10.街中 5 〜 辺り一面の…… 6 〜
霧の中から現れたのは──、下部が蜘蛛で、上部が蟷螂で、背中には蛾の羽根が生えてる??
オレが今迄に斬り捨てて来た合成昆虫の羽根は蜻蛉だった。
本体だから蛾の羽根なのかな??
だけど、オレが1番気になるのは、見慣れてしまった合成昆虫の胴体よりも──、蟷螂の額部分から飛び出している人の上半身だ。
蟷螂と同じ色の長く伸びている髪の所為で顔は見えない。
髪が無くても離れ過ぎてるから顔なんて分からないけど……。
あれが──、人型の部分が〈 ゼノバ教団 〉に入団したセスンの成れの果ての姿……なのか??
カインってのは、合成昆虫と合体して迄セロの邪魔をしたいのかよ?!
何か言葉を発してるみたいだけど、オレには何を言ってるのか分からない。
離れてるしな〜〜。
セロは詩歌を歌っていない?!
だけど、詩歌は聞こえるんだよな。
でも何処から??
まさか──、魔法陣から聞こえるのか??
どういう仕組みになってるんだろう??
セロはカインと話をしてるみたいだ。
セロの “ 囮になる ” ってのは、カインと話をして、気を逸らす──って事なのかな?
セロがカインと話してる間に、オレがカインを大剣で斬る──って事で合ってるのかな??
時間もないし、殺るしかない!!
オレは合成昆虫と同化してるカインに近付く為に動いた。
オレはセロから教えてもらった気配読みを使って、カインの気配を読みながら、気配殺しを使って、自分の気配を殺しつつカインに近付く。
オレの気配殺しは上手くいってるみたいだ。
何とかカインの背後に回る事が出来た!
オレはジャンプをして、カインの背中へ目掛けて大剣で斬り付けた。
カインの背中を大剣で斬り付けた後、背中に大剣を深々と刺し込むと貫いた。
カインがオレに気付かなかったのは、セロ仕込みの気配読みと気配殺しが効いているのか、セロが買って出てくれた囮のお蔭なのか分からないけど上手く行った。
カインは刺さっている大剣に吸い込まれていく。
カインは何かを叫んでいるけど、オレには何を叫んでいるのか全く分からない。
カインと同化してる合成昆虫の胴体も大剣の中に吸い込まれていく。
きゅぽんっ──なんて可愛い音を鳴らして、カインが吸い込まれた。
カインは大剣の中に閉じ込められたのかな。
カインの姿が消えた事で霧が晴れて来た。
何時の間にかセロの詩歌も聞こえない。
?
「 ──マオ、制限時間ギリギリでしたね 」
マオ
「 ──セロ!
此って──って、何処からセロの声が?? 」
辺りにセロの姿はない。
何処からセロの声が聞こえて来てるんだ??
セロフィート
「 通話用の魔法陣です。
マオ、降りて来てください 」
マオ
「 う、うん… 」
オレは大剣を持って屋根から降りた。
下でセロがオレを待ってくれていた。
マオ
「 ──セロ、此って成功したんだよな? 」
セロフィート
「 はい♪
大成功です。
此の大剣はワタシが預かります 」
オレはセロに大剣を手渡した。
こんな物騒な大剣なんて持っていたくない。
何か…怖いんだよな……。
此の大剣…おっかないよ…。
セロフィート
「 気配読みと気配殺し、良かったです。
正しく身に付いてますね。
安心しました 」
マオ
「 本当か?
合格点か? 」
魔法陣で大剣を消したセロは、微笑みながらオレの頭を撫でてくれる。
セロフィート
「 合格点には未々です。
精進しましょう 」
マオ
「 そですか…… 」
かなり頑張ったんだけどな……。
セロフィート
「 化物──合成昆虫の死骸と飛び散った液体は全て回収しました 」




