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愛の歌  作者: Dust
4章
109/228

106話

「もういいじゃないですか・・・何がそんなに貴女を駆り立てるんです?」

漣は苦痛の表情をしながらも立ち上がる。

「今の激痛と不快感がとんでもない貴女が行っても、もう仕方ないですよ。」

「なら・・・このまま行かせて・・・くれるわけ?」

はぁとサルガタナスは溜息をつく。

「・・・行かせませんよ。やっぱり貴女は危険で・・・。」

サルガタナスはなにかに気が付くと悲しそうに笑った。

「どうやら今生の別れのようです。敵としては嫌いですけど、人としては嫌いじゃありませんでしたよ。それでは。」

魔力が漣に襲いかかる。

更に矢が倒れた漣の右脚を貫く。


「くっ・・・動けな・・・!?」

貫かれ、床に突き刺さってる矢が抜けず漣はもがく。

光がサルガタナスを包んでいく。

「待って!」

悪い予感が漣の胸を渦巻いた。

「その光は・・・!あなたそのものを・・・!」

「・・・帰るべき場所に戻るだけですよ。元々私は人格を持ってしまった人でなき者。よく、生きましたから。」

痛みも忘れて力ずくで脚を動かそうとする。

が、深々と刺さったそれはなかなか動かない。

「・・・私を火に変えて!早く!」

漣は鳥を見て叫ぶ・・・が鳥は静観しているだけであった。


「くぉの!」

槍を作り出して自身の右脚を斬り捨てた。

片脚で飛び込み、サルガタナスに抱き着く。

「無茶しますね!?でも無駄ですよ。」

「無駄じゃない・・・!」

直感。ただそれだけが漣を動かす。

光がサルガタナスの魔力が還っていく。

ルガタの姿が光となりて消え、どこかへ行った。

「・・・え?」

サナスは、その場に残った。

自身の両手を見る。身体は消えかけてはいる。

魔力に自我が生えた存在から魔力だけが戻された。

当然、あとは消えるのを待つ身である。


「・・・ふふ、一瞬夢見ちゃえました。でも・・・やっぱりさよならです。ありがと・・・。」

その時であった。

静観を決めていた鳥がサナスへ突っ込む。

火がサナスの中へ消えていく。

「なんですか!?・・・やっ!?くすぐっ・・・!?やめ!?ぁん・・・うぅ・・・。」

サナスの身体が炎に縁取られ、そしてはっきりと確立した。

サナスは自分のはっきりとした左手を見て、倒れる。

静かな寝息を立てていた。


火の鳥が現れる。

骨格の形となった火の鳥が。

何かを伝えるように鳴き、身体が少しずつ煙に変わって消えていく。

その煙が最期、漣の脚へ向かい、その脚をゆっくりと治していく。

「・・・あなたは・・・なんなの?」

小さな火がくすぶり、新しく産まれようとしてる中で漣はぽつりと呟いた。



「それだけで足りてるんですか?」

氷に包囲されながら、ダゴンは笑う。

「強がるな。貴様らを殺すには十分すぎる代物(わざ)だ。」

「ええ、そうでしょうね。聞き方を変えましょう。3()()()()()()、足りるんですか?」

ノフ=ケーははっとする。が、すぐさまダゴンの方を見直す。

ダゴンの手元には水がリング状に高速回転を始めていた。

「今この場に残っている魔力は3・・・時間稼ぎか・・・無駄な事を!」

ノフ=ケーが氷を落とさんとした瞬間であった。


「りゃー!!!!!!」

トワの包丁がノフ=ケーの傷口へ振り抜かれた。

「つぅ!?馬鹿な!魔力を完全に隠せるだと!?」

「ふふ、ですってトワ。」

「私は魔力者じゃありませんよべーっだ!」

ノフ=ケーの胸に走る衝撃。

「しょわっち!」

水のリングが胸を抉りとらんと突き刺さる。

「貴様らァァァァァァァァ!!!!!!!!」

倒れたノフ=ケーの動きが止まる。

「まだ!」

イームが氷が消えてないのを確認して叫ぶ。

「任せて!」

シャロンの能力で植物がノフ=ケーに絡み付く。


「・・・そぉい!」

動かないよう止められたのを確認して真っ先に動いたのは1番近いトワだった。

包丁を胸の傷口に入れ込み、穴を広げる。

十分に広がったと判断し包丁を投げ捨て、両手を突っ込む。

シャロンの植物と、イームの狙撃がトワを止めようともがく動きを妨害させ。

ついに、その心臓を引っ張り出した。

「トワ!掲げて!」

「えいっ!」

その心臓に水の槍が突き刺さる。

3人を包囲していた氷が砕け散る。


「・・・よく頑張りましたね、トワ。」

「うへぇ、血だらけ。・・・ダゴン様に無理言った分位はこれで返せたかな。」

十分ですよ、とほほ笑もうとしたダゴンの動きが止まる。

「・・・どうしたの?・・・!?」

ノフ=ケーの身体が光へと包まれて行く。

なにかに吸収されるように。

「本番は・・・あちら、ですか。」



「やっほー!苦戦してんじゃーん!」

1人の少女が離れようとしてるムルシーの腕を掴みながら、ムスルスに笑いかける。

「ムイムイ!」

ムイムイはもう片方の腕を伸ばし、ノフ=ケーからの攻撃を全て同じ威力で打ち消した。

「相変わらずの変態技ね。」

「天才技、でしょ?」

ニヤリと2人で笑い合い、向き直す。

「・・・チッ、確かに同等のがもう1人は居たようだ。」

「んー?何の話か分からないけど実力の話ならー・・・もう1人、いるでしょ?」


ノフ=ケーは魔力を感知する。

大きな魔力は確かに2つなはずだった。

(・・・いや、違う!?)

魔力の感知した位置がおかしい。

いや、幅がおかしいと言うべきか。

ムスルスの魔力は前にだけある。が、ムイムイの魔力は自身の周り全体に広がっていると気が付いたのは次の瞬間だった。

混ざっている。ムイムイと他の魔力が混ざっている。

その2人分の魔力が、とてつもなく大きな魔力が今。

己の背後に、いる。

「何者だ!?」

振り返りざまにその爪を止めた。

爪。人の爪とはここまで鋭利で、伸びたものであっただろうか。

否、違う。そこにいるのは人ではない。

「私は竜族の咲希・・・。誇り高き竜族の一員だ!」


高い魔力に押されていく。

だが、ノフ=ケーも負けじと真っ向から力をぶつけ合う。

「このノフ=ケーを舐めるな!竜族だがなんだか・・・」

「隙だらけ、だよ。」

ムスルスの刃が首を掻っ切った。

呆気なく、その身体は地面に崩れ落ちていく。


「へいへーい!おつかれ〜!」

「おつかれ〜の前に、この子、何?なんかムイムイっぽい雰囲気あるけど。」

ムスルスは咲希を不思議そうに見る。

「ぽいとはなんだ。私は竜族の咲希だ。そこの適当人間と一緒にするな!」

「・・・だそうで。ん〜まあ本人が気が付いてないなら言わなーい!まだ一応敵同士だしね。」

そんな事を駄弁っているとムルシーが慌てた声を上げる。

「なんか・・・光!・・・光!!」

両の穴のノフ=ケーが光となりて真ん中の穴へと集っていく。

「・・・あれが本番かな?」

「ぽいね。」



そして今。

強大な魔力が敵対しようとしていた。

漣「漣ちゃんだよ!」

雪「雪乃です。」

漣「いつもここに書くネタを思い付いては忘れて空欄になってるこの後書きコーナー!」

雪「それ本編の内容でやらない・・・ですよね・・・?」

漣「たまにやる!との事。メモ取れないタイミングで思いついたものとか書く時に忘れてると、あーもっと傑作になるはずなんだけどとか何とか。」

雪「自身持って書こう、という精神だけ認めて貰えれば・・・。」

漣「それではまた次回!」

雪「読んでくださいね。」

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