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愛の歌  作者: Dust
4章
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102話

空に黒い穴が現れる。

それは、世界各地で現れていた。

「ダリル様!何処にいらっしゃいますか!?ダリル様!?」

ローグ軍の1部は慌ただしくなる。

「・・・シュヘル先輩!」

「ああ・・・来るぞ・・・!」

戦場に空いたのは3つの穴。

それら全てから黒い物体がいくつも落ちてくる。

一方、状況の掴めないアウナリト軍は警戒しながらそれを眺めている。

「・・・向こうには化け物も来たんだろ?向こうの兵器か何かか?」

「能力・・・と考えた方がいいだろうな。落ちてくるあれは魔力か何かか。」


それが第3勢力のものだと気が付いたのは、落ちてくる何かに向かって膨大な量の魔力が向かった時であった。

「なんだこりゃ・・・何人でやりゃあんな量が・・・。」

「1人です・・・あれは1人の・・・私たちと同期の・・・愛花の・・・!」

自分達が知らない何かと敵が戦っている。

「・・・それだけで十分かな。ドラゴンちゃん、一時共闘と行こうか。」

「・・・・・・仕方が無いか。そのドラゴンちゃんってのやめろ、咲希だ。」

既に競り合いはほぼ行われておらず、行っていた者たちも争いをやめ空からの来襲者に備えた。

3つの穴のうち、愛花が近くにいなかった東西の2つの穴の真下に真っ黒な集団がぼとぼとと落ちてくる。


「・・・よっと。」

東の落ちたその黒の一部が、奥の景色を映し出す。

イームが遠くから放った一撃が、その黒を貫いたのだ。

「私もやれるよイーム。」

「ん・・・いや、ひとまず様子見だシャロン。化け物が来た。」

黒い集団に向かって、水の槍が降り注ぐ。

「GO!ダゴン様!」

「ふふっ、モードチェンジ!邪神モーーーーード!!!」

かつて邪神として現れた姿に戻る。

ダゴンの甲高い叫びと共に辺り一面の敵は潰れ、擦り切れ、死を受け取る。

「しかし・・・何、この・・・蝙蝠?とか・・・スライム?」

肩に乗ってるトワが不思議そうに呟く。

「魔物ですよ、トワ。・・・なんらかで魔界が少し開きました。この程度なら・・・いいんですけど。」


西に落ちた黒は今まさに赤く燃えていた。

「ふっふん!こいつら雑魚っすよ!シュヘル先輩!」

「あんまり調子に乗るなよ・・・。」

ブンブンと振るう拳からは次々と炎が放たれていく。

グチャっとスライムの上を踏んだ。

「・・・ん?わわっ!?こいつ生き・・・!」

足から腕に絡みつくように這い、ムルシーの身体を押し倒した。

ジュワッと音がする。熱さが皮膚に感じる。

「ひっ!?もしかして身体溶けてる!?」

「言わんこっちゃねぇ!」


シュヘルより早く、何者かがスライムを触り。

スライムは急に伸びたと思えば、ムルシーから離れて収縮した。

「ムルシー姉様、シィラにお任せ下さい。」

「おぉぉぉ!!助かったっす!シィラ先輩!」

シィラはムッとする。

「先輩はやめてください。シィラは12歳ですので。」

「いやでも先輩は先輩じゃないすか。」

「そんな事よりあんたブラ見えてるけどいいの?」

ハッとしてスライムに溶かされた服の部分をぱっと隠しながらムルシーはその方向を見る。


「誰っすかあんた。」

「紹介します。この人はおもらモゴッ・・・。」

シィラの口が塞がれる。

「その紹介の仕方はやめろ。」

「なんですか。負けた癖に。」

「あの女が居なきゃあんたなんかに負けないけど!?この変なのやっつけたら再戦してやろうかこの21歳!」

更にムスッとシィラは口を膨らませる。

「その時は全力で走りながらあなたのした恥ずかしい行為を大声で叫んで回りますので。」

「この・・・っ・・・くぅ・・・!」


雑魚のように散らされていくその命を。

魔界の穴から何者かが見ていた。


「・・・まだ、至急ではないが。やはり貴様は弟の次に消さないといけないな。」

「ふふっ、舜さんが守ってくれますから。」

チラリと雪乃は舜を見る。

まだ、目を覚まさない。

「さて・・・。」

「うぉぉぉぉぉ!!!!!」

舜の方を見ながら、ネビロスはリーンの攻撃を片手で握っていた剣で防ぐ。

「やぁぁぁぁぁぁ!!!」

「・・・む。」

リーンとの鍔迫り合いに、もう片方の手で剣の側面を抑える。

ブンと振り切られたリーンのハルバードに身体を少し浮かされながら、ネビロスはリーンの方を向いた。


「仕留める!!」

詰めようとするリーンの前に氷壁が立ち塞がる。

ぱっと振り向くと雪乃が振るった剣を上から下へ降ろしていた。

「気を付けなさい。あなたが今戦っている相手は化け物なのですよ。」

氷壁が割れる。

魔力の残滓は感じられない。

あの氷壁を、僅かな魔力だけで割って見せた。

その事実にリーンは息を飲み、再び構える。


ネビロスは今は2人に興味が無いと言わんばかりに舜を再び見る。

「はぁぁぁ!!!」

雪乃が剣を振るう度、斬撃が氷の波となりて勢いよく突き進む。

が、それをネビロスは片手をそちら側に向けるだけで魔力の壁を作り、防ぐ。

リーンは両手のハルバードを2つともぶん投げる。

「いい判断だ。」

ネビロスは剣を両手で持ち、若干威力に押されながらも丁寧に受け流す。

「だが届かぬ。」


砕け散った氷が背後から襲う。

それを振り向きすらせず、剣の一振で消し飛ばし―

足元へ伸びようとしている氷も踏み砕いた。

雪乃は舜とネビロスの間に入り、柄の端と端を握る。

「・・・ふっ!」

「・・・っ!」

ネビロスの一撃を短く持った剣で受け止める。

倒すつもりの戦い方ではなく、時間を稼ぐための戦い方を。

まるで、時間さえ稼げば勝てると言わんばかりに。


「ならこれはどうする!」

純粋かつ強力な魔力を放つ。

氷の壁を造り、剣を構えて両足を踏ん張る・・・が、数歩後方まで弾き飛ばされた。

その隙に舜へと向かって斬撃を飛ばす。

雪乃は必死に舜の方へ走り、手を伸ばすが。

舜の横で全く動けないキアラを尻目に、その斬撃は舜の身体を斬り裂いた。

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