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愛の歌  作者: Dust
5章
149/228

146話

病室。

「・・・本当に同じ部屋で良かったの?」

「話し相手が居た方が嬉しいっす。それに舜さんそんな長居する気はないんでしょ?」

「・・・まあ、そうだね。」

胸を刺されてるので軽傷では無いのだが、舜はさっさと出るつもりである。

「じゃあ、何の話する?」

「そうっすね・・・あ、なんか前々から考えてた事があったんすけど私馬鹿だから分からなくて。教えてもらいたい事があるんすけど。」

「なになに?」

舜は乗り気で耳を傾ける。


「目を、つむるとつぶるの差ってなんすか?」

「閉じるという意味では変わらない・・・かな。でも何かを敢えて見ない振りをするとかならつぶるしか使わないと思う。」

「ふむふむ・・・じゃあ次。頭痛とか腰痛、腹痛とかは言うじゃないすか。でも首とか肩、膝とかはなんなんの痛みって間に''の''が入るじゃないすか。この差は何すかね?」

「あんまり聞かないだけで肩痛、膝痛って単語は確かあるよ。首は頚部痛・・・だったかな。」

「うっ・・・自分が無知だっただけっすか。じゃあ次。黄ばみ、黒ずみ。"ば"と"ず"の差は?」

「黒ばむとは言うな・・・ばむ・・・色以外にも汗ばむとか言うか。逆にずむは・・・青ずんだとかあるから他の色にも1部使うのかな。片方が古い言葉がそのまま残ったのかな・・・ちゃんと調べてみないとなんともだけど・・・。」

「おー・・・おー・・・?」


ムルシーは聞いた話を何となくで理解しながらふんふんと言う。

「別に俺もその分野の専門家って訳じゃないから間違ってる可能性あるし話半分で聞いててね。」

「いやいや、こういうのって可能性を探すというかなんでだろうなぁって深堀してるタイミングが1番楽しいじゃないすか。」

舜はカーテンで仕切られているムルシーの方を見る。

「・・・勉強とかって今までどうしてたの?」

「え?いや、そんなん出来るような環境じゃなかったっすよ。学校とかは行ってみたかったなぁ・・・可愛い制服着てみんなとワイワイしながら。」

ローグとしての日常を思い浮かべながら、今まで自分が殺し合いをしたローグ達の顔を思い浮かべて舜は少し悲しそうな顔をした。


「うん・・・ムルシーは絶対頭良くなるよ。探究心があるから、必ず。」

「急に褒めてなんすか・・・えへへ。今からでも勉強やろうかな・・・。」

心底嬉しそうにムルシーは言った。

「うん、いいと思う。俺も学校に行ってた訳じゃないけれど・・・王族として勉学を受けていた。けど、その時は全部とりあえずこなしてただけで。今、色んなことを知って振り返った時にもっとちゃんと学んでば良かったなって思う事は多々あるから。学ぶ事には意義があるんだなって、そう思う。」

「あ!じゃあ勉強会しましょうよ!教師役でも一緒に学ぶのでもいいから、一緒に!」

その声色に舜は若干申し訳なくなる。

「魅力的だけど・・・俺はここにそんなに長くはいないよ。」

「え〜?あ、なんかあの蜘蛛の糸で定期的に帰ってきてくださいよ。ね?」

「・・・時間が空いてたら、定期的に帰るよ。」

「よっしゃ!約束!」


2人で話しているとノックの音が響いた。

「お邪魔します。シィラです。」

「おーシィラ先輩!私のお見舞いですか?」

「それは後でついでにやります。」

「ついで・・・。」

シィラは舜のベッドの横の椅子に座る。

「ふむ・・・安静にしてないと行けない今、舜お兄様に色々やれるのでは?」

「え?」

「何する気っすか!?何する気っすか!?!?」

「・・・おお、大きいですね。凄い・・・。」

「何がっすか!?何がっすか!?!?」

「・・・ふふっ、カチカチ。」

「はっ・・・!はっ・・・!」

ムルシーの息遣いが激しい。

「おや、ムルシー姉様安静にしててください。ただ舜お兄様の手のひらが大きくて、上腕がカチカチってだけですから。」

「あとで・・・覚えておけっす・・・!」


シィラはゴホンと咳払いをする。

「では本題です。7邪神について、舜お兄様が持ってる邪神たちの話も聞きながらやりましょうか。」

「クトゥグア、ハストゥール。お願い。」

クトゥグアとハストゥールが人の形状で姿を現した。

「さて、今()()()()()()7邪神はクトゥルフ、クトゥグア、ハストゥール、アトラック=ナチャ、クァチル・ウタウス。とりあえずここまでは平気ですね。そして、7邪神に入ってないだけの邪神も存在します。元、ではありますがダゴンさんとかがそうですね。」

「7邪神かの線引きはどこで?」

シィラは2柱の方を見る。

シィラでは知り得ない情報ということだろう。


『簡単に言えば・・・能力で人類から見た世界、所謂文明を滅ぼせるかどうか。7邪神以外でも実力で滅ぼせそうなのもいる。』

『我が炎は触れた物質を全て灰と化す。それが世界であっても。ナチャの糸は包んだものを隠してしまう、孤独に耐えかねて暇潰しに作っているその糸が世界を覆う大きさになった時に世界は終焉を迎える。クトゥルフの水によって沈んた物は全ての機能を停止する。クァチル・ウタウスが触れた物は老い枯れ果て、寿命を迎える。そんな所です。』

ハストゥールの説明にクトゥグアが補足を入れた。

「・・・ハストゥールは?」

『私の能力は知っている通り、災害を消し去る。そして今・・・。』

ハストゥールは一旦言うのを躊躇ったかのような詰まり方をする。

『・・・今、世界は、人を災害と見なしている、よ。』

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