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愛の歌  作者: Dust
5章
126/229

123話

その剣は魔力を打ち消す事ができる。

すなわち防御する事が出来ない剣である。

回避か、攻撃をし続けることで攻撃させないか。

しかしムスルス本人の技量が高く避け続けるのも難しい。

では攻撃をさせないならどうか。

こちらの剣を向こうの剣で防がれるだけでこちらの剣が掻き消される。

そしてそれは隙に繋がり、カウンターのチャンスを与える事になりかねない。

(厄介な相手・・・。)

先程までみたいに復讐鬼の能力で遠隔から防がれても大丈夫な攻撃を続けるか。

とはいえ先程左腕を斬られたように彼女の武器はそれだけでは無い。


睨み合いの時間は当然ムスルスから仕掛ける事で終わりを告げた。

一振り、二振り、舜は身を翻しながら躱す。

「1つ聞かせて。なんで私が最後なの?」

剣を真っ直ぐ突き出したままピタリと動きを止めた。

「・・・好物は最後に食べる性格でね。」

嬉しそうにムスルスはにかっと笑い、一歩踏み込んで横振りをした。

舜は身体を捻り胴を後ろに引き下げながら、その長い足で柄を真っ直ぐかかとの中心で蹴り飛ばす。


(うわっ、よくあんな事するっすね。少しでも狙いが逸れてたら斬られてるっすよ。)

観てる者たちはあまりの応酬にムルシーのように驚愕する者や

(怪我でそもそも候補に入らなかったけど・・・あそこに立っているのが私じゃなくて良かった・・・!)

あまりのレベルの差にシャロンのように畏怖を覚え、異常な程に静まり返る。

まるで2人だけの世界のように。


斬り掛かる為に踏み込んだムスルスの足を、地に手を付け回し蹴りをして捉えにかかる。

ムスルスは舜が体勢を低くした時点で体重を後ろにかけ、そのまま跳び避ける。

「紫電一閃。」

その隙を付かんと舜が光のように突っ切る。

(速い・・・けどそれ故に単調!)

刃が落ち、霧散する。

横から伸びてきた手がムスルスの剣の柄を触る。

攻撃ではなかった故にムスルスの反応が少し遅れた。

全てを壊すもの(ラグナロク)。」

少しの反応の遅れが、お互いに剣を作り直せたかどうかにも繋がっていく。

舜の作り直した剣がムスルスの作り直せないままの剣とぶつかり合う。


((楽しい・・・!))

2人の剣はどんどん激しさを増していく。

より速く、より相手の嫌がるように。

突き、払い、刀を返し、受け流し。

(・・・!今実戦なら殺す動きまで行かれてた・・・?)

(今のなら・・・いや、実戦なら逃げられたか。)

命のやり取りが行われてたかもしれない場面が増えていく。

(何とか・・・隙を・・・!)

ムスルスはやっとの思いで白い物体を足元へ投げた。

一気に膨らみ、2人の間に距離が出来る。

そして、舜が苦労して能力を壊した剣を作り直した。

(振り出し・・・か。それよりもやはり彼女は使()()()()()()。敢えて頭のリソースを減らす事で動きを洗練させてるならいい・・・が。)


「基礎同士だと流石に分が悪いから・・・私も私すら知らない応用に走る。貴方になら・・・試せる!」

ムスルスは両手で持ったその剣を背中まで持ってきて。

今まで込めてこなかった魔力をその剣に込めた。

(使った・・・!)

舜は距離を取ろうとして―

ムスルスは1度グルンと空を切る。

魔力を込めたそれは一度目の回転で時空を歪ませた。

ムスルスは一回転してまた後ろに戻った剣に更に魔力を込めている。

そして舜は―後ろに下がったはずなのに元の場所に降り立っていた。

(!?避けるのは無理か・・・!なら・・・!)


「鳴らしなさい!どちらかが死ぬ前に!」

サナスの指示と共に銅鑼が鳴る。試合終了の合図だが2人の耳には届かない。

舜は剣に魔力を込め、その魔力で地面を叩きつけると共に空へ飛び上がる。

(掻き消されたとしても威力で吹き飛ばす!)

(ここで決める・・・!)

「地衝・・・烈牙!」

死を選びとる女神よ(スクルド・ゲイザー)!」

2つの強大な魔力が今まさにぶつかり合おうとしていた。

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