セロフィートはマオに「 国民は全員、落下死した 」と言ったが、実際には未だ死んでいない。
国が浮く寸前に国民達は全員、セロフィートの転移魔法で≪ ダンジョン ≫の中にある《 合成獣の楽園 》へ転移されてしまったからだ。
全ての国民はスッテンテンの真っ裸の状態で《 合成獣の楽園 》で合成獣に怯えなから細々と生きる事になった。
1年に1度どの合成獣キメイラにとっての特とく別べつな日ひ── 『 合成獣キメイラの宴うたげ 』 ──に、喰くわれる為ための餌エサとして生いきるのである。
此この事じ実じつをマオは一いっ生しょう涯がい、知しる事ことはないだろう。
──*──*──*── 宿泊室
山さん頂ちょうから宿しゅく泊はく室しつに戻もどって来きたセロとオレ。
準じゅん備び万ばん端たんの状じょう態たいのままたお預あずけ状じょう態たいになっていたお茶の時間ティータイムをセロとする事ことになった。
セロとお茶の時間ティータイムをしたいって言いい出だしたのは誰だれでもないオレだけど、正しょう直じき言いって、あんなのを見みせ付つけられ後あとにお茶の時間ティータイムなんてする気きにはなれない。
自し然ぜん破は壊かいの限かぎりを尽つくして地ち球きゅうを蝕むしばむ人じん類るい──とは言いうけど、彼あの国くにの国こく民みん達たちが地ち球きゅうに害がいを与あたえているとは思おもえない。
セロだって、『 科か学がく技ぎ術じゅつを発はっ展てんさせられない人にん間げんは未まだ無む害がいです 』って言いってたのに……!!
セロフィート
「 マオ、此方こっちに来きてください 」
マオ
「 何なんだよ? 」
セロフィート
「 此これを食たべてください 」
マオ
「 何なにを食たべろって? 」
オレに向むかって手て招まねきをするセロの傍そばへ行いくと、セロの掌てのひらの上うえに小ちいさな一ひと口くちクッキーみたいなのが1つだけコロン…と載のっていた。
う〜〜〜ん…………クッキーの上うえには、 “ 私わたしを食たべて ” っと文も字じがホワイトチョコレートで書かかれている。
………………オレは此この怪あやしくも美お味いしそうなクッキーらしき物ものを知しっていた。
絶ぜっ対たいに食たべたら駄ダ目メなクッキーだ!!
不ふ思し議ぎの国くにに迷まよい込こんだ少しょう女じょが、食たべたクッキーに似にてるんだ!
確たしか、身しん体たいからだが大おおきくなっちゃったんじゃなかったかな??
危あぶないクッキーだ・ぞ★
セロは何なにを考かんがえて、オレに明あきらかに物ぶっ騒そうなクッキーを食たべさせ様ようとするんだよ!
…………若もしかして、此これも約やく束そくを破やぶったオレに対たいする罰ばつなのか??
此これは何なにプレイだっ?!
マオ
「 セ…セロ…さん……此これは拙まずいクッキーなんじゃ…… 」
セロフィート
「 何なにを言いいます。
美お味いしい一ひと口くちクッキーです。
マオに味あじ見みをして欲ほしいだけです 」
マオ
「 味あじ見み??
本ほん当とに味あじ見みだけなのか? 」
セロフィート
「 当とう然ぜんです。
味あじ見みするの嫌いやです? 」
マオ
「 ……い、嫌いやじゃ…ないけど…… 」
セロフィート
「 マオ、『 あ〜ん 』してください 」
マオ
「 あ…あ〜〜〜〜ん──(////) 」
オレはセロの『 あ〜ん 』に釣つられて口くちを開あけてしまった。
其その隙すきにセロはオレの口くちの中なかにクッキーを入いれて来きた!
思おもわずオレはクッキーを食たべちゃったよ!!
サクッとして中なかからチョコレートの味あじがした。
どうやら、クッキーの中なかにトロリとしたチョコレートが入はいっていたみたいだ。
モサモサしてなくて食たべ易やすいクッキーだった。
セロフィート
「 食たべましたね? 」
マオ
「 食たべちゃったよ!!
いきなり口くちの中なかに入いれるなんて卑ひ怯きょうだろ! 」
セロフィート
「 はいはい。
次つぎは首くびに此これを着つけます。
動うごかないでください 」
そう言いったセロが手てに持もっているのは、首くび輪わ…………かな??
ジャラジャラとぶっとい鎖くさりが付ついる首くび輪わだ。
何なんで……首くび輪わ??
オレの首くびに着つけるって言いった?
何なんでだ??
何なんて事ことを1人りで悶もん々もんと考かんがえている間あいだに、オレは首くびに首くび輪わを着つけられてしまった。
マオ
「 ちょっ──何なんのつもりだよ、此これは!?
外はず──ヒック……ヒック…ヒクッ??」
急きゅうにシャックリが出でて来きた!
然しかも、此このシャックリはなかなか止とまってくれない!!
一いっ体たい何なん十じゅっ回かいシャックリを繰くり返かえしただろう。
オレはシャックリのし過すぎで疲つかれてしまった。
セロフィート
「 成せい功こうしました♪ 」
マオ
「 何なにが成せい功こうしたんだ? 」
セロフィート
「 フェンリルになれるかの実じ験けんです 」
マオ
「 じ…実じ験けん?! 」
セロフィート
「 マオの場ば合あいは白はく狼ろうフェンリルではなく黒こく狼ろうフェンリルの様ようですね 」
マオ
「 な、何なに…言いってんだよ…。
黒こく狼ろうフェンリルって……、何なんだよ!? 」