オレが回復魔法を掛けた怪我人は〈 器人形 〉が包帯を巻いて手当てしてくれている。
神父,シスターも感心するぐらい、〈 器人形 〉は手際が良くて、完璧な応急手当てをしていた。
オレは〈 器人形 〉が先に消毒してくれている怪我人に回復魔法を掛けるだけだ。
回復魔法を待ってくれてる軽傷者の為に、オレは慣れない回復魔法を必死に使う。
──ふぅっ……。
えぇと、オレの回復魔法を待ってるのは後は3人か。
うん、正午には終われそうだ。
既に消毒の終わってる軽傷者の怪我と傷口を回復魔法を掛けて治す。
12時前に軽傷者の治療を終える事が出来た。
オレ、頑張れたよな?
今は〈 器人形 〉に教えてもらって、正しい消毒の仕方と正しい包帯の巻き方の練習をしている。
〈 器人形 〉みたいに上手に出来ないけど、慣れだと思う。
セロを相手にして練習して、モノにするぞ!
器人形
「 マオ様、そろそろ時間です。
セロフィート様の所へ向かってください 」
マオ
「 もう12時?
手伝ってくれて有り難な 」
器人形
「 ふふふ(////)
どう致しまして。
彼方を通ると近道ですよ 」
マオ
「 うん、有り難う 」
〈 器人形 〉が態々指を差して近道を教えてくれる。
親切だなぁ。
マオ
「 えと、君はこの後どうするんだ? 」
器人形
「 アチですか?
重傷者を病院へ搬送する手伝いをします 」
マオ
「 病院は受け入れてくれてるのか? 」
器人形
「 重傷者と言っても命に関わる程の負傷者は居ません。
数日入院する程度ですし、数も多くないので大丈夫です。
それに受け入れ先の病院も複数ありますし、大丈夫ですよ 」
マオ
「 そうなんだ?
良かった〜 」
器人形
「 殆どの負傷者は、神父達,シスター達の癒し魔法で完治しますから、身元確認の手続きが済めば直ぐに帰宅出来ます 」
マオ
「 そっか…。
帰宅の出来る街民が殆どなんだな。
──じゃあ、オレは行くよ。
無理しないで頑張ってな? 」
器人形
「 マオ様、御気遣い有り難う御座います。
どうか、お気を付けて── 」
ペコリと頭を下げてくれた〈 器人形 〉に手を振りながら、オレはその場を離れた。
〈 器人形 〉は何れも同じ顔に見えるんだけど、人間には1体ずつ違う顔に見えてるらしい。
どんな顔に見えてるのか気になる!!
〈 器人形 〉に教えてもらった道を通ると棺が並んでいる。
棺の周りには人が集まっている。
亡くなった人の家族…かな?
涙を流して、泣きながら、悲しんでいる。
きっと棺の中にはカインの襲撃の被害に遭った街民の遺体が入ってるんだろうな…。
………………悲痛な悲しみの声が聞こえて来る。
負傷者に回復魔法を掛けて助けた後で、こんなにリアルな現場を目の当たりにする事になるなんて、やりきれないよ…。
複雑過ぎるぅ!!
?
「 嗚呼ぁっ──、フェウイルぅぅうううう……。
どうしてぇ…… 」
?
「 フェウイル……!!
これは悪い夢だ!!
悪夢なんだ!!
現実はわけがないっ!! 」
?
「 フェルぅ……。
目を開けてくれよぉぉおおおおっっっ!! 」
とある家族の嘆いている言葉が耳に入って来た。