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愛の歌  作者: Dust
4章
111/227

108話

(何か・・・打開出来るほどの火力を・・・!)

オーフェの能力を使えば、相手の魔力を自分のものとして打てる。が、それだけだと足りない。

(イパノヴァの心臓を一時的に止めるアレ・・・は通用するかどうか。そもそも反撃されるのがオチか。)

魔力を込めて防ごうが、魔力で身体強化して避けようが魔力を使った時点でその効果は解かれてしまう。

ボロボロの身体で必死に考える。

思えば、この戦争だけでなく前の戦いからかなり身体を痛めつけられてきた。

まだその痛みも消えてないまま、次から次へと危険な戦いをしては愛花を困らせてきた。

(・・・愛花。無事かな・・・。改めてちゃんと謝んないとな・・・。)

戦いのさなかにふと頭に浮かんだ愛花の事を想う。

戦い中にらしくないと言えばらしくないのだが、それ程舜の中で彼女の存在は大きくなっていた。


クロムにやられたところ、クトゥルフにやられたところ。

痛かったし、悲しませてしまった。

ああ、それだけじゃない。

怪我そのものは無かったから愛花には治してもらってないが―

全身が軋み、悲鳴をあげた一撃も―

「・・・あるじゃないか。―あの技なら。」

ネビロスはそんな舜の表情を見て、笑う。

「来い!お前の全てをぶつけに!」

ネビロスはそう言いながら、自身からは仕掛けない。

まともにやり合って押し始めてるのは向こうで、魔力の余裕があるのはこちら。

ネビロスは舜の魔力切れまで待てば勝ちなのである。

それ故に仕掛けない。仕掛けられそうなタイミングがあっても、動かない。


1歩、舜は踏み出した。

「紫電一閃!」

光が走るように、舜は既にネビロスの背後まで駆け抜けていた。

かつて、手合わせで見せてもらったルースの技。

ネビロスは間一髪で防いでいたが・・・宝石の落ちる音。

盾が壊され、霧散していく。

(暫くは使えないか・・・それより!)

何かが強く打ち付けられた音がした。

振り返ると舜が剣を地面に打ち付けた衝撃で、一回転しながら高く翔んでいる。

強大な魔力がぶつけられようとしている。

ネビロスの思考が素早く動く。


(空からの一撃なら相手の真下までは攻撃範囲と見ていい、がさっきの技で壁を背にされた。どう避けようがそれを見てからこちらに当てられる・・・。)

舜が叫ぶ。

地衝烈穿(ちしょうれつが)!!」

かつて自身が真っ向から受け止めようとしたグランの技。

技の名を呼ぶと、舜の振り上げてる剣に更に魔力が集まり、そして振り下ろされた。

轟音が響く。

衝撃で辺りの物が壊されていく。

ネビロスはその一撃を剣で歯を食いしばりながら受け止める。

受け止め、受け止め、そして―。


受け止めきれないと判断するや否や、身を捩り左腕を犠牲にして何とか受け流した。

斬り落とされた左腕からは血がドバドバと出ていく。

(時間が無くなったのはこちらもか・・・。)

ネビロスは表情を歪ませながらも、舜の姿を見る。

最大の一撃を打ち放った舜は剣を床に立て、ヒューヒューと息を吸っている。

「・・・良き技だ。だが・・・惜しかったな。その全霊、見せてもらった。今度はこちらが見せる番だ。―終わりにしよう。」

今度はネビロスが、自身の全ての魔力を片腕で振り上げた剣に込めた。


文字通り、全てを込める。

無意識のうちに魔力者がやっている身体能力を上げるためのものも、魔力の見えない鎧の分も、全て。

今、他の者から攻撃されたら呆気なく死ぬだろう。

ただ、それでも舜に全てをぶつけようと思った。

舜はその様子を見て、1度深く息を吸い、目を瞑る。

そして目を開けると共に―。

2人の、決着が着いた――。

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