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愛の歌  作者: Dust
9章
219/229

215話 Negotiating

「・・・・・・。」

英雄の子孫のリーダーであるクラウは、無言で立っていた。

「・・・・・・・・・。」

亡き英雄に様々な教えを受けた子供たち。

その英雄の1つの教え、例え自分が居なくなっても跡を継ぐ人がいる―その跡継ぎこそが自分たちなのだと努力してきた。

「・・・・・・・・・・・・。」

クラウは視線を人質に動かした。

英雄の教えに反し、治安を悪化させている連中。

それを利用して新たに外から来た連中を倒さんと。

「・・・・・・チッ。」

そして今、クラウの目の前には―


誰も居なかった。

間違いなく自分がここにいることは分かっているはず。

誰かがここに向かう筈なのだ。

その宛が、外れている。

しかし、クラウもその場から動けないでいる。

もし人数不利があるのなら、連絡があるはず。

それすら無いのなら何処かに敵が1人潜んでいる。

そして、罠をかけるとするならば―

本来相対すべき自分の所の可能性が高い。

そう結論づけて、神経を張り巡らしている。


その本来来るはずだった相手は今―

「姉御ー!敵襲敵襲!」

「相手がその気ならとっくの昔に何人も死んでるよ・・・ね、雪乃さん。私はナーバ、ここの地域のローグのトップ。・・・なんのようかしら?」

ローグの元へ単身乗り込んでいた。

「交渉です。今回、あなたたちも動きに困っているのでしょう?」

「単刀直入、嫌いじゃない。そうね、はっきり言って悩んでる。」

2人の視線は鋭くぶつかる。

「私から求めるのはこれ以上の活動停止。出せるのは最終命令の援護。如何です?」

「ふーん・・・つまり、私達に最後の命令をもうやれと。援護、何が出来るの?」

「舜さんをその場に留まらせる、それだけで十分でしょう?」


ナーバはその視線を受けながら、考える。

「まだ不成立。」

「あなたたちでは英雄の子孫に勝てないのに?」

「直接対決ではね。でも今は違う、あなた達も戦っている。アレが少ない被害で倒せるのなら、これからも活動出来るし、最後にはまだ早い。何より対象が舜さんに固定されるのが良くない。」

雪乃はその言葉を聞いて、振り向き歩き始める。

「"まだ"という言葉を貰っただけ良しとします。ただし、舜さんに負担がかかるようなら―まずあなた達から消しますので。」

「この戦いが終わるまではどちらにしろ活動しない、それは約束しよう。」

歩き去るのを止めず、雪乃はその言葉を受け取った。

「さて・・・次に行くべきは―」



「抵抗は終わった?」

レインの視線の先には、息荒く壁にもたれ座っているプローチがいた。

ところどころに切り傷があり、血が流れている。

「・・・ま・・・・・・まだよ・・・。」

「無駄が好き?あなたじゃ、勝てない。―!・・・誰?」

レインの視線が背後へ向く。

「うぉぉぉぉ!!!!」

なぜかは分からないが、絶好の機会とプローチは自身の身体に鞭打ち、猛然と向かう。

「構ってる暇・・・無い!」

思いっきり蹴り飛ばされた。

息が上手く吸えない中、ボヤけた視界の中に1つの人影がレインと争い始めるのが見える。


「アラ・・・タ・・・くん?」

プローチはまとまらない視界に、それでも面影のある人物の名前だけ言って気を失った。

名前を呼ばれた存在は振り返り、気を失っただけなのを見てほっとする。

「さあ・・・。・・・・・・逃げた?」

改めてレインの方を見た時には、既にそこに彼女は居なかった。

アラタはプローチを抱え、跳んで姿を消した。


「こちらレイン。予想外、未知の敵襲により撤退。オーバー。」

「こちらサニー!こちらも同じく未知の敵襲!片腕斬られた・・・!」

「こちらアッシュ、片腕斬られたが何とか不死娘の足止めは成功したよ。・・・で、どうする?クラウは応答しない?」

英雄の子孫達は無線で会話をする。

「こ、こちらえっと、・・・どこかに集まります?どこって正確に指定してもらえれば。オーバー!」

「誰?」

その会話に知らぬ声が入ってくる。


「だ、誰って・・・仲間でしょ?ほら。」

「カレン?」

「そ、そう、カレン!流石・・・レイン?話分かる!」

「で、カレンって誰?」

「え゛!?」

知らぬ声はあっさりと騙される。

「・・・愛花、流石に無理がある。・・・オーバー。」

「お、怜奈ちゃん。無理があったかー・・・オーバー。」

ぶつりという音が聞こえ、他の人の声が2人の元に聞こえなくなる。

「あ、残念。黙ってた方が良かったかな?でも返答しないままだと怪しまれるし、本拠地も分かってなかったし・・・うーん・・・。」


「更に二人、やられた。」

走りながらレインは呟く。

「悲しい、嘆かわしい。残り3人、しかもクラウ以外の2人は片腕がない。クラウとも連絡が取れてない。」

レインが嘆くと同時に、連絡が来る。

「こちら、クラウ。アリサが再び仲間になった。オーバー。」

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