0話 序曲
10年前
ある日突如現れた魔法のようなものを使える人間たち。
その存在―魔力者になったもの達の中で、好き勝手暴れた存在をローグと呼んだ
そしてある男がそのローグに復讐せんと誓い
この世界は幕を開ける
それは英雄か、殺人鬼か
それとも生きとし生けるものはみな、同じなのか
暗い暗い世界の中
喧騒という名の静寂
変わらない叫び嘆きに包まれていて
音は無いのと同じだった
そこに音を鳴らしてくれる人がいたら
「おい、さっきの娘をどこにやった!言え!」
足下にいる虚ろな目をして倒れてる男に野蛮な男が問いかける。
「とりあえずこいつやっちまっていいか?」
もう1人の男が捕まえてる女の首を絞めながら問う。
その直後、真っ直ぐ美しい一閃が赤く彩られた。
「あ゛?」
倒れたのは問いかけた男。
突如屋根から降ってきた男の剣で倒されていた。
「・・・・・・なんだ、お前。」
それは眼鏡をかけている長身の男だった。
ただの男のはずなのだが―
まるで鬼のような気迫を野蛮な男は感じた。
真っ黒な気迫の中、その目が不気味に光っているように感じる。
だが、野蛮な男も引かなかった。
その目が足下の倒れている男を見たほんの一瞬、その一瞬をついて斬りかかった。
だが虚しく空を切る。
確実に斬れていたはずの距離で。
その剣は眼鏡の男の、感じてるだけで存在していないはずの黒い気迫を斬る事が出来ず・・・
通ろうとしていた剣の部分がそっくりそのまま''消えていた''
「なんだ!?何をしやがった!?なんだその力は!?」
「知りたい?」
そして眼鏡の男はまた倒れている男を見る。
致命傷を受けている。首を絞められていた女も腹に刺された傷があり、もう助からない。
「ただ俺は、そこの2人を助けたいと思っただけだ。」
そして怨恨を込めた視線で相手を刺す。
「誰かを想ってやる事は何よりも強い―それだけだよ。」
そして一振り。
「あ・・・痛てぇ・・・痛てぇよ・・・」
そしてもう一振り。
野蛮な男は二振り目で息絶えた。
「・・・・・・爺や、見てるんだろうしこの2人を安全な場所で埋めてあげて。」
男は剣を消し、返り血のついた手を眺めていた。
あまりに不器用な音だった
それでもその音はとても綺麗で
その出会いが全てを変える、最初の音
不協和音だらけで拙くて
それでも共に奏でる為の最初の音
―ここから物語は始まったのだ
愛と力の奏でる不協和音の旋律が
愛の歌 ~prequel~
こんにちは、dustと申します
数年前に書き始め、そして書き直し始め、また書き直し始めたのが今回になります
今回は比較的定期的に、そして終わらせることを目的と出来ればなと思います
よろしくお願いします!