何故、そんな発想に行き着いたのかは不明だが、どうやらセロッタ・ホームスは『 四知の法 』と言われる法則を用いて “ エレファント・ザ・リッパー事件 ” を解決に導いたらしかった。
マオ・ワトスン少年が『 四知の法 』とやらを掻い摘まんで説明してくれた。
〈 四知の法 〉は4つあり、『 天知る 』『 地知る 』『 他知る 』『 我知る 』の事を言うらしい。
一般的にも知られており、実際に犯罪捜査等で用いられているのは、『 地知る 』『 他知る 』『 我知る 』の3つの三知が基本として利用されているそうで、大昔から現代に脈々と継承され、今日に至っているらしい。
然し、一般的に『 天知る 』は認知されておらず、理解すらされていないらしい。
「 非科学的で、非現実的である 」と言う理由やらで軽視され続け、重要視されて来なかったらしい。
犯罪捜査等で事件を解決させる為とはいえ、 “ 目に見えない霊的な力 ” に頼ったり、すがったりする事が懸念され、毛嫌いされており、遠ざけられているのも「 非科学的で、非現実的である 」と言う理由が関係しているとかしないとか……。
警察にもプライドは勿論あるし、誇りも自信だってあるだろう。
「 “ 目に見えない不思議な力 ” に頼ったお蔭で難事件が解決しました 」ともなれば、警察の面子は丸潰れ──と思っているのかも知れない。
霊的な力を私利私欲の為に悪用する者は多いし、霊能者詐欺も多く、本物なのか偽物なのかを区別するのは難しいのだから、致し方の無い事だろう。
依って『 地知る 』『 他知る 』『 我知る 』だけが知られており、認知度も、まぁまぁそこそこ有るのが現状なのだとか。
セロッタ・ホームスは主に『 天知る 』を用いて難事件を解決させたのだった。
『 地知る 』とは、現場に証拠を残す事だ。
『 他知る 』とは、目撃者や音を聞くか、噂話を聞いて知っている者達で、其の為に現場付近の聞き込みをする。
『 我知る 』とは、犯人の事であり、当の本人しか知らない事を発言したりして、犯罪が露顕する等の事だ。
『 天知る 』とは、霊感のある警察官が、気になって声を掛けた人物が探していた犯人だった──と言う実話もあるぐらいだ。
天、即ち〈 久遠実成 〉が知っておられるので、悪事を累ねて全然反省の心が無ければ、『 地知る 』『 他知る 』の形で必ず現場証拠を出されるか、『 我知る 』で思わず口に出させられるか、寝言か、行動によって悪事を露見させられる様に〈 久遠実成 〉が仕向けられるのだとか。
時には、天罰を与えられて、死んだ場所で悪事を露顕される場合もあるらしい。
現実には、誰が見ていようと見ていまいと、〈 久遠実成 〉が知っておられるのだから、其の報いは必ずあり、どんなに完全犯罪を策しても、『 天知る 』故に露見されたり、或いは因果応報で天の制裁を受けるのだとか。
『 天網恢恢疎にして漏らさず 』── 天が張り巡らした法の網は広大で目が荒い様だが、悪人は漏らさず捕らえられる、つまり天は厳正である ──と言う通りなのだそうだ。
いやいやいや、だったら、被害者が増えない段階でもっと早く犯人達に天罰を与えてくれよ?!
──と、誰だって思う筈だ。
今回の “ エレファント・ザ・リッパー事件 ” の被害者の数は多過ぎた。
週1に1人のペースで殺害されていたのだから当然だ。