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愛の歌  作者: Dust
8章
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201話 三つ巴

「・・・交友の為だ。」

「ああ、こう聞いた方が良かった?今、ここで交遊しに来た理由は?」

「フフフ、やはり頭が切れる。そんな相手に隠し事をしても仕方あるまい。今我々が置かれてる現状についてだが―。」

カオスは嬉しそうに語る。

「俺たちと主らとパーツ、3陣営であれば主らに俺たちの見定めを焦らせるつもりは無かった。だが・・・もう1陣営存在している。その動きを対処するなら早めに同じ目的を持つ我らが手を組めればと、そう思ったのだ。」

「もう1陣営・・・さっき会ったビャクシとかか?」

カオスは頷く。


「奴らの目的は邪神を用い、消滅の運命から逃れる事。しかし、それをされると困るのでな。」

「・・・邪神もパーツを倒す戦力として見てる、と。・・・だけど今のところ、協力が不可だとは思えない。」

「可能性はある。だが、あくまで可能性だ。」

あらゆる可能性に対応策を置く。

それがカオスのやり方だとシィラが言ってた事を思い出す。

「打算しか見えない・・・だからこそ今は信頼できる。いつ切られるかは分からないけど。」

「今のはカオス様への侮辱か?」

「よい。今の信頼を買えれば、それで。」


「それで、何を依頼したい?邪神集めか?」

「ふっ、話が早くて助かる。その通り、クァチル・ウタウスの事だ。あれは1度召喚されると被害が大きい。一方で召喚されてない今はどこかに石の形で存在している。焦った奴らに召喚されてしまうとまた竜の里のような被害が出るかもしれん。」

「それが俺への殺し文句って訳ね。・・・・・・何処にあるかの検討は?」

「リティガルの闘技場、次の大会の商品が膨大な魔力を持つ石だそうだ。本物かは分からぬが・・・少なくとも奴らは動くだろう。」

闘技場と舜は小さく呟いた。


「手に入れ方は任せよう。人が欲しければ寄越そう。犠牲を出させない為にも―」

カオスは言葉を止めた。

「聞いてないで入ってくるがよい。」

「うっわ、もうバレた?」

ビャクシが部屋の中へ入ってくる。

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

それぞれが切り出し方を考え、生まれる静寂。

「何の話、してたの?」

「・・・さっき戦ったバケモン達いたでしょ?あれを倒す為にリティガルの次の大会の商品が欲しいなって話。」

「ちょっ!おま!?いいんすかカオス様!?」

騒ぐシュメールをカオスは手で制止する。


「・・・奇遇だね。私たちも欲しいんだそれ。」

「なら都合がいい。協力しないか?」

「協力ねぇ。・・・・・・。」

ビャクシはまた少し考え始めた。

「あなたは信頼してもいいけど・・・そこの人たちが信頼出来ない。」

「安心して、俺もそこは同意見。」

フーロとシュメールの目が鋭くなる。

「それに・・・協力出来るかは分からない。私達もやり方は考えないといけないからね。」

「無闇にまた被害を起こすようなら・・・俺は止めるよ。」

舜の真っ直ぐな目を見て、ビャクシは目線を逸らした。


「うん・・・まあまた会えるんでしょ?連絡先、交換しとこうか。・・・返事はまだ、待ってね。」

「分かった。・・・出来れば争いたくは無いって事だけ分かって貰えれば。」

「分かるよ。だってわざわざ伝えてくれたんだもん。隠し通しても良かったんだもんね?」

ビャクシはシュメールを見てから、舜に微笑みかけた。

「今回の大会はまだもうちょっと先だから、療養してね。」

「ああ、お互いね。」


話がまとまるとカオスが立ち上がった。

「ではさらばだ舜よ。また会おう。」

「・・・・・・ああ。」

後ろをフーロとシュメールがついていく。

部屋を出たあと、シュメールはカオスに話しかけた。

「・・・良かったんすか?怪我してる舜と、めんどくさそうなメンツの1人。始末するならここでしょ。」

「あの狼はともかく・・・舜は殺すべきでは無い。」

「でもお互い敵対する可能性もあるんスよ?というか・・・そうなりそうなんスよね?カオス様の様子を見てると。」

「シュメール、カオス様がの言う事が聞けんのか。」

フーロがムッとしたのを見て、シュメールは黙り込んだ。



時間がもう少しだけ過ぎ―

ベンチに舜と愛花、もう1個横のベンチに意識を取り戻していたテイパーが座っている。

「結局・・・俺のスタンプ押されずか。」

「あ、出たいなら言ってね?この遊園地守ってくれたし出るのは構わないよ。」

テイパーが舜に言う。

「思ったんだけどさ。この楽しまなきゃ出れないっての、警戒しちゃって楽しむどころじゃないと思うんだ。」

「そう?改善の余地ありって事ね。人間の事、もうちょっと学ばなきゃ。」

「一言に人間って言っても色んな人が居るけどね。国が違うだけで考え方が違ったり、同じ国でも全く違う考えの人だったり。」

「難しいわねぇ・・・もうそれぞれ別種族みたいな気持ちで見てた方がいいのかしら。」


舜はテイパーに笑いかける。

「そうだね。でもきっと何とかなるよ。魔族であるテイパーと俺たちとて今こうして話せてるから。・・・テイパーに会えてよかったよ。分かり合える魔界の存在もいるんだって分かったから。」

「ありがと。いつでもまた遊びに来てね。歓迎するよ。」

そう話してると、遠くから漣達が駆け寄ってくる。

「いやぁ!楽しかった!まだまだ遊べるけどもう夜になっちゃったもんね!」

「良かった良かった。また来ようね。」

立ち上がる舜に、念の為愛花が寄り添う。

「それじゃあ・・・またね!」

「うん、待ってるわよ。」


幾つかの事件はあったものの―

楽しみ、そうでない者も心穏やかに遊園地を後にする。


ただ1人を除いて。

「・・・・・・。」

返された紙の中でスタンプが押されてたのは漣と怜奈のだけであった―

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