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愛の歌  作者: Dust
4章
104/228

101話

「うぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

「・・・っち!」

氷の盾が造られてはルガタの馬鹿力で破壊される。

盾で何とか無事だが、弾かれた腕が痺れるほどのパワー。

戦いは一方的なように見えた。

(・・・一方的?おかしい、あの女の力量はそんなものでは・・・。)

「グウォォォォォ!!!」

「ルガタ!」

漣と戦いながら様子を見ていたサナスが叫ぶ。

(・・・隙!)

漣の槍を一切見ないで防ぎながら、サナスはいつでもルガタの援護に行けるよう備える。

(・・・見ないで防ぐ。まるでこちらの敵意だけで防いでいるような・・・。)


漣は攻めあぐねながら、思案を重ねる。

「・・・っつ!ここは・・・!?」

誰もいない空間。

小さな火の鳥がこちらを見て鳴く。

「・・・今度は何?」

漣は警戒する。

確かに炎の鳥に助けられた事もあったが・・・その次に現れた時は自身の意志とは別に助けたいと思った相手を殺した。

信用されてないのを分かってか、火の鳥は寂しそうに下を向く。

しかし、すぐにその顔をあげ漣へ近付く。

「はっきり言っておくね。あなたを、信用はしてない。」

鳥は真っ直ぐ漣を見たまま。

その炎で漣を包んだ。


「ルガタ!警戒を!何か企んでいます!」

「承知しました。策があるものとして対応致します。」

ひとまず、やられる前に声をかけられた事にほっとしたサナスは、ふとその視界の端に何か映った気がした。

反射的に動いたおかげで、漣の槍は服をかすっただけに終わる。

「・・・・・・困りましたね。加減、できないじゃないですか。」

気配も敵意も消し去り放たれた一撃を見て、サナスは心底嫌そうに漣を見る。

「・・・くっ!」

そんな折、雪乃が吹き飛ばされ、床に叩き付けられ跳ねたあと壁と激突した。

「雪乃!」

「これで2対1・・・ですか。」


心配と動揺で一瞬怯んだ漣だったが、戦況が悪くなったと槍をより強く握り直す。

雪乃はペっと血を吐き、冷たい視線でサナスを射抜く。

「よかった!無事だった!」

漣は嬉しそうに声をあげる。

「・・・ん?」

サナスが雪乃が立ち上がったことに反応を示さないのを不審に思い、パッと漣は奥を見る。

ルガタはところどころから血を出しながら倒れていた。

警戒して出す氷全てを処理しようとしたルガタに対し。

わざと割らせるようの盾を作り、割られた際に相手の方へ氷の破片を向かわせ。

鋭利な面を殴りかかるようになった拳をグチャグチャに切り裂きながら、身体の至る所に突き刺したのだ。


「・・・漣ちゃん、後は頼める?」

「・・・うん!先行ってて!」

走っていく雪乃を―

サナスは、止めなかった。

「あなたは行かせませんよ。・・・ただの予感ですが―あなただけは。」

「・・・・・・悪いけど、押し通る!」

2人は再び打ち合い始める。

(身体が軽い―今なら!)

グルングルンと槍が縦に回りながら、その振り下ろされる一撃一撃に破壊力が生まれる。

(太刀筋が変わった・・・というよりは何かしらで力を得ている。そんな動きでこのパワーを生まれさせられる訳が無い・・・。)


戦闘は漣が押していた。

そんな漣の耳が、微かに何かを聞き取る。

「・・・・・・よ、我ら・・・・・・也。」

「ああ、気になります?」

サナスは何とか漣の攻撃を防ぎながら問いかける。

声は、ルガタの方から聞こえてくる。

「地に住まう精霊よ、我ら星の旅団長也。」

(まずい・・・まずいまずいまずいまずい!!!)

ぞわりと漣の背中に悪寒が走る。

「痴れ者は空想の神を裂き、いたずらに偽の悪魔を従える。」

漣の必死の槍も、その言葉を止める事は出来ない。

「裁きの時だ。かつてここは我らの舞台。我らは真の支配者也。」

「「我が名はサルガタナス。」」


2人の声が、1つになった。

いや、存在そのものが1つとなった。

見えない何かに漣は吹き飛ばされた。



雪乃は辿り着くとすぐ状況を確認する。

(舜さんは・・・大丈夫、この程度で折れる人じゃない。ただ・・・時間を稼ぐ必要はある・・・!)

セロとリーンがネビロスと戦っている・・・が、押されている。

「邪魔だ。お前らに興味はない。」

「邪魔してるんだもの!」

足止めにはなっているが、いつまで持つものか。

「・・・解放。」

ピクっとネビロスが反応する。

「来たか―。」

「舜さんにわざわざ元仲間を異形化させてまで戦わせた事実、許しません。」


「・・・え?」

その言葉に最初に反応したのはリーンだった。

「・・・オーフェ・・・でしたっけ。殺す時の舜さんがどんな気持ちだったか。」

「・・・・・・。」

ネビロスは否定と肯定もしない。

「待って・・・オーフェは関係ないのに裏切りの仲間をしたからと処罰されたってリビが・・・。」

震える声でリーンは自分に言い聞かせる。

「黙認しただけだ。それが舜の強さへと繋がる故に。」

「・・・それが。」

空気が震えた。

「それが兄弟のやる事かよぉ!!!!!!!!!!」

ブチ切れたリーンの魔力が跳ね上がる。


(よし、これで1人はまともにやり合える。後は、私も。)

世界が、変わる。

歪み、それが正常へと認識される。

「・・・なんでしょうか?」

遠くにいる愛花は呟く。

「・・・ふむ。これは。」

「どうしたのダゴン様!?」

魔力のあるものはなにかを察知したように。

「ちょっとタンマタンマ!」

「うるさい!竜族の誇りにかけてお前を・・・。・・・・・・?」

冷たい空気が場を支配した。

「舜さん、待ってますからね。」



(・・・ここは。)

殺した顔だ。

全て全て、殺した顔だ。

足には再び鉄球がついている。

水の中へ沈む。沈む。沈む。

声が聞こえる。

ただ生き延びたかっただけなのになんで殺したんだという声。

あれは・・・15の時に殺したローグだ。

助けて欲しかったのにどうして助けてくれなかったんだという声。

目の前で灰になったリライエンスの住民だ。


何かに刺された。

覚えてる。これは最初に殺した相手との戦いの時の自分が斬りつけた場所。

何度も何度も自分がやった殺し方を、その身に受ける。

きっと、これが罪なのだろう。

だが罰では無い。許されることなど、無いのだから。

ただ恨みを、想いを、ぶつけられているだけ。

「・・・すまない。」

沈み、痛めつけられながら舜は呟いた。


底なしかと思えるほど長い痛みの果て、ようやく着地する。

目の前にはロープがぶら下がっていた。

首を吊れ、と言わんばかりに。

「・・・ああ、そうか。やらなきゃいけないんだ―。」

舜はそのロープを掴んだ。

漣「漣ちゃんだよ!」

雪「雪乃です。」

漣「早速だけど雪乃、なんであんな舜くん周りの出来事に詳しいの?一緒に居なかった時のこともさらっと喋ってるけど。」

雪「当然の事ですよね?」

漣「・・・ん?」

雪「・・・・・・んん?」

漣「・・・・・・・・・えっと、それではまた次回。」

雪「読んでくださいね。」

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