──*──*──*── アレンカルダ大陸
──*──*──*── 朝霧の街・ライナノット
──*──*──*── 宿屋街
──*──*──*── 宿屋・カラクザ亭
──*──*──*── 宿泊室
──*──*──*── 滞在2日目
──*──*──*── 5月20日・金曜日( 夜 )
──── 昨晩と同様に “ セロ ” と『 いいこと 』をしたがったマオの為に、セロトはマオに付き合い、相手をしてあげる事にした。
マオに “ 愛撫 ” をしてあげた後、唇を塞ぎ、体内の中へ息を吹き入れた。
マオを睡眠魔法で寝かし就けたセロトは、マオの寝顔を見詰めながら古代魔法を発動させた。
マオが望んだ『 いいこと 』を実現させる為にだ。
セロトが古代魔法を発動させた事により、5月20日──金曜日の深夜に、またまた “ とある事件 ” が起きた。
起きてしまった “ とある事件 ” が判明したのは、滞在日3日目の5月21日──土曜日の午前中だった。
被害に遭ったのは貴族令嬢達だ。
それも《 ライナノット 》に暮らしている未婚の貴族令嬢ばかりだ。
当時は《 ライナノット 》だけに起きたと思われていた痛ましい【 貴族令嬢殺害事件 】だったが、《 ライナノット 》だけではなく、≪ ヴドゥフ王国 ≫の中にある≪ 街 ≫に暮らす全ての未婚の貴族令嬢が被害に遭っていた事が判明した。
娼婦ばかりを狙い、襲っていた【 エレファント・ザ・リッパー事件 】を起こした他国人──≪ リラリベア小国 ≫の兵士達の仕業だと判明し、彼等は≪ 王都 ≫にて公開処刑される事が決定されるのだが、彼等は《 ライナノット 》に暮らしていた娼婦ばかりを狙い襲っていた【 エレファント・ザ・リッパー事件 】にしか関与しておらず、未婚の貴族令嬢ばかりを狙った【 貴族令嬢殺害事件 】を起こす為に都合良く利用されただけだった。
マオで遊ぶ為の『 いいこと 』に使われた不運で可哀想な貴族令嬢達と、憐れな≪ リラリベア小国 ≫の兵士達は浮かばれないだろう。
≪ リラリベア小国 ≫の兵士達は、まさか自分達が古代魔法に操られて【 貴族令嬢殺害事件 】を起こした事を知らないまま、公開処刑される事になる。
操られ、知らぬ間に多くの貴族令嬢達を殺害させられてしまった彼等の状況に、同情が出来るだろうか?
彼等はセロトとマオが《 ライナノット 》へ来る前から≪ ヴドゥフ王国 ≫で多くの殺人を犯している。
祖国へ帰ったら、手厚く出迎えられ、英雄扱いされ、何不自由しない贅沢な暮らしが約束されていると信じていた彼等は、自国の国王に切り捨てられ、祖国へは帰れぬまま、他国で人生のを幕を降ろす事になる。
寝耳に水だろう。
彼等が操られて行った【 貴族令嬢殺害事件 】は《 ライナノット 》だけだ。
他の≪ 街 ≫で起こった【 貴族令嬢殺害事件 】は、セロトの古代魔法に依って引き起こされたものだ。
因みにセロトはマオに対して、「【 エレファント・ザ・リッパー事件 】も他の≪ 街 ≫でも起こっていた 」とか「【 エレフェント・ザ・リッパー事件 】は【 娼婦連続殺害事件 】と改名された 」とか教えていたが、全てセロトの嘘である。
≪ リラリベア小国 ≫の兵士達は全く身に覚えのない濡れ衣を着せられて人生を終える事になるのだ。
やはり、セロトにとっての『 いいこと 』は、人間を不幸にするだけなのだ。