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愛の歌  作者: Dust
8章
193/228

189話 遊園地

「しかしなんでこんな所に・・・。」

遊園地なんかが、と周りを見ながらポツリと呟く。

「・・・普通の遊園地じゃない。・・・恐らく魔力で出来ている。」

「なるほど・・・?」

辺りにはその遊園地以外には何も無く、場所的に人が来やすい訳でもない。

「・・・危険だと思う?」

舜はみんなに問いかけた。

「少なくともこれを作った人はいるはずで・・・これをなんで作ろうとしたかによるけど・・・誰かの為なら人は何人か居るんじゃないかな?」

その問いに漣が応える。

「つまり、情報集めは出来るかもって事ですよね。・・・どうします?舜兄。」


舜は少し悩んでから、切り出した。

「魔力者がいるのは確定だけど・・・害をもたらそうとしてる人間がこんなのを創るとも思えないし、最悪ナチャで逃げられる。・・・入ってみようか。」

舜はナチャの石を取り出した。

そしていつもと違って出来る限りその石に魔力を込める。

糸が現れたが・・・悲鳴は聞こえない。

(魔力の消費は激しいけど・・・これなら大丈夫そうか。・・・。)

「ごめんねナチャ。いつもありがと。」

そうとだけ述べるとその石を戻し、遊園地へ向かって歩き出す。


「すみませーん!誰かいませんかー?」

入口付近で愛花が声を出す。

辺りを見回したり、うろちょろしてみるが人の気配が無い。

「こういうのって入る時受付とかするよね・・・?」

「普通の遊園地は入場料とかありますけど・・・まあ普通じゃないのは確かですけど、勝手に入るのも気が引けますよね。」

悩んでいると意を決した咲希が門をくぐった。

「行こう。悩んでても仕方ないだろ?」

「そう・・・だね。・・・え?咲希!?」

そして完全に遊園地側に身体が入ると共に姿が見えなくなった。


「愛花!手を!何があってもいいように離さず行くよ!」

「え・・・?えっと、はい!」

慌てて舜は愛花に手を伸ばし、握りあって遊園地へ入っていく。

「咲希!」

入ってすぐの所に咲希は居た。

「舜・・・良かった。ナチャで出るぞ、ここは普通じゃない。」

咲希は2人の後ろを指差す。

出入口があるはずのそこは壁になっていた。

「ナチャ!」

舜は石を取りだし、出来る限りの魔力を込めて―

「!?」

糸が現れると共になにかに掻き消された。


「・・・えっと、他の出入口を探すしかない、のですかね。・・・まあちょうどいいですし誰かいるか探してみましょう。仕掛けを知ってるかもしれませんし。」

「・・・・・・。」

愛花の提案を聞きながら、舜は改めて周りを見る。

見えていた遊園地である事には間違いない。

「わっ、と!」

その声とともに背中に軽く手が触れる。

「急に目の前に出てくるから驚いたー!・・・あれ?」

漣が辺りを見回す。

「とりあえず!後二人も来るからどいたどいた!」

しかし、後ろが壁である事を気にもとめず、舜と愛花の背中を押して行く。


程なくして2人が入ってきた。

「帰ってこなかったしなにかあったか、何も無かったか。とりあえずどちらにしてもみんなで入ろうってなったの。外に残してもその人に何も出来なさそうだったしね!」

漣が入ってきた理由を述べる。

「・・・悪いな、巻き込んで。7邪神云々も元はと言えばみんなに関係ないのに・・・。」

「舜さんは負い目を感じる必要はありませんよ。私たちが危険に踏み込まなければ、舜さんの方がより危険になる。舜さんが私たちを危険な目にあって欲しくないと思うように、私も舜さんに危険な目にあって欲しくないのですから、危険を分担していきましょう?」

「そーそー、みんなでなら大丈夫だって!」

雪乃の言葉に漣も同意をする。

「そうだね・・・。うん、ありがとう。それじゃあパパっと問題解決しちゃおうか。」


そうして改めてアトラクションの方を見た時に。

小さなピエロと目が合った。

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

呆然と声が出ない間にピエロは木の板を掲げる。

【ようこそ!】

「え?あ、えっと・・・。ちょうど良かった、たまたま目に入って、その入口で誰かいないか探してたんだけど・・・その誰も居なかったから勝手に入ってきちゃったけど―」

そんな言葉を無視してピエロはそれぞれに紙を渡す。

「・・・・・・。」

スタンプラリーと書かれた紙。

【ここを出るには、楽しむこと!】

「楽しむ・・・?あ、待って!」

ピエロはスタスタと走り去っていった。


「追い・・・ますか?」

「・・・出ること優先で行こう。こちらの問いに答えてくれなさそうだったし・・・。」

「じゃあ楽しめばいいんだよね!」

目をキラッキラに輝かせた漣がスタンプラリーを手にはしゃぐ。

(出入口を探したり壁を壊したりで出れるか試そうと思ってたけど・・・言い難いな・・・。)

「舜兄、一旦楽しむ方面で考えましょ?」

「と言っても・・・このアトラクション達が安全かどうかは・・・。」

「それじゃあ不肖この漣が偵察がてら乗ってきます!!!私なら炎になれるから何かあっても対応するよ!」

舜は本気で楽しみにしてる漣に押された。

「下で何かあったら対応出来るよう構えとくよ。・・・まずはどれに乗りたい?」

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