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愛の歌  作者: Dust
5章
133/228

130話

クロムの配下と聞けば誰もがまず4柱をあげるであろう。

カオスに連れられ出会った4人は、それぞれ別々の場所で覇者として君臨していた。

あまりの強さに(スレ)魅入った者()

最後の殺し合い相()手として楽しみに()について行った者()

その強さに屈()服しながらも()いつか倒そう()としていた者()

その強さで自分()の価値を決めて()貰おうとした者()

クロムの圧倒的な強さ故に付き従った4人。

しかし、彼らにとってクロムが何者であろうが関係の無い話であった。

彼らが付き従ったのはクロムの"圧倒的な強さ"であり、クロム本人ではない。

言ってしまえば力を見せたのが別の者であれば彼らはそれに付き従っていたであろう。

ただ、彼らを従えられるほどの力を持っていたのがこの世にクロムしか居なかったというだけの話で。


「・・・追ってきて良かったんすか?せっかく群れて過ごせてたのに。」

かなりの距離を走ったにも関わらず、息を一切乱していないムルシーが振り返った。

「お前らこそアウナリトの2人組から離れて良かったのか?」

追ってきたのはこちらも5人。

「お前らの事はよく知っている。必死にアピールしてきたのに全くクロムから見向きもされなかった雑魚3人と、クロムのお気に入りの片割れだ。見たところ、身体目当てってところだろうな。」

「そんな!?確かにシュヘル先輩が一番の忠臣と言われながら他と扱いがあんまり変わらなかったのは事実っすけど!」

「よし、ムルシー後で殴る。」

クロムについて行った者は知っている。

クロムは2人の人間にしか自身の素顔を見せなかったことを。

本当の意味でクロムの配下だったのは2人しか居なかったことを。


「クロムに誘われる前は特に目立つ存在でもなく、戦いで前線に出てくることも無かった・・・ただの愛人だ。片方は乳目的で片方は幼女趣味、大したやつだよなクロムも。」

「・・・あーあ、冗談言ってる間に止まれば良かったのに。口が過ぎると悲惨な目にあうのはそっちっすよ。」

5人はムルシーの発言を笑い飛ばす。

「安心しろよ、男3人は殺すがクロムのお気に入りにまでなったお前の身体は存分に堪能してやるからよ。」

シュヘルとバルトリーニとクローヴィスはシュヘルの作った透明な階段を登り始める。

そしてシュヘルはムルシーに振り返った。

「加減は必要ねぇぞ。」

「もちろんそのつもりっす!」

空中に座り見下ろす3人の視線を背に、ムルシーは炎のついた拳を目線の高さまであげて目を瞑った。


「・・・クロム様。これはあなたに捧げる鎮魂歌っす。」

「行くぞテメェら!」

目を開けたムルシーは向かってくる5人を見向きもしない。

「・・・クロム様が自身の全てを見せても大丈夫と判断した1人なんだぜ。」

ムルシーはその燃える拳で地面を殴りつけた。

「そんな(強さ)を持つ奴が弱いはずがねぇだろ。俺らすら簡単に超えていきやがってよ。」

焔炎踠苦(えんえんえんく)大地獄(だいじごく)!」

蒼炎が視界にあるありとあらゆるものを包む。

「クロム様を悪く言ったお前らは・・・この地に残る事すら許さない!」

灰すら燃え尽き、そこに人が跡など残らなかった。


「クロム様・・・涙は炎で枯らしたっす。あなたは笑顔の方が喜ぶだろうから・・・。」

「しかし・・・お前といいシィラといい実力がそこそこ程度の演技をしてたのによくもまあどいつもこいつも見抜くよな。お前なんか死にかけるくらいの演技をしてたのに。」

地上に降りてきたシュヘルがムルシーに声をかける。

「ふっふっふ!舜さんに助けられた時はあんな大戦に緊張しててマジでミスっただけっす!」

「・・・・・・そうか。」

呆れた顔でシュヘルは頭をかいた。

「しかしよくクロム様を馬鹿にしたもんだ。俺たちの前にはこいつらは無力だってのに。」

「さらっと中に入ろうとするなバルトリーニ。俺たちじゃねーよムルシーだよ。」

「何を言う!俺たち4人はいつでもクロム様に付き従い働いた仲じゃないか!」

「お前らは3人組だっただろうがアンガスがあの世で泣くぞクローヴィス。」

「ああ!済まないアンガス!5人組だ5人組!」


ムルシーは天を仰ぐ。

「そーいえばムルシーってクロム様の素顔知ってるんだよな。やっぱムキムキの男か?」

「いやいや、こういう強いのは細身の美男子と相場で決まっている!そうだろムルシー!」

「・・・どうっすかね。私が答えることは無いっすよ。」

服の胸元を片手でギュッと掴む。

「シュヘルの旦那はどう思ってる?」

「・・・女だろ。だから心を許したのが女2人だった。」

「まあどんな姿かは置いといて・・・先輩たちにも気は許してたんすよ?まあ見た目見せる気は無さそうでしたけど。」

ふっとシュヘルは笑う。

「まあさっきのは酔ったムルシーから聞いたんだが。」

「えっ!?嘘ぉ!?」

「ああ、嘘だ。よくそんなんで隠し通してきたな。」

「あ!やったっすね!?図ったっすね!?もう灰にするしか・・・!」


(拝啓、クロム様。私たちは元気にこれからも馬鹿やってやっていくっす。クロム様が生前成し遂げられなかったアウナリト侵攻は成功したっすけど、そのまま私たちがアウナリトに所属する事はお許しください。きっと、クロム様なら笑って許してくださるだろうけど。)



「・・・ムルシー以上が2人、ねぇ。」

「力を貸しましょうか?舜お兄様。」

ちょうどシィラと話していた時にムルシーからの連絡を取った舜はシィラに改めて向き直す。

「やる気満々だね。頼んでもいい?」

「ええ、どうやらムルシーお姉様も吹っ切れたようで・・・次はシィラの番です。それに、舜お兄様が気になってる事も少しはお披露目出来るかと。」

舜は椅子から立ち上がり、デバイスを操作する。

「それじゃあ、ちょっと働こうか。ローグ残党視察第2弾メンバーはこっちで何人かに声を掛けとくから・・・よろしくね、シィラ。」

「はい、"禁じられた言葉を口にした者"にして"塵を踏むものに踏まれた者"。7邪神のうちの1柱の使徒たるシィラにお任せを。」

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