✔ 2.路地裏 3 〜 殺害現場巡礼 3 〜
セロめぇ!
オレの心は『 繊細じゃない 』とか言いやがってぇ!!
繊細なんだよ!
今夜はユーカリの刑だ!!
オレがコアラで、セロがオレが抱き付くユーカリの木なんだからな!!
心の中では強気なオレは相変わらずのチキンちゃんだ。
結局オレは、セロに連れ回されて犯行現場を巡回する羽目になった。
オレが悪いのか…。
オレが余計な事を言っちゃった所為なのか??
…………うん、オレが原因だな。
はぁ…………。
娼婦の殺害方法は、どの犯行現場でも同じだった。
全く同じかどうかは見た限りじゃ分からない。
セロにはどう見えてるんだろう?
何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も殺害場面を見た所為で気が滅入った。
其でも平常心で居られるのは、オレが人間じゃないからだと思う。
どうせ巡回するなら、変態露出狂が出没してる場所にしてほしかった。
いやいやいや、其の通りだよ!
オレが答え合わせをしたかったのは犯行現場じゃなくて、変態露出狂の出没現場だよ!!
今更だけど!!
気付くのが遅過ぎた!!
何でもっと早く気付けなかったんだろう……。
オレのカバッッッ…………じゃなくて、オレの馬鹿!!
自分で自分を責めるのは止めよう。
済んでしまった事を責めても虚しいだけだし…。
はぁ…………。
何か…、どっと疲れちゃったなぁ……。
とっくに昼食の時間は過ぎてしまっている。
もう夕方ですよ。
楽しい楽しい観光デートが台無しだよ!!
マオ
「 セぇロぉ〜〜〜〜。
もう帰ろ〜〜〜。
オレ、疲れちゃったよ…。
心身喪失…満身創痍だよ〜〜〜〜 」
セロフィート
「 マオ……。
『 心身喪失 』と『 満身創痍 』の使い方を間違えてます 」
マオ
「 良いんだよ、そんなの!
オレはバッテバテなの!!
セロ、もう十分だろ?
切り上げようよ 」
セロフィート
「 マオの根性無しさん 」
マオ
「 根性はあるよ!! 」
セロは困った様な表情でオレを見ている。
オレはセロ以上に困ってるんですけどね!!
?
「 ──君達!
其処は立ち入り禁止だよ!
関係者以外は入っちゃ駄目なんだよ!
早く出なさい! 」
オレがセロを睨んでいると離れた場所から誰かに声を掛けられた。
若い男の声だ。
誰だろう??
声のする方へ顔を向けたら、茶色のコートを羽織っている若い男が立っている。
いや、だからさ、誰だって話だよ。
マオ
「 誰さん?? 」
オレはブラウン男── 茶色のコートを羽織っているからだ ──を見ながら呟いた。
セロフィート
「 さぁ?
見られてしまいましたね。
マオがごねるからです 」
マオ
「 オレの所為にするなよ! 」
ブラウン男
「 君達!
オレの声、聞こえてる?
聞こえてるなら其処から出て!
先輩に見付かったら面倒くさい事になるから! 」
何でか分からないけど、ブラウン男は必死だ。
そんなに『 先輩 』とやらに見付かると拙いのかな?
セロフィート
「 マオ、此処から出ましょう。
見付かってしまいましたし、潮時です 」
マオ
「 うん…。
じゃあ、此の後は此のまま《 飲食街 》に行って夕食にしよう! 」
セロフィート
「 はいはい 」
オレはセロの右手を掴んで歩き出した。
昼食を食べ損ねた分、食べるぞ〜〜〜!!
セロと一緒に立ち入り禁止になってる犯行現場から出ると、ブラウン男はホッとしたのか両肩を落としていた。
マオ
「 ──彼の…、勝手に入って御免なさい 」
取り敢えず、謝っておこう。
怒られても仕方無い事をしてたのはオレ達なんだし。
罰金とか支払うのかな??
ブラウン男
「 ──もう、心臓が飛び出るかと思ったよ!
いいかい、彼処は娼婦が殺人鬼に殺害された現場なんだ。
現場保存の為に立ち入り禁止にしてるんだよ 」




