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愛の歌  作者: Dust
5章
123/228

120話

「離すっす!4対1で負傷までしたなら私も乱入するしかないっすよ!」

「離すかよ!流石にあの女相手じゃ本気出しても苦しいだろうが!」

ムルシーが乱入せんと息巻くのをバルトリーニが必死に抑える。

「でも・・・!」

他の騒音に気が付いてムルシーはそっちの方を向いた。

「離してダゴン様!私も参加する!!!」

「よしなさいトワ!あの人なら大丈夫ですから!無能力者のあなたが行っても足を引っ張るだけですから!」

「・・・・・・・・・。」

ムルシーは暴れるのを辞めて椅子に座り直した。

「なんか・・・自分よりヤバいのを見ちゃうと・・・冷静になるっすよね・・・。」

「そうだな・・・。」


左腕から血がダラダラと流れる。

思ったより深く斬られた。

だが幸いな事にサナスは試合をこの程度で終わらせる気はないようで、銅鑼係に待てを出している。

「・・・ん?あれ、もういいの?」

観客席の方へ向かおうとするレビアを舜は呼び止める。

「あの時武器を持たれていたら続ける事は出来なかった。だから退場するよ。」

「そっか。もっと鍛えてあげようって思ってたのに!」

腰に両手を当てて出ていこうとするレビアを見守る舜に背後から怒声が飛んだ。

「余所見してていいのかよ!」

ウィルの岩で出来た大剣が舜の脇腹を捉えた・・・ように見えた。

「染色・黒。」


「・・・なっ!?」

「お前こそ・・・攻撃の前に声出して良かったのか?」

確かにそこにいた筈だった。

まるでどろりと影に溶けるように消え、大剣がほんの僅か届かない所に舜は立っていた。

「どうした?見蕩れすぎて残像でも見たのか?」

「けっ!誰が男になんか見蕩れるかよ。・・・さっき攻撃前に声を出してよかったか聞いたな。」

ウィルは大剣を構え、一気に詰め寄る。

「正面からでもぶち抜けば関係ねぇんだよ!」

大剣に向けて舜は負傷した左腕を伸ばした。

「復讐鬼。」

血が魔力となって舜の左腕を纏う。

大剣と左手がぶつかり合い、赤い閃光を放った。


「・・・やったか?」

「やってない。」

背後からの声に振り返ったウィルの鼻に衝撃が走る。

裏拳を食らって鼻血をドバドバ出しながらウィルは舜の背中を睨んだ。

「そうやってすぐ油断する。相手の力量を一切見ようともせずに自分の力量だけで突っ込むのも良くない。不意打ちしに来たと思ったら声出して正面からやろうとする一貫性の無さも問題。後は・・・純粋に実力不足かもねぇ?」

「テメェ!」

片手で鼻を抑えながらもう片方の振り上げた手で大剣を作ろうとしたウィルの顎に鋭い蹴りが飛んだ。

「この距離で距離も取らずにそんな大きなもの作ろうとしないの。・・・もう聞こえてないか。」

大の字に倒れたウィルの目の焦点はあっていなかった。

(復讐鬼の能力は本来の能力も合わせてどちらも使用出来る・・・か。)


「ムスルス・・・後は私たち2人だけだ。連携を・・・ムスルス?」

「・・・・・・。」

ムスルスは無言でじっと舜を見つめている。

「んー・・・ムスルスちょっとまずいかもね。」

見ていたムイムイが呟いた。

「ちょっといい?」

「ん?なーに?舜さんの連れの子よね。」

そんなムイムイに漣が話しかける。

「・・・私とやり合った時より強いと思って。ムスルスさんのこと知ってそうだったから。」

「ふーんやり合ったんだ。うん・・・そうだね。あの子は私と同じ気分屋なの。本人は自覚してないだろうけどね。」

「気分屋・・・。」

漣はムスルスを見る。ムスルスは始めた頃より無表情へなっている。


「・・・まずいってのは集中が切れたの?」

「いやぁ逆逆。あの子の偉い所は集中を切らしたりとか滅多な事がない限りしないこと。余程の事が無い限り100の力を出せる。」

「100?じゃあ気分屋ってのは・・・。」

「あの子はね、気が乗ると本来の100の力が1000にも10000にもなるんだ。そして今は・・・怜奈とかつて模擬戦をした時位には乗っている。」

ふわりとした風を感じて漣は振り返る。

「・・・私とやった時より乗ってるよ。」

怜奈が2人の元に来ていた。

「・・・ちなみに怜奈とはどっちが勝ったの?」

「時間切れで引き分けだったね。」

「・・・・・・。」

3人はまた試合の方へ視線を戻した。


「さて、試したい事はとりあえずあと1つかな。」

舜は魔法陣を作り出し、2人が並んでいるのを見てその中央目掛けてぶん殴り、魔力がレーザーのように飛び出す。

「来るぞ!」

イームはその射程から逃れ、ムスルスは剣でその魔力を消した。

2人が舜に視線を戻した時にはもう新たな魔法陣が現れていた。

「・・・えっと、じゃあ・・・。そして星々は(メテオール)地に堕ちゆく(・エンダ)。」

殴った魔法陣は一瞬外円が広がり、戻って行く。

が、放たれた魔力は先程の魔法陣と同じ大きさのものとは違い舜の姿が隠れるほどの巨大なレーザーとなって飛んでいった。

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