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愛の歌  作者: Dust
1章
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14話

朝、トレーニングルームにて。

(そういえば!)

イパノヴァは舜に話しかけていた。

(遠距離攻撃、武器で出来ないかな?)

「あー・・・やろうと思ったことはあるけれど。見様見真似じゃ中々上手くいかなくて。」

(私のこれは?)

イパノヴァは自身のよく使う糸の先に刃の付いた暗器を作る。

「・・・へー、持ち手って棒状なんだ。・・・それって分類何になるの?」

(・・・近いのは分銅鎖?)

舜はそれをイメージして作ろうとする・・・が。

「・・・ごめん、それちょっと特殊すぎて作りきれないかも。糸はそれっぽく出来たけど・・・。」

(んー・・・じゃあ他のかな。)

「鉄砲系統は結局魔力がいるし投げる系統は大暴投するし。1番惜しかったのは弓かな。やり方は本で学んだんだけどイマイチ合ってるか分からなくて。」

(弓道なら教えられるよ?)

イパノヴァはニコっと笑いかける。

「・・・マジ?お願いします!先生!」


イパノヴァは一旦部屋に道具を取りに行くといい、結構時間が経った後に戻ってきた。

(ごめんね!待たせちゃって。色々準備が必要で・・・。)

イパノヴァは胸当てを付け、右手には何か皮の素材のものを付けている。

(弓道だとこのかけっていう道具が必要なんだけど・・・戦いの最中に付ける訳にもいかないからそこは色々やりやすいよう変えるとして・・・。とりあえず見本見せるね!)

イパノヴァは弓矢を生成する。

そして1連の動作の後に見事、トレーニングルームにあった的に当ててみせた。


「・・・綺麗。」

舜は思わず感嘆の声をもらす。

イパノヴァは残心を取ったあと、舜に話しかけた。

(相手がシンプルに教えられる男の人で良かったー。女の人だと人次第で頬付離してみたりブラとか・・・あっ、ううん!なんでもない!)

(・・・その胸で色々苦労したんだろうな、イパノヴァ。)

舜は何となく察しつつ、話を変えるために

「次はやってみるから、見ててもらっていい?」

といった。

こうしてしばらく2人の特訓が続いていた頃だった。

サイレンが突如鳴り響く。


(・・・これって。)

「・・・サイレンが4度か。初めて聞いたな。・・・ローグが仕掛けてきた合図だ。」

(・・・!どうするべき?)

舜はゆっくり伸びをする。

「ま、慌てない慌てない。落ち着いてみんなと合流、その後に・・・防衛部隊が出てるだろうしそれの手伝いになると思うよ。もしかしたら特殊部隊全体に司令が入るかもね。準備する暇ぐらいはあるよ。」

アウナリトは能力者が産まれて以来、1度も攻め込まれたことのなかった。

ローグがそんな大人数で手を組まないっていう要素もそこには含まれている。

そのローグが、戦争を仕掛けられる程の軍となって攻め込んで来た。


(・・・今まで無かったからこれからもってのが通用しないのは分かってるけれど。あまりに急すぎる。・・・ローグをまとめあげたのは一体何者だ・・・?)

舜は部屋で一通り準備を済まし、応接間に出た。

既に全員待っている。

「という訳で、みんな準備いい?とりあえずはぐれない事。全員で固まるよ。」

舜の声にみんなが頷く。

「司令は・・・うん、出てるね。」

舜はデパイスで確認する。

そして、司令に従い動き始めた。


今期の特殊部隊、25人が一堂に会する。

「司令では2チーム合同と3チーム合同の組み合わせで分かれて戦う場所が決められている。どの組み合わせで行くか?」

リーグが代表して話を進める。

「1番の懸念点なのですが・・・申し訳ありませんが・・・舜様ですね。我々は他の人とも知り合い、共闘の訓練なども経験済みですが舜様だけはその点が御座いません。」

マキナが現在の状況をまとめあげ、言う。

「じゃ、舜ちゃんとあーしの部隊で合同、ほか3つって感じでよろー☆あーし、舜ちゃんの部隊と関わりあーからさ。」

隊長格に選ばれたメンツはさすがだった。素早く、しかし正確に事を運んで行く。


「・・・えっと、という訳で。」

「私達もいたから聞いてますよ舜兄。」

「うん、まあとりあえず西のエリア。・・・"基本的に"見回りだけど。」

舜はデパイスでマップを出す。

宙にマップが浮かび上がる。

「舜ちゃん、来ると思ってるんだ。あーしも同意見かな。」

リビは舜の肩に頭を乗せ、体をもたれかかりながらマップを覗き込む。


「というか舜ちゃん、色々考えあるのに話し合い中存在感消してたよねー。」

「・・・司令そのものは変わんないしね。」

「へー、意外と読書家なんだ。全部本の知識だから実際は分からないし発言避けとこ・・・ってのが本音ね。」

舜の部屋にある大量の本。

色んなジャンルのものがあるが・・・舜はそれを全て読み込み、自身の知識と合わせて照らし合わせという事をよくやっていた。

「・・・俺が相手の司令なら、この西のエリアって重要だと思うんだよね。」

戦争の基本は包囲―今の防衛隊がいる位置を見ると後ろに回るならこの西のエリアだと舜は睨む。


少し坂の多い、高い位置から眺められる地形。

「かなり派手にやり合うかも・・・10人の連携、しっかり取らなきゃね。」

「んー、多分来るとしたら覚醒してるの来ても2〜3人だと思うよ。真正面にやっぱり戦力回したいだろうし。だからそんな気負わずにね、舜ちゃん。」

リビはぽんぽんと舜の頭に触れ、自身の隊の人と話しに離れた。

「舜、お前女慣れしてなかったような。」

「心読まれるから心殺してた・・・危なかった・・・。」

「そうか・・・。」

オーフェと軽く雑談をするがその表情は硬い。

舜は周りを見る。

イパノヴァも少し気負ってる様子が見える。


(この2人は・・・とりあえず裏方サポートとして。)

怜奈は何が起ころうとどこ吹く風と言わんばかりにいつも通りで、愛花も特に心配はしてる様子はない。

舜はリビの隊を見る。

ライガは・・・リビと会話してるのだがなんかちょくちょく舜を睨んでる気がする。リーンは舜の隊の女子メンツをうんうんと眺め、トゥールは顔が相変わらず見えず、セロは何かをぶつくさと呟いている。


(・・・とりあえずトゥールとセロも最初は後ろかな。セロは能力がある程度発動したら前に出て―愛花も後ろの方が安全だろう。前は俺とリビとライガとリーンでやるとして・・・怜奈には行けるタイミングで後ろから付き崩してもらおう。)

舜はそれだけ思うとリビにアイコンタクトを送る。

リビはアイコンタクトを送ると思った時にはこちらを見ていーよーと言わんばかりに手でOKを作り、ニヤリと笑う。

(うん、リビには最悪言葉なしで連携が取れる。これはいざとなったら使える・・・。)

そんな舜を見守りながらリビは少し表情を曇らせる。

(こっちは―どうにでもなる。だけどむこーは・・・元帥の心を近付いて読まなくても分かる。わざわざ3部隊も送る、そのりゆーは・・・。大本命はそっちだよ。無事でいてね、リーグ、マキナ・・・ついでにキッソス)

そして―舜達は戦場へと繰り出した。

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