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愛の歌  作者: Dust
6章
166/228

162話 散髪

アウナリトの舜に与えられた部屋にて。

「・・・髪、伸びてきたな。」

束の間の安息の時間を舜は過ごしていた。

戦闘でぶっ壊した家屋はむしろ「魔力は物理法則を無視するんだ!これは研究材料として素晴らしいぞ!」と感謝される始末。

ピュラはあれ以降姿を見せていない。

それでも色々気を抜けないから出来る限りアウナリトに戻っていた。

「・・・そうっすか?まだ伸ばしても全然かっこいいっすよ?」

ムルシーが舜の髪型を見て言う。

「戦闘の邪魔になる長さに入ってきたんだ。」

「あー・・・あー・・・ああ・・・なるほど・・・。」

ムルシーは何と返していいか困惑し、とりあえずの相槌を打った。


舜は小さな刃物を作り出し、髪をむんずと掴む。

「待て待て待て待てまてーー!!!!何してるんすか!」

「え?いやだから髪を・・・。」

キョトンとする舜を必死に止める。

「鏡も見ずに適当にやるんじゃないっすよ!!イカしてる髪にするどころかイカれてるんすか!?」

「上手いこと言ったつもり・・・?」

騒ぎを見ていたシィラもムルシーに加勢する。

「めちゃくちゃ素材は良くて素材の良さだけで上澄みに余裕で入れる顔してるからって、ちょっと意識無さすぎですよ。そもそも生き方としてもうちょっとオシャレとか、殺し以外の平和な趣味にも没頭して欲しい位です。」

「別に・・・殺しは趣味じゃないけど・・・。」

平和な趣味、と言われて考える。

「料理と読書・・・?」

「なんでこんな平凡ながらも立派な趣味してる人があんな殺し合い特化の兵器みたいな存在になるんですか?」

「シィラ先輩、口撃は割と効くからそこまでに・・・。怜奈さん!見てないで怜奈さんも止めてくださいっす!」

怜奈は車のカタログから顔もあげずに言った。

「・・・適当に切っても、その人かっこいいでしょ。・・・それに何度もやってるだろうから変にはならないはず。」

「そうかもっすけどー!なんか違うんすよ!こう・・・違うんすよ!」


「何の騒ぎですか?」

愛花が自室から出てきて声をかける。

「いえ、かくかくしかじかで。」

「なるほど、しかくい車と。」

愛花はふわっと笑った。

「任せてください、簡単に説得出来ますよ。」

「うおっ、凄い超速理解。助かるっす。」

愛花は舜の正面の椅子に座る。

「舜兄。見た目は戦闘でも使える手段になり得ますよ。」

「うわっ、なんか頭戦闘狂みたいなこと言い始めたっす。」

舜は少し考える。

「まあ・・・使えるかは分からないけどそれでも手札は多い方がいいか。」

「通ってしまいました・・・あんな説得が・・・。」

愛花は得意そうな顔をしている。


「あ、ついでに私が切ってあげましょうか?」

「いやいいよ。」

「えー?鏡みて自分でやるよりはいいと思いますよ?」

愛花は食い下がる。

「こういう時の愛花ってちゃんと真面目にやってくれるし出来る限りやろうとはしてくれるんだけど、それはそれとして完成形には期待出来ないからいいよ。」

「ひどっ!?」

その会話に怜奈はようやく顔を上げた。

「・・・前に、愛花に切って貰った事の話。・・・結構切ってたのに最終的に、後ろ髪が伸びた。」

「????????????」

その場にいた愛花以外の誰もが、理解出来ないと言わんばかりの顔をした。

「えっと、ごめん、なんて?」

「・・・切って貰ったら、髪が伸びた。」

「なんで?????」

分からないと怜奈は首を振った。


「でもあの時の怜奈ちゃんはかなり評判良かったんですよ!ね、ムイちゃん!」

「あー・・・あったよね。ただでさえ美人なのに更によく見えた時期が。・・・1年くらい一切変わらず。」

「・・・切ってもないのに・・・ずっとそのままの長さだった。」

その話を聞いて舜は考え込む。

「少し怖い賭けだけど・・・1年間手入れしなくても戦えると思うなら・・・有りか・・・?」

舜が傾きかけてる中、ムイムイは小声でムスルスに話しかける。

「・・・ムスルス、今ならまだ立候補すれば変われると思うけど。」

「誰かの切ったことないから・・・自信ないし・・・失敗したら絶対に嫌だから・・・。」

「そっか。じゃあ愛花による謎の散髪に託すか。」


「さてさて!あ!髪の色とかも弄りますか?」

準備を終えた愛花はテンション高く尋ねる。

「弄んない。黒の方が戦闘で便利。」

「判断基準全部戦闘なんすか。いや、戦闘でしたねなんでもないっす。」

パチンパチンとハサミの音が鳴り・・・。

「じゃーん!マッシュ!どうですか!?」

「駄目!」

声を上げたのはムスルスだった。

「そんな髪型弱そうに見えるからダメ!」

「今色んな人敵に回しましたよ・・・?そんな事は無いですからね。じゃあ・・・。」

パチンパチンとハサミの音が鳴り・・・


「じゃーん!ロング!」

「どうやったんすか・・・?え?目を離したつもり無かったのに・・・ロングに・・・?」

ムルシーが困惑する。

「・・・愛花、これ、戦闘、邪魔。」

「あ・・・。でもうーん・・・男性の髪型もう思い付かない!」

「・・・自分でやっぱ切るか・・・なんか切る量増えたけど・・・。」

見かねたムイムイが舜の背後に回る。

「愛花、ほらハサミ貸して。・・・やれやれ。」

そして、雑談をしながら普段の髪型にまで綺麗に戻した。


「おー!前髪も邪魔にならない短さだし、完璧!ありがとうムイムイ!」

「いーえー。しかしこういうの、王族なんだから使用人とかはいないの?」

舜は表情そのままに首を振る。

「王族って言ったって元だし、その元のも形だけで使用人は1人の老兵だけだったし。その老兵もこの前の戦争で殺したし。」

「サラッと地雷爆発させるのやめて?踏んだのは私だけどさ。」

ムスルスがさささっとムイムイに近付く。

「切るの、教えて。そしたら次から私も・・・!」

「え、めんどくさい。」

「・・・じゃあまた切らなきゃって度に今のショートコントやって結局ムイムイが切るって事で、いい?」

うっとムイムイは言葉を詰まらせる。


「あー・・・舜さん舜さん。次からはめんどいからムスルスに切るの仕込んどくね。髪切る必要あったらムスルスに頼んで。」

「いいの?悪いね、ありがとう。」

後ろではムスルスがガッツポーズをしていた。

「ただいまー!あれ、みんないる。アウナリトって暇なの?」

漣の声にみんなが振り返った。

「漣、その二匹は?」

「なんか懐かれちゃって・・・飼っていい?」

漣の肩にはカラスが、足元には黒猫が擦り寄って歩いている。

「ちゃんと世話出来るの?餌やりとか、お母さんがやる事にならないでしょうね?」

「大丈夫だよ舜ママ!私がちゃんと責任もって可愛がるから!」

そうして、平和な1日は過ぎていった。

ム「ムルシーっす!」

シ「シィラでございます。」

ム「久々の後書きコーナーを乗っ取っていくっすよ!」

シ「久々の日常回でした。」

ム「最後は下に走るか悩んだみたいっすね。鳥にトラウマが残ってるムスルスさんが胸をこう腕にグイグイと押し付けながら恐怖に震え。」

シ「カラスが飛び回ったせいで暴れてそのまま舜お兄様事倒れ込み、体勢が変わったせいでたまたま胸が手にスポっと。」

ム「そして私がそのどさくさに紛れ舜さんのを触り、ナイス〇〇〇〇!立派っすねー!と。・・・つまり今回私触り損ねたのか!」

シ「私がこんなんにさせてしまったなら処理も私がしなくちゃだよね!?とおめめグルグル混乱したあの女とムルシーお姉様の前に雪乃お姉様が現れ、静かに冷気と共に切れて終わるエンドとか。」

ム「まあ思い付いた理由がオチが思い付かない・・・!なんか安易なラッキースケベオチなら・・・!みたいな感じだったのでいや普通にこれ内容としてどうなん?と普通に終わらせたみたいっす。」

シ「それでは今回はここまでで御座います。」

ム「次回もよろしくっすー!」

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