甘い蜜を吸うために愛を偽装させられるんだ・・・!」

「君は・・・愛された事が、無いんだな。」

シェフティはガンっと地面に亀裂が入る程の踏み込みをした。

その目は血走り、血管が浮き出ている。


その拳は―あっさりと鎧の掌に止められ―

その掌を掴み、力で体勢を崩そうとするが、逆に膝を付けさせられた。

「だが甘い。」

背後に回ったリーグの攻撃は、飛んできた傘が止めた。

「淫蕩・・・。何か知ってる君を倒したくはない。邪魔をしないでくれないか。」

「その"何か"はもうそこの彼も知ってるわ。」

「何―。」

青い炎がリーグを包む。

「・・・なんだ?熱くも無ければ痛くもない・・・。この炎は・・・?」

少し浴びたものの、即座にワープをしたリーグは不思議そうに服の炎を払う。


「・・・!」

その火の粉が剣に触れた途端、リーグの剣はものすごい勢いで燃え盛った。

カランと落ちる音と共に、剣は霧散しリーグは新たに剣を出そうとして―

「チィ!」

その手が燃え盛った。

「武器を燃やしただけで舐めるなよ!」

シェフティはその様子を見て、再び殴りかかっていた。

そんなシェフティにも青い炎は包み込み・・・

「グッ・・・この・・・!」

殴ろうとした手が、炎により燃え盛りながら反対方向へ押されていく。

「さあ思い出せ!君たちの心を!」

青い炎は、2人の身体を優しく包んだ。


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