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愛の歌  作者: Dust
9章
221/229

217話 So, follow that heart.

外から響いた音に誰もが警戒し、膠着状態にさせようとしてる中、1人アピアルは動く。

「我が元に出てよ、蛙様!」

アピアルの瞳が、紅く煌めいた。

「!」

アピアルの蹴りをカマソッツは羽で受けるが、吹き飛ばされる。

カマソッツは横目で壁を見ながら衝突に備えようとして―壁をすり抜けた。

「手を!」

「え?」

アピアルは舜の手を引っ張って壁に突進する。

そして―2人ともすり抜けた。


「随分妙な技を使うわね?すり抜けるだけじゃダメージにはならないけど。」

「技ではないわ。知ってる?物が壁をすりぬける確率は極わずかながら有り得るの。私はそれを知っている。()()()()()()()()()()()()。」

「いいわね、ゾワゾワするわ。貴女の知識の数だけ不思議な事を起こせるって訳!」

カマソッツは飛び上がり、渦巻く魔力を幾つも放つ。

2人はその攻撃を剣で斬り払うが―その内1つが酒場に向かうのを見て、舜は必死に走りながらその1つも剣で掻き消した。


「だけど与しにくそうだから後回し!まずはあなた!」

その隙を付いたカマソッツは一気に接近し、舜の両腕を足で掴み飛び上がる。

飛ぶ速さと両腕の不自由からもがく事すらさせないまま、上空でグルングルンと2回転し、地面に投げ飛ばした。

「本気で込めるわ・・・耐えられる?」

カマソッツは口を開け、叩き落とされてる舜に向けビームを放った。

落ちる速さに勢いを増し、地面に大きなクレーターが出来上がった。

「あなたはカチカチだったから・・・もう1発出してあげる!」

再びカマソッツはビームを放つ。


だが、ふわりと舞い上がったアピアルがそのビームに向けて鉄の傘をさした。

「!!くっ・・・。」

そのまま傘が柄だけを手元に残し、ビームを弾きながらカマソッツへ突っ込んでいく。

カマソッツはより飛び上がり躱そうとするが、足を掠らせ血が数滴落ちていく。

「ゴブニュ・キック!」

「なっ・・・!?」

そのカマソッツを、突如現れたアラタが蹴り落とした。

何とか地に着いたカマソッツは、同じく降り立ったアラタを見て、アピアルを見て、その後ぴょんと跳び上がって戻り、軽くペッと血を吐いただけの舜を見た。

「あの音も敵かぁ・・・流石にこの人数差は無理ね。じゃ、バイバーイ!」

複数のコウモリが飛んで行き―カマソッツは真っ赤な球体となってそれを追うようにあっさり消え去った。


「大丈夫ですか!?」

「ん・・・むしろそっちが大丈夫だった?」

「ボクなら大丈夫です!へへ・・・。」

危ないからと酒場の近くに留まらせておいたアオイが舜に駆け寄る。

「・・・あなたは行って。ここは護ってあげる。やらなきゃならない事があるんでしょ?」

そんなアオイと酒場を見て頭を悩ませていた舜に、アピアルは声をかける。

「・・・アラタは、俺と戦いたいか?」

「今じゃないさ。全てが終わったあと、誰にも迷惑をかけない場所で、正々堂々正義を執行させてもらう。」

「そうか・・・。あー・・・。」

礼を言うべきか少し舜は悩んで、言わずに走り出した。


「さて、アラタくん。ここからよ。」

「・・・・・・。」

2人はお互いを見ることなく、後ろを見た。

「よーう、裏切り者を粛清しに来てやったぜ。」

「傲慢・・・残念だが君を殺す。邪魔をしてくれるなよ淫蕩。」

「金銭欲と悲嘆か。」

アラタは訪れたシェフティと悲嘆と呼ばれた男―リーグが姿を現したのを見やる。

「裏切りとは言うけれど、あなた達に取ってもこの変化は有難いことでなくて?」

「屁理屈は要らねぇんだよ。支配下に無いやつは殺す、当然の話だ。」

「あら、じゃあ私も対象ね?」

アピアルもシェフティの視線がバチバチとぶつかる。


「君は周りの被害を抑えてくれ。ここは僕が、僕の正義を貫く!」

「・・・うん。」

しかしアラタが前に出たのを見て、アピアルは色んな感情を含んだ表情で後ろに下がった。

「はっ!2対1で勝てるとで―!?」

バン!っと放たれた拳でシェフティの腹に穴が空く。

「痛てぇな・・・クソが・・・!」

左手でそれを抑えながら剣を振るうが、既に後ろに下がられ虚しく空を切った。

「!?」

しかし、その背後からアラタの胸を鎧ごと貫き、剣の鋒がアラタの視界へ入る。

「ああ・・・何故なんだろうな。」

いつの間にワープしていたリーグがぼやいた。


「コレで死ぬ訳でもなく・・・アレによる強化もされたまま・・・。本来であれば俺たちがわざわざ向かわなくても、アレの意思で簡単に動かなくなる筈なのに・・・。」

「見たいのよ。あの子は愛を見たいの。その事に気がついてはないだろうけど・・・。」

「・・・愛?淫蕩、君は何を知っ―」

「ヒートエンジン、起動!」

背中から炎が噴射し、リーグは腕で顔周りを防ぎながら引き下がる。

「そうか・・・この熱い心が愛―。僕は僕の正義に従い、君たちに愛を取り戻させる!」

アラタの鎧が炎を思わせる赤と青の物に変わっていく。

「纏魔・その心の想うままに(セーブ・サムワン)!」

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