200話 真剣な決闘
「音が止んだな・・・ほんとにあんたらは行かなくて良かったのか?」
「・・・ええ。舜兄なら大丈夫ですから。」
愛花は赤い瞳を鋭く光らせている。
「オウコツは一応四凶っすよ?ねぇ、カオス様。」
「実力はともかく・・・あの性格では舜に勝てることは万に一つもないだろうな。」
「おっと・・・良かったっすねカオス様のお墨付きで。」
シュネールの前には怜奈が座っている。
「それで・・・何をしにここにいるんですか。」
愛花の口調は鋭い。
わざわざ四凶・カオスが自ら赴いた。
それを重く捉えている。
「何って・・・見りゃわかるでしょ。」
「・・・そうだよ、愛花。・・・見れば分かる。」
「・・・「カードゲーム。」」
「だから!そうじゃなくて!!!」
怜奈とシュネールはカードで対戦していた。
「ええい!カオスさんとやら!あなたに聞きます!」
「カードゲームだが?」
「ちがわい!この遊園地に来た理由の方じゃい!!」
カオスはフーロを前に座らせて、カードゲームをしている。
「何、同じ目的を持つ同志。友好を深めに来ただけだが。」
「・・・そのオウコツさんとやらが暴れてるのに援護もせずに?」
「要らぬであろう。多少怪我はしてるだろうがな・・・。」
愛花は諦めたかのようにデバイスを取り出した。
「あ!舜兄!無事でしたか?・・・ええ。ええ。なるほど・・・私の方なんですけど・・・実はですね・・・。ツッコミ役が足りなくて難儀してます!助けて!」
一通り説明をすると、愛花は空いてる席に座った。
「さて、舜兄が来る前にルールくらいは覚えとこっと。」
「・・・なんやかんや順応早いっすよねあの子。図太いというか強いと言うか。」
「愛花ー?おー・・・ほんとになんかカードゲームしてるな・・・。」
「舜兄ー!こっちこっちー!ルールは大体覚えましたよ!」
「愛花もやる気満々なんだ。」
舜が愛花の前に座る。
「・・・舜兄?左腕どうかしたんですか?」
「んー・・・ちょっとさっきの戦いで痛めた。」
昔の舜なら隠そうとしてたかもしれない。
しかし、それはむしろより心配させると舜も学んだ・・・折れたとは言わなかったが。
「・・・・・・私も行けば良かったですかね。」
「いやまあ・・・こいつら睨んでてくれたんでしょ?」
「言葉に気をつけろ。まるで敵対してるかのようだが、こちらは貴様如きとの交友のために来てるのだぞ。」
フーロが冷たく言い放つ。
「仲良くしようって気ほんとにある言い方か?」
「ちなみに俺はないぜ。」
「先行き不安か?なんでカオスはこんな2人連れてきたんだよ・・・。」
大量のカードを眺めながら、舜は首を捻る。
「・・・片手だとやりにくそうだし・・・愛花がやってるのを隣で見とこうかな。」
「では!楽しく見れるよう、ルールを説明しときますね!」
愛花はいそいそと舜の横に座る。
「まず属性が海、溶岩、森林、陽光、暗黒と5種類あります。で、このカードの上に乗ってるのがマナコストで・・・。うんたらかんたら。マナをだすカードはそれぞれ専用のコアってのがあって・・・。」
「ふんふん。」
「次にカードの種類。コアの他に生き物、キャストスペル、ダイレクトキャスト、舞台、ショウキバドン、買取人の手紙とありまして。」
「なんか変なのあったな?」
説明を受けてると隣が盛り上がる。
「うぉぉぉ!俺の溶岩単速攻の全力アタックだ!」
「・・・ダイレクトキャスト、臥薪嘗胆。・・・全てライフで受ける。」
「確かその効果は・・・攻撃を食らった回数分の暗黒マナを次の終了ターンまで得る効果・・・!」
「・・・代わりに相手にダメージが与えられなくなるデメリットもある。・・・私のターン。」
怜奈は手札を3枚オープンする。
「・・・臥薪嘗胆のマナと合わせて3体召喚。・・・この時点で無限ループがある。・・・一応聞くけど止める術は?」
「・・・ない!さあ!殺せ!」
「・・・やり手の商人のタップ効果!お互い1枚ドロー!相手が自分のターンにドローした時、メンヘラ彼女の誘発効果!思い出ゾーンにある臥薪嘗胆を山札へ!そして手札からコストとして1枚を墓地に送り、禁忌の研究者効果!商人回復!あとは商人でドロー効果を繰り返しながら、自分は禁忌で捨てたカードをヘラって思い出から山札へ!あなただけ山札切れを起こす・・・!」
「ぐぁぁぁぁ!!!!!!」
「楽しんでるなぁ。」
「あ、ちなみに怜奈ちゃんはもうスタンプ押され済みですよ。」
負けたシュメールが2人の前に座る。
「よぉ、そろそろお前らも戦える頃だろ。」
「頑張れ愛花!」
いそいそと愛花が試合の準備を進める。
それを待ってる間にシュメールはふと舜の方を向いた。
「そういえば・・・2番目はそっちの黒髪でいいのか?」
「2番目?」
「そ、2番目の女。本妻候補がその子だろ?側室って言うんだっけ。」
ピタリと愛花の動きが止まる。
「いや・・・2番目を作るつもりはないが。」
「あん?王子様なんだろ?優秀な嫁候補と一緒に旅してるんじゃねぇのか?」
「アウナリトの王族は確かに側室がいるけど・・・俺はちゃんとした王族じゃないし、1人だけしか愛さないよ。」
ふーんとシュメールがつぶやく。
「じゃあその子以外で見れるなら誰の裸が見たいんだ?」
「考えた事もねぇよ。」
「は!?おま・・・嘘だろ!?世の男はみんなちょっと可愛いなとか綺麗だなって思うだけでおっぱい見てみたいなって思うもんだろ!?実際に自分から見ようとはしないし言わないけど!」
「主語デカ・・・。」
フーロが咳払いをする。
「シュメール、カオス様の品位を下げるような発言をやめろ。」
フーロはその後、チラリとカオスを見る。
「シュメール。」
カオスもまた、シュメールに対して口を開く。
「分かるぞ。」
「カオス様!?」
「・・・隊長にそんなこと。」
「お、怜奈さん援護射撃してくれる。」
「・・・誰か同部屋になるって場面で絶対に変な気を起こさないから別に構わない、とみんなが思った人なんだから、言っても仕方ない。」
「仕方ない。」
ギリ援護射撃じゃなく後ろから刺された感じがするな?と舜は復唱する。
「なーんだ、てっきり貧乳派かと思ってたけど興味無いだけか。ま、逆に言うとちんちくりんでも気にしないって事か。」
「・・・・・・準備出来ました。戦いましょうか。」
「はっはっは!5色デッキでヨガ速攻に追い付けるかな!コアが全色揃ったのは運が良くても、あと2回のフルアタで俺の勝ちだ!」
「コアから5色のマナで悲劇に抗う英雄を召喚!」
「はっ!そいつは打点は高いが自リーダーの被ダメを2倍にする!1ターン分死ぬのが早くなったぜ?次の俺のターンで俺の勝ち!」
「見事にフラグ立てるなぁ・・・。」
シュメールの発言に舜は呟く。
「英雄の召喚時効果!2枚ドロー!」
愛花のデッキは愛花の想いに応えるように、必要パーツを手札に加えさせた。
「英雄で攻撃!」
「当然ライフだ!」
「この時ダイレクトキャスト!心の中の真の敵!生き物を一体対象とし、それのコピーをその対象となった持ち主の対戦相手に出させる!英雄を対象!あなたの場に英雄が出る!そしてもう一枚ダイレクトキャスト!仲間の齎す力!自分の場にそれぞれ一体ずつ各色のカードがあれば全生き物攻撃力2倍!英雄が全色生物だからこれ1枚で条件突破!!!」
「あ、ワンキル。」
「・・・え?」
舜の言葉に、シュメールは聞き返す。
「えっと、俺の受けるダメージは・・・。」
「英雄の攻撃力の4倍だぁぁぁぁぁ!!!!!誰が!!!!ちんちくりんじゃい!!!!!!貧乳じゃい!!!!!!!」
「うわぁぁぁぁぁ!?!?!?!?」
「おー・・・こんなにキレてる愛花初めて見た・・・。」
勝ち負けより、そっちの感想が出た。
舜は一通りみんなが楽しんだところで、ようやく本題に入った。
「・・・で?ここに先回りして待ってた理由は?」
漣「漣ちゃんだよ!」
雪「雪乃です。」
漣「なんとついに200話!なので久々このコーナー!・・・本編の内容これで良かったのか・・・?」
雪「私とか、オウコツ戦の時に観覧車の崩壊を止めた以外の情報が・・・。」
漣「初期考案だと私が空中で舜くんの足場になろうとする際に、雪乃が氷を作り出して私が押し込まれないようアシストする、みたいな予定だったのにね。」
雪「あと説明が入れられなかったものとして、相重纏魔は2つの魔力の合体纏魔、オウコツ第2形態(巨大化)も相重纏魔、オウコツ第3形態(最終形態)はオーティエ最終形態と同じく理の外の存在となってた。とかがありました。」
漣「まあまたちょこちょこあとから編集でそこは説明入れるかもだけど、とりあえず終わりに向かいたいとのことで。」
雪「・・・今回のストーリー、カードゲームで遊んでるだけであんまり進んでないような?」
漣「それではまた次回!」
雪「見てくださいね。」




