☀「 セロ 」アレンカルダ大陸 ／ ライナノットの街 ／ 自称★名探偵セロッタ・ホームスの迷宮事件簿

ライナノットの街 「 一日目 」

✔ １．宿泊室 ４ 〜 事件の謎を解き明かそう ４ 〜

　取（と）り敢（あ）えず、変態露出狂（エレファントマン）の正（しょう）体（たい）は横（よこ）に置（お）いとこう。

　今（いま）は──。

　第（だい）１目（もく）撃（げき）現（げん）場（ば） 〜 第（だい）２目（もく）撃（げき）現（げん）場（ば）迄（まで）走（はし）ると最（さい）低（てい）でも１５分（ふん）以（い）上（じょう）の時（じ）間（かん）が掛（か）かる事（こと）は明（めい）白（はく）になった。

　そしたら、目（もく）撃（げき）者（しゃ）達（たち）が変態露出狂（エレファントマン）を目（もく）撃（げき）した時（じ）間（かん）がオカシイ事（こと）が判（わか）った。

　第（だい）１目（もく）撃（げき）現（げん）場（ば）の目（もく）撃（げき）時（じ）間（かん）は、２４時（じ）４５分（ふん）頃（ごろ）だったけど、第（だい）２目（もく）撃（げき）現（げん）場（ば）の目（もく）撃（げき）時（じ）間（かん）は２４時（じ）５８分（ぷん）頃（ごろ）だった。

　掛（か）かった時（じ）間（かん）は、たったの１３分（ぷん）だ。

　１５分（ふん）以（い）上（じょう）掛（か）かる距（きょ）離（り）をたったの１３分（ぷん）で移（い）動（どう）するなんて、出（で）来（き）る距（きょ）離（り）じゃない。

　周（まわ）りで「 車（くるま）(馬（ば）車（しゃ）)を見（み）た 」って言（い）う目（もく）撃（げき）証（しょう）言（げん）は１つも出（で）てないらしいから、誰（だれ）もが「 走（はし）って移（い）動（どう）した 」って思（おも）われているらしい。

　其（それ）と新（しん）情（じょう）報（ほう）があるんだ！

　変態露出狂（エレファントマン）は桃（もも）色（いろ）(ピンク)の蝶（ちょう）ネクタイ，桃（もも）色（いろ）(ピンク)のマント，桃（もも）色（いろ）(ピンク)の靴（くつ）下（した）(ソックス)を履（は）いて走（はし）っているらしいんだ！

　桃（もも）色（いろ）(ピンク)て…………。

　そんな目（め）立（だ）つ格（かっ）好（こう）をした全（ぜん）裸（ら）のフルチン男（おとこ）が車（くるま）(馬車)に乗（の）り込（こ）んでいたら、其（そ）の場（ば）面（めん）を目（もく）撃（げき）している人（ひと）が居（い）てもおかしくないと思（おも）う。

　でも、１人（り）も居（い）ない。

　変態露出狂（エレファントマン）は、『 自（じ）身（しん）の足（あし）で走（はし）った 』としか言（い）い様（よう）がないんだ。

　だけど、時（じ）間（かん）が合（あ）わない。

　一（いっ）体（たい）全（ぜん）体（たい）、どういう事（こと）だろう？？

　故（ゆえ）に──、って言（い）うか〜〜〜…………そんな訳（わけ）でセロは、『 変態露出狂（エレファントマン）は複（ふく）数（すう）犯（はん）だ 』って結（けつ）論（ろん）付（づ）けたんじゃないかな──って思（おも）ったりして？？

　此（これ）ばっかりは、セロに直（ちょく）接（せつ）聞（き）いてみないと判（わか）らない。

　肝（かん）心（じん）のセロが居（い）ないから確（たし）かめられない。

　全（まった）く──、何（ど）処（こ）に居（い）て、何（なに）をしてるんだよ、セロはっ！！！！

　もうっ！！

　オレは椅（イ）子（ス）(チェア)から腰（こし）を浮（う）かせて立（た）ち上（あ）がった。

　頭（あたま）を使（つか）い過（す）ぎた所（せ）為（い）かな？

　一寸（ちょっと）疲（つか）れたかも知（し）れない。

　ルームシューズをポポイッと脱（ぬ）ぎ捨（す）てて── だって、セロが居（い）ないから！ ──ベッドにダイブした。

　ベッドの上（うえ）で左（さ）右（ゆう）にゴロゴロしながら、黒（くろ）色（いろ）(ブラック)の靴（つく）下（した）(ソックス)を脱（ぬ）いで、ポイッと── だって、セロが居（い）ないから！ ──投（な）げた。

　器（き）用（よう）なもんだろ？

　セロが居（い）たら、「 御（お）行（ぎょう）儀（ぎ）悪（わる）いです。お止（や）めなさい 」って言（い）われる所（ところ）だ。

　まぁ、確（たし）かに御（お）行（ぎょう）儀（ぎ）が悪（わる）い事（こと）は、オレも認（みと）めてるよ。

　大人（おとな）のする様（よう）な事（こと）じゃないって事（こと）は、ちゃんと理（り）解（かい）はしてる。

　だけど、したいんだもん！

　そういう時（とき）って、あるよね？

　子（こ）供（ども）には絶（ぜっ）対（たい）に見（み）せたらいけない光（こう）景（けい）だな。

　良（よ）い子（こ）も悪（わる）い子（こ）も御（お）行（ぎょう）儀（ぎ）の悪（わる）い真（ま）似（ね）は、しちゃ駄（ダ）目（メ）だぞ！

　自（じ）分（ぶん）の品（ひん）格（かく）を下（さ）げる事（こと）になっちゃうからな。

　自（じ）分（ぶん）の育（そだ）ちやモラルなんかも疑（うたが）われる事（こと）にもなるし、損（そん）しかしない。

　自（じ）分（ぶん）で自（じ）分（ぶん）自（じ）身（しん）に汚（お）点（てん）を付（つ）ける様（よう）な悲（かな）しい事（こと）はしない方（ほう）が良（い）いんだ。

　せめて自（じ）分（ぶん）だけは、自（じ）分（ぶん）の事（こと）を好（す）きでいないと、現（げん）実（じつ）を生（い）きる事（こと）が辛（つら）くなる。

　オレには難（むずか）しい事（こと）だ。

　自（じ）分（ぶん）の事（こと）は嫌（きら）いじゃないけど、好（す）きにもなれない。

　態（わざ）々(わざ)自（じ）分（ぶん）で自（じ）分（ぶん）自（じ）身（しん）を傷（きず）付（つ）けたり、痛（いた）め付（つ）けたり、虐（いじ）め抜（ぬ）いたりはしないけど……。

　痛（いた）い思（おも）いするのが嫌（きら）いだし…。

　どんな事（じ）情（じょう）があったとしても、オレは尊（とうと）い命（いのち）を奪（うば）っている人（ひと）殺（ごろ）しだし、自（じ）分（ぶん）の我（わが）儘（まま）を貫（つらぬ）いて、陸（りん）民（みん）達（たち）を苦（くる）しめ続（つづ）けている “ 人（じん）類（るい）の敵（てき） ” だから…。

　其（それ）でも、そんな自（じ）分（ぶん）も間（ま）違（ちが）いなくオレだから──。

　否（ひ）定（てい）はしないし、ちゃんと認（みと）めて、受（う）け入（い）れて生（い）きている。

　其（それ）でも、心（こころ）の底（そこ）から自（じ）分（ぶん）を好（す）きになるのは難（むずか）しい。

　表（ひょう）面（めん）的（てき）に自（じ）分（ぶん）を好（す）きなフリをしていても、何（ど）処（こ）かでボロが出（で）ちゃうんだよな…。

　ふとした時（とき）に自（じ）虐（ぎゃく）的（てき）になって、自（じ）分（ぶん）を卑（ひ）下（げ）しちゃうんだ。

　自（じ）分（ぶん）で自（じ）分（ぶん）を責（せ）めて、貶（おとし）めて……、「 出（で）来（き）ない 」「 無（ム）理（リ）だ 」「 嫌（いや）だ 」「 めんどい 」って言（い）って、挑（ちょう）戦（せん）する事（こと）から逃（に）げてしまう。

　そんなオレの心（こころ）の拠（よ）り所（どころ）は、セロなんだ────。