✔ 4.宿泊室 8 〜 大食い大会の日だZ★ 3 〜
オレはセロの読書を邪魔したくて、膝に載せた頭を懸命に動かした。
セロフィート
「 マオ…。
何してます?
安静にしてなさい 」
セロが右手で持っていた本は宙に浮いてしまった。
セロが古代魔法を使ったんだ。
此じゃあ読書の邪魔が出来ない!!
セロめぇっ!!
オレが『 「 いいこと 」したい 』って甘えてるのにっ!!
だけど、本が宙に浮いた事で、セロの両手は空いて自由になった。
セロは右手でオレの頭を撫でてくれる。
左手でオレの左手を握ってくれた。
漸くオレを構ってくれる気に──……なった訳じゃなさそうだ。
だってセロの目は読んでる本に向けられているからだ。
セロぉ〜〜〜〜っ!!
何か、ムキャキャキャキャキャキャ〜〜〜〜な気分になって来た!
マオ
「 ──セロ、『 エレファント・ザ・リッパー事件 』と『 妊婦殺害事件 』と『 貴族令嬢殺害事件 』の犯人だけどさ、 “ 奴等 ” の仕業って事はないのかな? 」
セロフィート
「 ないです 」
即答かよ!
マオ
「 でもさ、新しく生まれた “ 奴等 ” の仕業って事は── 」
セロフィート
「 ──マオ、『 エレファント・ザ・リッパー事件 』の犯人は間違いなく人間です。
君も散々見たでしょう 」
マオ
「 見たけど……。
でもさ、『 妊婦殺害事件 』と『 貴族令嬢殺害事件 』は未だ分からない訳だし、可能性はあるだろ? 」
セロフィート
「 壁や道が記憶している過去の映像を見れば犯人は判ります。
顔を隠されていれば人物の特定は出来ませんけど 」
マオ
「 …………また犯行現場を巡回して見るつもりかよ?
オレは嫌だけど! 」
セロフィート
「 既に〈 器人形 〉にさせてます。
正規の捜査をしていては時間が掛かり過ぎます。
事件を短期間で確実に解決させるには相応の反則技が必要です 」
マオ
「 反則技……。
た…確かに “ 犯行現場で起きた過去の映像を見る ” なんてのは人間場馴れしてるし、実際の捜査には出来ないけど…… 」
セロフィート
「 仮に犯人が判明しても、確たる証拠がなければ逮捕も出来ません。
どうすれば良いと思います? 」
マオ
「 どうする…って?
どうにかする方法があるのか? 」
セロフィート
「 犯人が “ 犯人である ” という証拠を此方で作り、犯人に突き付けます 」
マオ
「 は…い?? 」
セロフィート
「 自分自身で証拠を隠滅する為に処分した筈の証拠が、自分の目の前に出されたら、どんな反応すると思います? 」
マオ
「 えぇっ?!
犯人が処分した証拠を作る??
そ…そんな事が出来るのかよ? 」
セロフィート
「 出来るに決まってます。
処分されてしまった証拠と全く同じ証拠を用意する事は容易です。
証拠さえあれば、犯人は己の犯行を否定出来ませんし、認めざるを得ません。
逃走するなら、両足を使えなくすれば良いですし 」
マオ
「 …………怖いっ 」
セロフィート
「 はい?
怖い要素あります?
反則技を駆使すれば、犯人逮捕も事件解決も短期間で出来ますし、ガッポリも出来ます。
なかなか探偵業はボロい商売です 」
…………聞かなきゃ良かった。
事件が解決するなら、どんな手段も選ばない──って事か?
セロの裏技って、警察や探偵を敵に回す方法だよな…。
はぁ〜〜〜〜〜〜。
何か、嫌な予感しかしない。
此から、どうなっちゃうんだろうなぁ…。
不安しかない……。
マオ
「 セロ、犯人が逃走しない様に両脚を使い物にならない様にすれば──って言ったよな? 」
セロフィート
「 言いましたけど? 」
マオ
「 此はあくまで確認の為だけど、何するんだ? 」