✔ 1.宿泊室 7 〜 事件の謎を解き明かそう 7 〜
セロフィート
「 喜んでました 」
マオ
「 へ、へぇ… 」
遊戯室で遊んでる宿泊客達に既に売り付けてたとは……。
ちゃっかりしてるよな。
ルービ…なんちゃらって長い名前で売ったのかな??
マオ
「 売るにしたって、38個もどうやって用意したんだよ? 」
セロフィート
「 〈 テフ 〉で構成しましたけど 」
マオ
「 犯罪だな 」
セロフィート
「 今更でしょう 」
マオ
「 そうですけど…。
≪ アレンカルダ大陸 ≫で《 セロッタ・カンパニー 》の店を出して大丈夫なのか? 」
セロフィート
「 どうにでもなります。
収入源を確保する必要がありますし、《 セロッタ・ベーカリー 》も出す予定です 」
マオ
「 収入源?
硬貨を〈 テフ 〉で構成して出すの止めてくれたんだな! 」
セロフィート
「 こんな風にです? 」
漸く犯罪行為を1つ止めてくれるのかと期待したオレの目の前で、セロの掌から≪ アレンカルダ大陸 ≫のU通貨がジャラジャラと出て来た!!
其を「 止めい! 」と言ってんのに、セロと来たら悪びれもなく!!
然もだ、此全部、100万U硬貨ばかりじゃないか!!
大金持ち、ヒャッホゥ!!!!
──じゃなくて!(////)
セロの掌の上には発動中の魔法陣が光っている。
其の魔法陣から、まるで防波堤が決壊して流れ込んでくる水の様に〈 テフ 〉で構成された100万U硬貨が溢れ出て来ている。
マオ
「 ──セロ!
止めてよ!!
ってか、何で100万U硬貨なんだよ!?
1万U硬貨を出すのが普通だろ!! 」
セロフィート
「 マオに喜んでほしくて 」
マオ
「 喜ぶかよ!
もう、見ろよ!
100万U硬貨の所為で足の踏み場もないじゃないか!!
こんなに要らないから消せよ! 」
セロフィート
「 折角出したのに…。
マオに1枚あげます 」
マオ
「 100万Uも要らないよ!
何年分のお小遣いになると思ってるんだよ…。
大体、1日1万Uも使わないし… 」
セロフィート
「 そうです?
幾らでも使ってください 」
マオ
「 だから──。
……もう、良いから、兎に角消して! 」
セロフィート
「 はいはい 」
セロが言うと、室内を埋め尽くしていた100万U硬貨が魔法陣の中に吸収されていく。
消さないのかよ。
使う気満々な訳だな。
100万U硬貨が、きれいさっぱりと無くなったお蔭で室内がスッキリした。
マオ
「 あっ! 」
セロフィート
「 どうしました? 」
マオ
「 セロが100万U硬貨を出してくれた所為で忘れてたよ! 」
セロフィート
「 何をです? 」
マオ
「 手品だよ!
ルビキュ〜ブを使った手品を見せてもらってないんだ。
見せてよ 」
セロフィート
「 はて?
未だでした? 」
マオ
「 未だだよ! 」
セロフィート
「 はいはい。
マオが望むなら。
手品に使ったのはルビキュ〜ブと紙袋です 」
マオ
「 うん?
ルビキュ〜ブと紙袋?
他には? 」
セロフィート
「 其だけです 」
マオ
「 へ??
本当にルビキュ〜ブと紙袋だけで?? 」
セロフィート
「 はい♪
紙袋の中に面の揃ってないルビキュ〜ブを入れます。
紙袋の口を揃えて折り曲げます。
上下に5回振ってから紙袋の口を開けてたら、中のルビキュ〜ブを出します 」
セロは手品の工程の一部始終を再現して見せてくれた。
マオ
「 出したらどうするんだ? 」
セロフィート
「 終わりです 」
マオ
「 へ?
此だけ?? 」
セロフィート
「 そうです。
面を見てください 」
マオ
「 面? 」
セロフィート
「 何か気付きません? 」
マオ
「 何?
………………あっ!
面の色が揃ってる!!
もしかして、此が手品か? 」
セロフィート
「 はい♪
とても簡単な手品です 」
マオ
「 紙袋の中に入れて振るだけ……。
確かに簡単な手品だけど…。
上下に振るだけで面が変わるもんなのか? 」
セロフィート
「 そんな訳ないです。
手品ですし、種はあります 」
マオ
「 種は教えてくれないのか? 」
セロフィート
「 ワタシのレパートリーは少ないと言ったでしょう?
ワタシからは教えられません 」
マオ
「 チェッ。
──でも、面が揃ってなかったのに、面が揃ってたら驚くよな。
目の前で不思議を見せられる訳だしさ 」




