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愛の歌  作者: Dust
1章
20/184

19話

努力も才能も何もかも

俺が超えてやる


ライガ

活気づく街並み。

喧騒に包まれた平穏な通りを舜は歩いていた。

「兄ちゃん、魚安いよ!」

「いやーごめんね、今日はご飯買いに来たわけじゃないんだ。」

舜は色んな店の人に話しかけられながらブラブラと目的を探していた。

「あ、こんな古本屋あるんだ―」

少し、自分の興味あるものに引かれながらも。

今日の目的は自分のじゃないと、歩く。


「・・・こういうのとか、どうなんだろ?」

目線の先にはアクセサリーがジャラジャラと並んでいる。

「よっ、お兄さん。彼女にプレゼントかい?」

金髪の女の人が話しかける。

「彼女ではないけれど・・・女の子にプレゼントで。」

「ふーん、()()4()()の中のどの子?」

「・・・・・・・・・・・・。」

舜の目付きが鋭くなる。


「ごめんね、実はこの寂れたアクセサリーショップは趣味でさ。本職の関係で君の事を知ってるんだ、王族の舜様。」

「・・・わざわざ手の内を明かしたって事は何か用があるんだろ?・・・なんの用?」

「うんうん、君からはお金の匂いがしてさ。私エリ、本職情報屋。何か必要な情報とかあったらここに電話かけてよ。なんなら今情報買う?」

エリから名刺が渡される。

「・・・欲しい情報あるっちゃあるけれど、まずは信用出来るかどうかを試させてもらおうかな。」

「その眼を使うの?」

「・・・いや、イパノヴァが喜びそうなアクセサリーってどれだと思う?」


エリはガクッと転ぶようなリアクションを取ったあと、いくつかのアクセサリーを見繕う。

「こんな感じでどう?」

舜はその中の1つを手に取る。

三日月の形をしたアクセサリー。月の下部分に乗って猫が2匹寄り添っている。

更に開け口があり、中は空洞になっていて小物入れにも使えそうであった。

(そういえば前に猫に反応してたな・・・。)

「それにする?」

そのアクセサリーを持って眺めてる舜にエリは尋ねる。

「そうだね。いくら?」


買い物を終え、部屋に戻った舜は台所に立っていた。

「後はオーブンに入れて待つだけ・・・と。」

「舜兄ー!買ってきましたよー!」

愛花の声がする。

「うぃー、じゃ冷蔵庫に入れといてー。」

「・・・飲み物、買った。」

怜奈も買い物から帰ってくる。

「それも冷蔵庫ー。」

「おし!それじゃあ私たち飾り付けやってきます!」

「俺もあと待つだけだしやるよ。」

こうしてバタバタと準備をし、夜の7時。


「・・・「「イパノヴァ誕生日おめでとー!」!!」。」

(ありがとー!)

今日、1月24日にイパノヴァの誕生会が行われた。

並ぶお酒、そして

(鶏の・・・丸焼き・・・!)

「ふっふーん!ただの丸焼きではないぞよ!」

舜はドヤ顔をする。

切られていくその鶏の中には人参や玉ねぎといった野菜が入っていた。

(・・・オーフェもいてくれたら喜んだかな。)

それはポツリとイパノヴァが零した一言だった。

未だ傷が癒えてないオーフェがいて欲しいという本音がついつい出てしまったのであろう。

その一言のあとパッと顔色を変え―

「おい、僕を勝手に省くな。」

その後ろからの声に思わず振り返る。

車椅子に乗ったオーフェがそこに笑っていた。

(オーフェ!)

「お、おい!抱きつくな!お前らも止めろ!何をニコニコ眺めてる!」

その後もみんなで記念写真を撮ったり、愛花がお酒一口で出来上がったり、ケーキを食べたりプレゼント渡したりした。


(・・・だいぶ飲んだな。)

深夜、舜は部屋に戻っていた。

ぼーっとしてると突如電話がかかってくる。

「もしもし。」

「もしもし、こんちわーす!情報屋のエリだよ!」

「電話番号貰ったけど俺のは教えた記憶はないぞ。」

舜は酔いが多少入った頭で記憶を辿りながら答える。

「おや、飲んだのかい?まあそれはいいや。とりあえずこれからよろしくってのを込めて情報、1つぐらいタダであげるよ?」

舜は時間を見る。時計は1時。

わざわざこの時間にかけた、恐らく酔ってる事も理解してる。

(・・・なにか狙ってる?)

聞きたい情報はいくつかある。例えばこの前の司令―あれは本当は誰が出したのか。

だが、その事を簡単に他の人に話していいのだろうか。

特に情報を商売にしてる人には金さえ出されてしまえばこの情報が知れ渡るかもしれない。

言ったらいけない気がする。


(・・・違うのを聞こう。)

「そうだな、じゃあ俺の事が知りたい。」

「ほう、舜様の。」

「記憶喪失なのは知ってるんでしょ?例えばその記憶がなくなる前の話とか実験の話とか。」

そうだね・・・とエリは少し間をとる。

「うーん、舜様の実験でしょ?あれ、私も気にはなってるんだけど妙に誰かに隠されてるような感じあって正確には分かってないんだよね。」

「知ってる事だけでいいよ。タダで教えてもらう事だし。」

「この実験をしてたのはローグ・・・にしては妙に計画性がある。舜様も知ってる通りローグって要するに犯罪者的な魔力を持って暴れてる人の総称に過ぎない。もちろんローグ同士が手を組んだ可能性もあるけれど、それにしては大規模なんだ。」

舜はメモ帳を開き、ある程度の内容をメモに残す。


「例えば―四凶が関わってた場合は?それならローグが大規模な事をやってもおかしくない・・・だろ?」

舜は四凶を聞いた話でしか知らないが聞いてみる。

「うん、そうだね。彼らなら有り得る。ただある噂も聞くんだ。」

「噂?」

「その実験を止めたのが四凶の誰かって話。」

舜は色々な可能性を模索する。

「例えば、四凶同士の仲間割れとか。」

「無くはないけど、四凶は4人とも生きてるからどうだろうね。まともにかち合ったら誰かは死んでそうだけど。」

「というかアウナリトは止めるのに関わってないの?」

「分からない、かな。一応公表ではアウナリトが止めたってなってるけど・・・どうもきな臭い。そんな大規模なものを止めれるほどの大軍の出陣履歴が無いんだ。」

舜は更に模索する。


「特殊部隊が固まって勝手に―なら残らない、かも。お金にならないから申請しない理由ってあんま無いけど。」

「その時代にその制度は無いよ。あれは5年前からの制度。仮に履歴を弄れるとしたら・・・当時から同じ人がやってる元帥か右大臣、又は―既に亡くなってる君の義父様だよ。」

舜はおでこに片手を当てる。

酒が入ってる状態で判断できるものではない。

というか―酒が入ってなくても'かもしれない'要素が多すぎて分からない。

トントンとノックの音がした。

「・・・悪ぃ、ちょっと用事が。色々考えてみるよ、ありがと。」

「はーい、バイバイ。」






ピーンポーンパーンポーン

ここからはアダルティな内容があります。

苦手な方は終わり次第目印(〜〜が沢山並んでます)がありますのでそこまでお飛ばし下さい。






そして舜はドアを開けた。

(ちょっと、いい?)

イパノヴァがそこにはいた。

服が乱れていて視線に困る。

「・・・どうしたの?・・・ってうわっ!」

イパノヴァは舜ににじり寄り、舜が後ずさりしてベッドに近付くと飛び付いて押し倒した。

(お酒の勢いで―)

イパノヴァの顔は赤い。

(お酒の勢いって事で、駄目?)


「・・・え?いや、駄目って聞かれても。」

じっとイパノヴァは舜の目を見つめる。

「・・・理由、聞いていい?その、どうして俺なのかとか。」

(・・・私ね、話せる人が少なすぎて幸せな生活に夢見つつも無理だろうなって諦めてたの。話せないのをいい事に色んなことしようとしてきた人も居たし―それで思わず能力使って事件を起こした事もあって。誰も―オーフェ達はちゃんと私を知って理解してくれたけど、殆どは問題児なんだって私の事なんて見てくれなかった。)

「・・・・・・・・・・・・。」

(だから、ちゃんと見てくれるのが嬉しくて、元気づけてくれるのが嬉しくて、お話出来るのが嬉しくて―幸せ、だったから。幸せをくれたから。)

イパノヴァの目は赤かった。


(だから、あなたがい―)

ギュッと舜は抱き寄せる。

「・・・お酒、かなり入っててさ。勢いに押されたら負けちゃいそう・・・・・・だよ。」

(じゃあ、勢いに押すね。)

そしてイパノヴァはキスをする。

2人で見つめ合い、イパノヴァはするりするりと服を脱ぎその身体を顕にした。

そして舜のズボンに手をかけ―

(・・・え?)

少し素面に戻ったかのような雰囲気。

「・・・何?ごめん、ちょっとこういう知識疎くて分かんないんだけど何あった?とりあえずごめん。」

(ううん、その・・・びっくりしちゃって。)

イパノヴァはちょっと触ってみる。

(曲がらないほど固くもあるし・・・手より全然大きいし・・・太いし・・・凄いね。)

「い、いや、他の人と比べる機会なんて無いから分かんないけど・・・。」

(ふふ、一緒に楽しみましょ?)


朝。

舜は目を覚ましていた。横にはすやすや眠るイパノヴァがいる。

腕をしっかり抱きしめられていて、起きるまで動けないなと思いつつイパノヴァを見る。

(幸せ、か。彼女にとって理想の幸せな未来ってどんなのだろう?)

もぞもぞとイパノヴァが動き出し―サッと背中を向けた。

(ごめんなさいごめんなさい!昨日酔ってて私・・・!無理やり押しかけて・・・!)

「いやまあ俺も酔ってたし断らなかったし。まさか能力まで使われるとは思わなかったけど。4回とも。」

口、胸、対面、背面。その4回とも2人が繋がりあってる分2人分の魔力が使えたイパノヴァの能力で長引かせた。


(ごめんなさい!忘れて!お酒で忘れた事にして!あの時ほんと酔ってて!)

「・・・忘れて、いいの?」

(それは・・・うん、忘れて。)

服を着たイパノヴァは立ち上がる。

(いつか―真剣に想いを伝えるから。お酒に頼らずに。だから、忘れて大丈夫。)

そして彼女はドアの前で振り返り、少し照れながら最高の笑顔を浮かべて手を振り―部屋を出た。

舜はその笑顔に見とれながら。

彼女の求めている幸せについてまた考えていた。














〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


午後。

4人で応接間に集まり、議論する。

話の内容はこれからの活動全般。

「という訳でなんかとんでもないのがいるかもしれないんだけど。」

「難しいですね。給料に関わってきますし。」

特殊部隊は申請し、門にいる役員に見送られて初めて出陣として給料が認められる。

「まあ出るだけでて何もせず安全な場所で過ごして帰るのも出来るっちゃ出来るし、そもそもそんな頻繁に出なくても結構貰えるからお金困らなくはあるんだけど。」

(でもその間に被害に遭う人もいる・・・よね。)

「・・・四凶は、避けた方がいい。・・・隊長、四凶止められないか悩んでるでしょ。」

「まあ・・・止められるなら止めたいけれど。」

「いやぁ、四凶は厳しいですよ舜兄。噂でしか知りませんけど―そんな危険なかけをする程舜兄が体張らなくても。」


舜は目を閉じる。正直、どれ程強いのか分からない。

怜奈でも無理?愛花では?4人で固まれば?

―先輩の特殊部隊53人全員死亡。だったら、固まっても危ない。

そんな思考を巡らせながら、危険には晒したくないとも思う。

「まあ、うん。四凶は・・・無理かな。だから危なくない範囲で動きたいけれど。それも危険かな?正直お金の問題なら俺がなんとか出来るけど。」

(お金だけじゃない、と思う。苦しんでる人、ほっとけないでしょ?)

「まあね。」

愛花がやれやれとリアクションを取り

「1人でまた行かれたら敵いませんですしー。私も行きますよ、舜兄。」

と笑った。

「・・・隊長の命令に従うだけ。」

怜奈も頷いた事で、明日4人で安全そうな場所に向かう事に決めた。


それが茨の道の一歩目だとも知らずに―。

怜「・・・怜奈。」

オ「オーフェだ・・・いやこの2人だと話し盛り上がらんだろ。」

怜「・・・そうでも。・・・この2人なら無言で過ごせるだけ。・・・常に。」

オ「常にそうならそれはもう盛り上がらないと言うだろ・・・。」

怜「・・・仲は悪くないから・・・大丈夫。」

オ「まあそうだが・・・とりあえず今回は舜の話第2弾だ。」


舜 年齢18

外見 メガネ 基本的にシンプルめな服。戦いの時とかに暗いところで潜みやすい分全体的に暗めの服が多い。

戦闘スタイル 不意打ち、受け流し、魔力による堅さを活かした初見殺し。特訓の鬼で基礎自体も出来てるので遠距離が出来ない点を除けば能力なしの素勝負だと強め。思考能力は経験と知識で高いため相手のスタイルや能力も見抜きやすい。

他の人からの性格評価

愛花「ノリがいいですね、ツッコミ出来るタイプだから安心してボケられるのはGoodです。」

怜奈「・・・真面目。」

イパノヴァ(凄い頑張る人。努力が報われて欲しい。)

オーフェ「責任感が強すぎていつか潰れそうだ。」


怜「・・・こんな感じ。」

オ「最後の評価いるか?作品内で分かるように書けば・・・まさか書けなかった時の保険か?これ。」

怜「・・・しー。」

オ「とりあえず、また次回。」

怜「・・・読んで欲しい。」

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