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愛の歌  作者: Dust
1章
11/229

10話

「それでは本日も始まりました!2人だけの反省ターイム!」

(わー!パチパチパチパチ!)

舜とイパノヴァは戦場に出る度、毎晩2人で話すようになっていた。

「あの二人が凄すぎて!」

(出番が無い!)

いつも結論として出るのはこれである。

遠くの相手だろうが一瞬で詰めて殺す怜奈と複数相手でもあっさりと倒しきる愛花。

この2人がいれば基本的に出番など無いのである。


「逆にどんな時に備えて待つべきかなぁ。」

(一撃で倒されない相手がいれば・・・?)

「それだ!」

基本的にこの名目上の反省会は最初の数分は真面目にやる・・・が。

「そういえばそろそろ誕生日でしょ?何か欲しいのある?」

(そんな気を遣わなくてもいいよー。でもくれるなら何でも嬉しいよ!)

途中からはただ楽しくお喋りするだけの会になる。


「それじゃあそろそろ時間的に終わろっか。」

(うん!・・・またベッド使っていいの?)

イパノヴァが申し訳なさそうに聞いてくる。

「いーよ。それじゃあおやすみー。」

2人は最近同じ部屋で寝ている。

イパノヴァはベッドで、舜は防寒着を厚く着てから壁にもたれ掛かるように眠る。

きっかけは最初の反省会だった。


この時はまだ雑談など一切なく、解決に向かい真剣に話し合っていた。

夜遅くまで続いたこの会に眠気の限界がきたイパノヴァが眠ってしまい、そのままベッドを貸したのだが。

朝早く、舜の訓練の為にセットされていた目覚まし時計が鳴り響いてしまった。

もちろんイパノヴァもそれで目が覚め、こんなに朝早くに?と不思議がり舜の日課の朝練の事を知り―

(自分も!自分ももっと強くなりたい!)

という話になり。


そしてイパノヴァもこの朝練に行くのが日課になり、それなら同じタイミングで行ける方がいいよね!とイパノヴァの提案。

舜は異性と同じ部屋でというのに最初は抵抗感があったものの、いつの間にやら慣れた。

さすがに、イパノヴァが舜がベッドで寝れない事への対策案として一緒のベッドで寝るのを提案した時は断ったが。


朝5時。けたたましく目覚ましが鳴る。

顔を洗い歯を磨き。

2人は荷物を持ってトレーニングルームへ向かう。

トレーニングルームに着くと一旦それぞれ更衣室に入り、着替えてからまた合流する。

舜とイパノヴァは向き合い、弱めに放つ魔弾と武器を使い、怪我しないように寸止めをして、もし止めて貰えなかったら当たるという状況になったら負けのルールで手合せを始める。

2時間ぐらい経っただろうか。


(疲れたー!)

何十戦と続け様に戦い続け、イパノヴァは汗だくで座り込む。

このルールでやると序盤は受けて戦うスタイルの舜が不利でイパノヴァに白星が上がりやすいのだが、イパノヴァが疲れ始めると途端に舜の猛追が始まる。

今日の戦績は79戦のうち、イパノヴァが42勝で舜が37勝だった。

「結構時間経ったね。今日は負け越しかぁ。」

汗だくのイパノヴァとは対照的にまだまだ元気そうな舜が言う。

(あと6戦やってたら私が負け越しだったよ。最後の方10連勝ぐらいされてたし・・・。)

そう会話を続けながら舜は紙コップと飲み物を持ってイパノヴァの横に座る。

ぐぐぐと前に体を伸ばすイパノヴァの服の隙間から豊満な胸の谷間が見える。

舜は目を逸らす為にコップとスポーツドリンクに全神経を集中させる。


(・・・ねぇ、聞こえてる?)

「・・・え?あ、ごめんごめん。何?」

どうやらその間に話しかけられていたらしい。

(私の能力、明らかに通用してないけれど何か弱点でもあるのかなって。)

イパノヴァはこの朝練をし始めた最初の頃は能力を使って舜と手合わせしていたが、最近は魔弾と武器のみで渡り合うようになっていた。

「んーん、弱点がある訳じゃないよ。」

(そっかぁー。)

イパノヴァは少し目を瞑り、そして続ける。

(通用しない時を考えるとやっぱり今の素の戦闘訓練大事だよね!)

「ああ!あの二人に負けないよう頑張ろーぜ!」

2人は休憩した後、魔弾の最大威力を図る機材に何発も本気の魔弾を―と言っても舜のはほとんど飛ばないのだが―とにかく魔弾の最大威力の鍛錬をして今日の朝練を終えた。


「あ、ようやく来た。遅いですよもー。」

訓練後、それぞれの部屋に別れ、シャワーを浴びてから大部屋に来た舜を愛花が待ち構えていた。

「どうしたの?」

「これ、届いてましたよ。」

1枚の封筒。

中身を出してみる。

「えーとなになに・・・。やっほー︎ ⤴︎舜ちゃん元気ー?リビだよー。実は折り入ってお願いがあってー・・・。私の部隊と模擬戦してほしいなって☆・・・だって。」

「へぇ・・・いつですか?」

「今日の午後。場所も指定済みで''待ってるよー''って。」

「・・・随分急ですね、リビらしいけれど。行くんですか?」

「他の人の予定次第だけど・・・行こうと思うよ、色々突っ込みに。」


午後。

「おっ!きたきた♪待ってたよー舜ちゃんたち。」

リビが手をフリフリと振る。

「まずひとつ聞きたいんだけど・・・急なのはいいとしてまるで全員行くかのように場所やら時間が決めてあったんだが・・・。」

「まるでわかってたーみたいに?」

舜はあの封筒を見て感じていた違和感をズバリと当てられる。

「わかってたよ、舜ちゃんは断らないだろうって。」

「・・・随分信頼されてるんだな。」

「まーねー。」

じゃあそれはいいとして、と舜は1泊置いて

「1番突っ込みたかったのは・・・字綺麗過ぎない!?ビックリするほど正統派の綺麗な文字で見とれたんですけど!」

「ARIGATO☆」

「・・・舜兄、それ本当に1番突っ込みたかったんですか?」

「おい、さっさと始めようぜ。いつまで待たせんだよ。」

会場となる訓練所で既にスタンバっていた男が声をかける。

「あ、ごめーん★・・・実はね、きょーはあのライガのてーあんでね。気合入ってるんだ、彼。」

リビは自分のチームの元へ向かいながら、舜に伝える。

そしてクルリと振り直し、舜達のチームを見る。

その後ろには背の低い緑髪の男、ニヤリと笑う黄色の髪の少女、フードを被り顔が見えない人、赤髪でめんどくさそうな立ち振る舞いをしてるものの闘志が隠しきれていないライガ。

「それじゃあチームユニーク対舜ちゃんチームの模擬戦、はじめよーか!」

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