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愛の歌  作者: Dust
7章
178/230

174話 その心はきっと、優しき月の光のように

(さて・・・困ったな。何か起きてから動いたんじゃ、必ず被害者は出てしまう。とは言え、何もしてないのに何か出来ることは殆どない。)

椅子をぐるりと回し、コーヒーカップを片手に外を見る。

(こちらの目は多くても6人分、それに対して向こうは幾つあるのか分からない。こちらの情報もバレてる以上、動いたらまずバレる・・・。)

「外に、何が見えるんだい? 」

「・・・希望でも落ちてりゃ拾うんだけどね。」

「おや、そう言うのは自分の手で掴み取るもんだろ?」

「今はコーヒーカップで片手が埋まっててね。」

「もう片方の手があるじゃない。」

「残念ながら・・・利き手じゃない。」

ふふっと女は笑う。

「妹が気にいる訳だ。」

「・・・妹さんは教会だっけ?」


誰か迎えに行かせようか?と口に出そうとして思い止まる。

(逆に危ない・・・かもしれない。敵が見えてない以上、誰かを庇いながら戦うのは負担になりうる。)

「・・・お兄さん、考えすぎる癖でもあるのかい?ずっと難しい顔して。」

「そう・・・だね。考えすぎ・・・ならいいんだけど。」

舜は困ったように笑った。

「お兄さんねぇ、困ってる人をほっとけないみたいだけど。どんな結果になろうがそもそも困った状況になったのはお兄さんのせいじゃないんだからさ。悪化さえさせなければいいくらいの気持ちでいいんじゃない?」

「・・・うーん。」


もし仮に、異教が理由で戦闘が起きようものなら。

しばらく戦争すらなかった国と、能力者の集団の対決。

舜達が居なかった時、多大な被害が出るだろう。

その被害を少しでも食い止めれば。

それは本来、その時点で助けになっているのだが。


そんな思考など、一切湧いてすら出ないのだ。

彼は、どうやったら全ての被害を食い止められるかを必死に考えている。

彼にとって1人の犠牲でも許され難い事であり。

その犠牲が出た時点で失敗したと、責任を感じる事になる。

「何故なら彼の本質は、慈愛なのだー!」

「・・・急にどうしたの?愛花。」

愛花はいつの間にか横にちょこんと座っていた。

「慈愛なんて・・・殺し合いばっかの人間に使う言葉じゃありませんよっと。」

「いいんじゃない?そんな人間がいたって。ねー、お嬢さん。」

ねーと愛花も相槌を打つ。


「私、舜兄の思考位ならもう簡単に読めるんですよ?現に慈愛以外のとこ、否定しようとしてみてくださいよ。」

「いやそんな事・・・そりゃ全員救えるなら救いたいけど・・・犠牲者が出たら責任は・・・感じるけど・・・・・・失敗したって、思うだろうな・・・。」

「つまり全部合ってるって訳かい。お兄さんもお兄さんだけど言い当てるお嬢ちゃんも大概だね。」

ふふっと愛花は笑う。

「支えるって、決めましたから。」

「・・・いい彼女を持ったねぇお兄さん。」

「・・・よく付き合ってるって分かったね?」

「そりゃ見れば分かるよ。お似合いだよ、お兄さんと強いお嬢さんは。」


愛花は嬉しそうに笑う。

「お似合いですって!ふふ!」

そんな愛花を舜はにこやかに見つめながらも。

(・・・愛花に支えられてばっかりで、更に支えてくれようとしてくれている。お似合いと言うにはあまりに・・・そもそも人としての出来が違うか。・・・これはただの自己満足なんだろうけど・・・俺も愛花を支えたい。支えて支えられて、その関係がきっと・・・俺にとっての幸せだろうから。)

「・・・いいじゃないですか、自己満足で。私だって好きで支えてるだけですし、彼女としてそれをやりたいってのはそもそも私の我儘って告白の時に伝えたじゃないですか。ね、お互いの満足を擦り合わせましょ?」

(・・・。)

「・・・次に舜兄は。」

「「マジで完璧に思考読んでくるじゃん・・・。」」

「と言う!」


ふふんと得意げな愛花を見て、舜は笑う。

「考えてみれば俺も想いをぶつけ合って戦うだけで相手の想いとか、その想いにまつわる過去とか見れるのだから。よくいる人の思考回路位読めても不思議じゃないね。」

「・・・え?そんな能力持ちなんです・・・?」

「あ、俺も愛花の思考読めるかも。今、心配してるね?大丈夫、むしろ何も分からないで終わるより・・・幾分も救われてる。」

愛花は強くうなづいて、舜の目を見た。

その顔が舜にはとても美しく見えた。

子供っぽかったはずの子の、その子の表情が。

誰よりも強く見えたのだから。


「また・・・沢山話をしよう。一緒に分かち合うために。」

今の愛花になら、共にその想いを背負ってもいい気がした。

1人で何でもかんでも背負おうとしてきた舜がそう思える程・・・彼女は見違えるように、強くなっていた。

(いや・・・気が付かなかっただけかもな・・・。俺はちゃんと周りの事を見れてきただろうか?)

ふと愛花を見て、思い付いた。


(今めっちゃ心の中で可愛い連呼したらどうなるんだろ・・・!)

「・・・舜兄?なんか今意地悪なこと考えませんでした?」

(うぉぉぉぉ!!!!可愛い可愛い可愛い可愛い!!!!)

「しゅ・・・舜兄・・・?」

愛花の顔が赤くなる。

(恥ずかしがってる愛花ちゃん可愛いねぇ〜〜!!!!!!)

「な、なんか・・・顔が熱い・・・。うぅ・・・。」

ニッコニコしてる舜の猛攻は10分くらい続いたあと、2人で教会にいる少女を迎えに行った。

漣「漣ちゃんだよ!」

雪「雪乃です。」

漣「舜くんのキーワードとしてやっと出てきました慈愛!」

雪「どのキャラもですが、キャラを作る上で影響を受けた曲やキャラがちょこちょこあったり。さて、舜さんのモチーフどこまでバレてるのでしょうか。」

漣「曲は2曲、キャラは2人。更にはその内1曲は1キャラの出る作品の曲だったり。ちなみにキャラは過去回でとんでもないヒントが出てるよ!」

雪「それではまた次回。」

漣「読んでくれたら嬉しいな!」

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