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愛の歌  作者: Dust
4章
108/228

105話

「行くぞムルシー!」

「「バックドラフト!」」

炎が勢いよく放たれる・・・が、羽を変形させた4本のうちの一つに掴まれ、外へ流される。

「くっ・・・!あと残された手は・・・!」

ムルシーは落ち着いたあとダゴン達と別行動となったことを悔いながら、西の方にも同じく降りてきたノフ=ケーを見る。

「やはり人間は脆弱だな。先に降りて来れてよかった。貴様らの魔力を貰ってや・・・。つぅ・・・!?」

ノフ=ケーの左の下の羽が斬り落とされる。

「舐めてくれてどうも。」

膨らむ白い物体の上でムスルスは剣を手に笑う。

「貴様!」

怒り狂い右の上の羽で殴りかかるが、ムスルスは宙返りしながらそれを躱し、斬り下しながら地へおりた。


(とりあえずは2本・・・でもここから私への警戒度は跳ね上がる。隙をつくのは難しい・・・か。もう一人隙をついて殴れる味方が欲しいけど・・・12歳は隙はつけても火力不足、あの炎の子か男の方がやってくれればいいけど。)

ムスルスは剣で飛ばされる氷を相殺し、白い膨らむ物質で移動して避けたり、時には盾にして立ち回る。

「フォイヤ!」

「この・・・くっ・・・!近付きさえ出来れば・・・!」

ノフ=ケーの周りには暴風が渦巻いており、ムルシーの炎や斬りかかろうとするシィラを近付けさせることすらしない。

「あんたらねぇ・・・。」

「黙れ、ですよ。」

きっとシィラはムスルスを睨むが、事実まともに渡り合えるのも彼女だけであった。


ノフ=ケーの周りの風が止まる。

「今だムルシー!」

周りに壁を作り出し、風ごと閉じ込めたシュヘルが叫ぶ。

「・・・フォイヤァァァァァァ!!」

ムルシー渾身の炎がその壁へ向かい、辿り着くと同時にほんの少しだけ壁に穴を作る。

空気が吹き荒れる中、何とかその密閉空間に入り込んだ炎は爆発に燃え広がり、当たりを炎と煙で見えなくさせる。

強大な威力に、シュヘルの出した壁すら壊して見せたその爆炎を受けてノフ=ケーは―


平然と立っていた。


「酸欠になるまで壁維持させるとか出来なかったの?」

「無茶言うな!あの火力だったんだぞ!」

「ひぇぇぇ!?もう無理っす!みんな一旦逃げるっすよ!バラバラに!殿はやるっすから!」

はぁとため息をムスルスはつく。

「貴様が特段強かっただけか・・・。なら貴様を食えばもはやこの世界で怖いものはない。」

「さてさてどうかな。思いの外いるかもよ?」

ノフ=ケーの周りの魔力が高まっていく。

(んー・・・耐えるだけならどうとでもなるけど・・・さっさと終わらすならせめてもう1人・・・怜奈と愛花(最強)じゃなくていいからリーンの壁以上(強い)組を・・・。)

余裕そうな表情を保ちながらムスルスは思考を巡らせる。



「わ!わわ!ひっ!?」

トワはダゴンが魔力を固めて作った蓋のない箱のような物の中で必死に掴まりながら、自身の近くにばかり来る魔力に怯える。

「どうした・・・その人間のせいで本気を出せないように見えるが・・・?」

「・・・下衆が。」

意図的に魔力をトワへ向けて放ち、また箱の外へ出て落ちそうになるくらいの衝撃が行くような攻撃をしながらノフ=ケーはトワを守ろうとするダゴンを追い詰めていく。

2本の羽がダゴンの両腕と力較べをし、残り2本の羽でトワへ攻撃せんとダゴンの作った水の盾を何度も殴りつける。


「はぁぁぁあ!!!」

ダゴンの頭上に水の槍が3本現れる。

1本がトワを襲わんとしているその腕目掛け、降り注ぐ。

「読めているぞ、貴様が人間を守るよう動く事など。」

さっと身を躱しその槍が通り過ぎるのを見たあと、もう一本槍が自分目掛けて落ちてくるのも躱してみせた。


「・・・いいのか、そんなに人間如きを守ることばかりに注力して。そぅら、行け。」

ノフ=ケーの背後に隠れていた魔物がダゴンの背の方へ回る。

「しまっ・・・!?」

イームもシャロンもダゴンを背後から攻撃せんと現れた魔物を対処する事が間に合わない。

「・・・むっ?人間が消えた・・・先に落ちてしまったか。まあよい、このまま崩してやる。」

ノフ=ケーはトワの姿が消えた事に気が付いたが、そのまま魔物の背後からの攻撃で崩れるであろうダゴンを片付けようとその時を待つ。


だが、魔物がダゴンを背後から攻撃し体勢を崩す事は無かった。

1つの影がダゴンの背中を滑り降りる。

「よっしゃ!討伐数1!」

両手に包丁を持って、蒼穹を舞うように魔物へ刺してみせたトワが、そのまま必死に手を伸ばしダゴンの背の突起を掴む。

「チッ・・・ならそのまま落ちろ!」

ノフ=ケーは口を開け、魔力を高めていく。

ダゴン目掛け巨大なビームを放ち、たとえ防ごうがその勢いでトワを吹き飛ばさんと。


そのビームは、虚空を切り裂いて行った。

ダゴンが人の姿へと戻り、お姫様抱っこをして受け止めたトワを地面に下ろす。

「その姿で何が出来るというのだ!」

地上目掛けて今まさに突撃せんとするノフ=ケーにダゴンはべーっと舌を出した。

そして最後の1本がノフ=ケーの右羽を2本とも削ぎ落とす。

「ガッ・・・!許・・・さん・・・!」

ダゴンとトワをその目に捉え、左の上の羽を天に掲げ魔力を貯める。


「こっち!そのまま行って!」

シャロンがトワを引っ張り、そのまま走るように指示する。

「遅・・・グッ!?」

その前に3人とも巻き込まんとしたノフ=ケーが体勢を崩した。

「良かった、バケモンとはいえ痛覚はあるようで。」

削ぎ落とされ、顕になった肉へ向かってイームが狙撃をしたのだ。

「許さん・・・!許さん許さん許さん!!!」

怒り狂ったノフ=ケーの魔力が膨れ上がっていく。

ダゴンとシャロンとイームの周りに氷の刃が何本も浮かび上がり、逃げ場を無くすように囲んだ。

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