──*──*──*── 宿屋・カラクザ亭
宿屋に入はいったセロとオレは、受うけ付つけカウンターの前まえに立たつ。
セロが宿しゅく泊はく手て続つづきをしてくれる。
食しょく堂どう兼けん酒さか場ばで各それ々ぞれの過すごし方かたをしている宿しゅく泊はく客きゃく達たちが、セロの容よう姿しに釘ぐぎ付づけになっていた。
毎まい度どの恒こう例れい行ぎょう事じみたいなものだけど、野や郎ろう共どもの厭いやらしい目めでセロがジロジロと舐なめ回まわすかの様ように見みられるのは気き分ぶんが悪わるい。
いや、気き持もちは分わからなくはないけどね!
セロを押おし倒たおしたくなる衝しょう動どうに駆かられる気き持もちも理り解かいは出で来きるけどね!
セロはオレだけのセロだから!!
飢うえた獣けだものの様ようにセロを狙ねらっている宿しゅく泊はく客きゃく達たちから、オレだけのセロを守まもる為ために睨にらみ付つけて牽けん制せいする。
其その間あいだにセロは1人りで宿しゅく泊はく手て続つづきを済すませてくれた。
セロは子こ供どもを落おち着つかせ様ようとする母はは親おやの様ように、オレの頭あたまを優やさしく撫なでながら「 マオ、チェックインは済すみました 」と声こえを掛かけてくれた。
一いち々いち、頭あたまを撫なでてくれなくていいんだけどな!!
子こ供ども扱あつかいを止やめてくれないセロをキッと睨にらむと、セロは柔やわらかく笑わらい掛かけてくれる(////)
──いや、何なんで笑わらうんだよ??
笑わらう意い味みあるのか??
なんてオレが思おもってると、セロはしなくてもいいのに余よ計けいな事ことをしてくれた。
デレデレと鼻はなの下したを伸のばしまくって、セロを舐なめ回まわす様ように見みている厭いやらしい宿しゅく泊はく客きゃく達たちに向むかって、笑え顔がおを振ふり撒まいて手て迄までを振ふりやがったんだ!!
何なんでしなくていい事ことを態わざ々わざしやがるんだろうか!!
どうせ、「 面おも白しろいからです♪ 」とか言いうんだろうから聞きかないけど!
手てなんか振ふったりして、奴やつ等らが其その気きにでもなったりしたら…どうする気きなんだよ!!
オレが止とめるのか?
オレが?!
宿やど屋やカラクザ亭ていの主しゅ人じんから宿しゅく泊はくに関かんする説せつ明めいを聞きいてくれたセロは、宿しゅく泊はく室しつの鍵かぎを受うけ取とってくれた。
セロフィート
「 ──マオ、部へ屋やは3階がいです。
行いきましょう 」
マオ
「 う、うん── 」
セロに声こえを掛かけられたオレは、セロの後あとに続つづいて階かい段だんへ向むかう為ために受うけ付つけカウンターから離はなれ様ようとした。
其その時とき、バサバサバサッ──と何なにかが大たい量りょうに落おちた音おとがした。
オレが床ゆかに目めを向むけると新しんライナノット聞ぶん・タイムズが散ちらばっていた。
オレが引ひっ掛かけて落おとしちゃったのかな…??
オレは急いそいで床ゆかに落おちてしまった新しんライナノット聞ぶん・タイムズを掻かき集あつめて拾ひろい上あげた。
其その時とき──、偶ぐう然ぜんなのか、必ひつ然ぜんなのか……、妙みょうな記き事じがオレの視し野やに入はいった。
オレは新しんライナノット聞ぶん・タイムズを1部ぶだけ買かう事ことにした。
宿やど屋やカラクザ亭ていの主しゅ人じんに拾ひろった新しんライナノット聞ぶん・タイムズを渡わたしたオレは、新しんライナノット聞ぶん・タイムズの値ね段だんを聞きいた。
新しんライナノット聞ぶん・タイムズは1部ぶ200Uユロだと教おしえてもらえたオレは、セロから渡わたされているオレ専せん用ようの小こ遣づかい袋ぶくろから200Uユロを出だすと、宿やど屋やカラクザ亭ていの主しゅ人じんに渡わたした。
宿やど屋やカラクザ亭ていの主しゅ人じんは「 まいど 」と言いって、オレに新しんライナノット聞ぶん・タイムズを渡わたしてくれた。
オレは直すぐに気きになった奇き妙みょうな記き事じを読よんでみた。
何なに々なに……、エレファント・ザ・リッパー事じ件けん??
何なんだそりゃ??
長ながい名な前まえだなぁ…。
エレファントって──、象ぞう……の事こと…だよな??
此この≪ 街まちライナノット ≫に象ぞうエレファントが居いるのかな?
象ぞうエレファントが暴あばれてる事じ件けん…とか??
マオ
「 ──おっちゃん、≪ 街まちライナノット ≫に脱だっ走そうした象ぞうエレファントでも居いるの? 」
宿屋の主人
「 うん?
象ぞうエレファントだぁ?
象ぞうエレファントなんて居いないよ。
“ エレファント・ザ・リッパー事じ件けん ” が気きになるのかい? 」
マオ
「 うん。
だって…エレファントって、象ぞうの事ことだよね? 」
宿屋の主人
「 動どう物ぶつの象ぞうエレファントじゃないよ。
象ぞうエレファントの被かぶり物ものを被かぶった頭あたまのイカれた殺さつ人じん鬼きの事ことさ 」
マオ
「 殺さつ人じん鬼き??
そんな物ぶっ騒そうな奴やつが≪ 街まちライナノット ≫に居いるの?! 」
宿屋の主人
「 あぁ、居いるんだよ。
もう半はん年としになるかな 」
マオ
「 半はん年とし?!
半はん年としも殺さつ人じん鬼きを野の放ばなしにしてるの?!
危き険けんなんじゃないの? 」
宿屋の主人
「 あぁ、そうだね。
危き険けんだね 」
マオ
「 …………。
何なんでそんなに落おち着ついて居いられるの?
殺さつ人じん鬼きが≪ 街まちライナノット ≫に居いるんだよね… 」
殺さつ人じん鬼きが出しゅつ没ぼつするのに、お宿やどっ屋やちのゃ主しゅん人じんは何なんで怖こわがってないんだろう??
頭あたまのイカれた殺さつ人じん鬼きなんて、かなりヤバいんじゃないのかな??