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愛の歌  作者: Dust
8章
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197話 その想念―自惚れ②

「オラ!オラァ!どうよ!俺様の一撃は!」

オウコツは離れた位置からパンチをブン!ブン!と振る。

それを受ける舜の身体から血が吹き出す。

「舜!舜!!私の事はいい!躱してくれ!」

後ろにいる咲希の声が聞こえてないのか、はたまた答えられないだけなのか。

舜は彼女の前を仁王立ちしたまま、その一撃を受け続けている。

「わ・・・私が・・・。」

咲希は震える手を舜に伸ばし、舜を庇おうと思うが・・・

恐怖に身がすくみ、動けない。

べキリと嫌な音がした。

舜の左腕が反対方向へ曲がっている。

「・・・あっ・・・あ・・・ぁ・・・。」

咲希は目を瞑ったまま、止めた手を伸ばし、舜と位置を入れ替わった。

「・・・?」

しかし、待てとも衝撃は来ない。

「咲希・・・少し相談がある。」

パッとオウコツの方を振り向き、今は自分たちの方を向いてない事を分かると、舜の方を向き直した。


舜へ攻撃をしていたオウコツだったが、背後から頭へ走った衝撃を機にその行為を辞めていた。

「誰だ?テメェ・・・。」

「あら?分からない?さっきまで私の髪と同じくらい綺麗な毛並みのオオカミが居たでしょ?」

「あの犬っころか?はん、当てて欲しけりゃせめて毛の色を揃えるんだな。」

人の形態に戻ったビャクシが、オウコツの前に立ち塞がる。

「魔力は効かない、要するに、魔力が伴わない攻撃なら通るんでしょ?」

「そうかもしれねぇな。でもよォ・・・!」

急にオウコツは怒声をあげた。

「四凶と呼ばれ、最強の魔力者として君臨する俺様によぉ!魔力のない攻撃で勝てるわけねぇだろうが!」

そして、拳を顔面目掛けて振りおろす。


「やぁっと!」

「なっ・・・!?」

そのパンチの勢いそのままに、ビャクシはオウコツを反対側へぶん投げた。

地面に叩きつけられたオウコツは、地面を叩きつけ、後ろへ1回転しながら立ち上がる。

「その見た目で随分動けるのね!でも遅い!」

前を向いた時にはもうビャクシは凄まじい速度で迫っていた。

慌ててその腕を上から下に振り下ろそうとするが、内側に入り込まれたまま空を見せられた。

顎への掌底。

その後、そのまま胸へ掌底を浴びせ後ろへ後ずさる。


「ガッ・・・フハハハハハハ!小技だけは確かだが・・・届かなかったな。」

(今・・・胸を抑えた。やはり、あの心臓は弱点ではある・・・。)

「今度はこちらからだ。そして・・・もうお前のターンはない!」

「どうかな?変身―切り開きし軍神(ウプウアウト)。」

オウコツの攻撃をすり抜けるよう、オオカミは走り去って行く。

「逃がすか・・・よ!」

何度もパンチを放つ・・・が、読まれてるかのように衝撃が届く前に横へ、上へ、避けていき―ついに建物の中へ逃げ込んだ。


「・・・・・・どいつもこいつも・・・小馬鹿にしやがってよォ・・・!」

オウコツは腹立たしげに声を荒らげる。

「ムカつくぜ・・・ああ!ムカつくぜ!テメェらがムカつかせたせいでよぉ・・・!」

一転して今度は嘲笑うように言い放つ。

「俺様の目に移った全ての者がゴミ屑に変わるんだぜ。テメェらのせいでよ。」

「当園では、ゴミはご自身で回収して貰ってるわよ。」

「あん?次は誰だ?潰しても潰しても出てきやがる。」

オウコツは声の方を振り向こうとして―首が動かなくなった。


「私はテイパー。当園を代表するものとして―」

「なんだ?鉄・・・?」

「お客様の壊されたゴミの責任と、使い魔ちゃん1匹の仇、取らせて貰う!」

身体の中から外へ突き出るように、1個ずつ壊された観覧車の破片がオウコツへと。

「うぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

魔力の高い相手へ、直接物を持ってこようとしてるテイパーは血涙を流し、鼻血が出ても止まらない。

「ぐぅぅ・・・動けん・・・ぐがぁ!?」

そしてついに軋むような音を立てながら、鉄骨が左腹を貫くように転移された。

オウコツの身体を作っている棒は、その鉄骨を貫通して真っ直ぐ、曲がらずに存在している。

そしてテイパーは―魔力切れで倒れた。


「ぐぅぅ・・・!!!」

オウコツはと言うと身体が傾いたまま動けずにいる。

鉄骨の重みで身体が傾き、鉄骨とオウコツの身体と地面で三角形ができていた。

自身の左側にはみ出ている鉄骨を押してみたり、何とか動こうと足掻きもがく。

「あ゛あ゛!!どいつもこいつも!!!」

そんなオウコツの顔を液体がふりかかった。

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