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愛の歌  作者: Dust
7章
172/229

168話 回り続けるこの星は

自身が人ではない。

その可能性を示唆でもなく、断定をされた。

その事実を受け、舜は驚く程冷静で静かだった。

「・・・そうだね、人と同じ姿をした人外がいる世界で、記憶も無しに人と言い切れはしない。だけど―。」

竜族の咲希にはちゃんと記憶がある。

「それだけじゃ、理由にならない。」

「正確に言おう。邪神や邪神を持った者から見たお前は、人間じゃない。」

「・・・!セカイを壊す者・・・か。」

カオスは頷く。

「そして俺はお前がこの世界の創造者にとっての何かであると思っている。夢を終わらせるには夢から醒めればいいように、想像を終わらせるには思考を止めればいいように。―セカイを終わらせるのは創造者故の力では無いかと。」

「・・・セカイもそれらと同じだと、その邪神が言ったのか?」

カオスは応える代わりに愉快そうに笑った。


「あ・・・あの・・・。」

愛花がおずおずと話を切り出す。

「1個だけ分からない事があって・・・あの・・・この話がもし事実だったとして・・・それで何をすれば・・・?」

「そ、そうっすよ!今の会話で一体何を・・・!」

カオスは手でシュメールを遮る。

「愛花、俺たちに出来ることってなんだと思う?」

「えっと・・・セカイを壊さないよう気を付ける?でも何きっかけかも分からないし・・・えっと・・・。」

愛花は悩んだ後、首を振った。

「そう、俺たちに出来ることはないんだ。この談合は最初からずっとあちら都合だよ。・・・さて、問題。人類の大敵を倒そうとしている人間が、セカイの敵と相対して何がしたいと思う?」

「・・・私たちずっと、針のむしろの上に座ってたんですね。」

愛花はカオスの後ろの手練2人を見て、いつ戦闘になってもいいように覚悟を決める。

そんな愛花にもう大丈夫だよと言わんばかりに舜は愛花の手の上に手を置いた。


「すまない、気を悪くしたのであれば謝ろう。セカイを壊せるかもしれない人物がどんな存在かは確認しておかなければこちらとしても不安だったのだ。代わりと言ってはなんだが、何か要求があるか?」

「・・・お互い信頼を買うターンって所か。こちらの信頼を買ってもらったのと今の話が面白かったからそれである程度はいいんだけど・・・。そうだね、更に此方から別の情報も売って1個信頼と共に買わせてもらおうか。」

カオスは面白そうに続きを待つ。

「その手元にある邪神の名前、教えてもらおうか。」

「ほう・・・ふむ・・・なるほど。」

続きは?と言わんばかりにカオスは待つ。

タダで教えてやるつもりはないと言う意思表示でもある。


「とりあえず現状で確定したと言ってもいい内容として、この世界はおかしな部分があり、邪神とそれを所有、または力を授かったものはそのおかしな部分に気がつける。ただし邪神の所有者でも邪神の力も受け取って無い愛花も気が付けることから・・・他の条件もあるかもしれない。それ以外の事はあくまで推測。―ここにもう1個、確定する追加要素を出そう。」

「・・・ふむ。内容次第だな。どうする?」

舜は笑みを浮かべたまま平然と続けた。

「邪神には格がある。不完全のクトゥルフを所有した者、ナチャと一体化した者、クァチル・ウタウスの力を受け取った者。クァチル・ウタウスだけ本体がそこに居なかったから判断に困るけれど、これらの3人は俺の事をセカイを壊す者なんて思ってもいなかった。逆にクトゥグアを持った者、ハストゥール本人は俺の事をそうだと断じた。邪神の格によって見える世界は異なるんだ。」


そして舜は鋭く視線で刺した。

「俺がセカイを壊す者だと断じたそちらの邪神も格は高いと見える。・・・こちらの邪神の情報は持ってるんだろ?信頼を買わせたければその格の高い邪神の名前位はこちらも知っておきたいのさ。」

「ふっ、今日はいい日だな。こんなに頭の切れる相手と話すのは愉しいものだ。・・・いいだろう、こちらの邪神の名前はツァトゥグァだ。どうか、最後まで敵対する事が無いことを祈ろう。」

舜は立ち上がり、愛花にもそろそろ行くよと促す。

「いつでも訪ねてくれたまえ。デバイスでのやり取りでも構わん。君たち2人のためなら時間は作ろう。」

「どうも。」

そして2人はカオスの部屋を後にした。


「クトゥグア、ツァトゥグァって何者?」

部屋を後にした2人は自身たちの部屋に戻ろうとしながら、舜はさっき聞いた邪神の確認を取っていた。

『豊富な知識を持つ堕落した邪神。格としては低くはありませんが・・・。』

「低くは無い、か。有り得なくは無いラインなんだろうな。・・・・・・。」

(・・・セカイの壊し方について創造者ならと語れたのはその豊富な知識とやらか。それとももっとヤバいもんを連れているか・・・。)

舜はやがて無言になった。


「舜兄・・・?えっと・・・その・・・今言うことか悩んでるんですけど。」

そんな舜の横を歩いていた愛花が舜の顔色を見ながら口を開いた。

「・・・?どうしたの?」

「せっかく滅多にない船なんですし・・・ツーショット撮り損ねてたなって。」

ちょっと気分転換も兼ねて、愛花は提案をしてみた。

「・・・愛花。」

舜は真面目な表情のまま立ち止まった。

「あ、いや、まだ考える事があるのであれば―。」

「ううん、違うよ。・・・ツーショット、沢山撮りに行かないと、今すぐに!」

そして2人は色んな場所で写真を撮ってから部屋に戻った。

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