セロフィート
「{ 人間は地球の資源を貪ります。
資源には限りがあり、何時かは尽き、枯渇するものです。
幻想的な薬を世界中に広めてしまえば、地球の資源を喰らい尽くす欲深い人間に拍車を掛ける事になります。
何れだけ多くの犠牲を出す事になるか…。
マオには想像も付かないでしょう? }」
マオ
「{ 其は……そうだけど…。
そんなに酷い事になるのか? }」
セロフィート
「{ 人間の欲望を甘く見ない事です。
地獄絵図より酷い有り様になる事は明白です }」
マオ
「{ そう…なんだ……。
セロは後の事迄ちゃんと考えてるんだな…。
出回らせれない理由があるなら仕方無いよな… }」
セロフィート
「{ 分かってくれました? }」
マオ
「{ うん…。
オレの考えが間違ってたよ…。
御免な }」
セロフィート
「{ 分かってくれたなら良いです }
──さて、そろそろ火が消えます。
次の固形燃料に火を着けましょう 」
マオ
「 そうだな! 」
セロと一緒に次に食べる土鍋の固形燃料に火を着ける。
実を言うと此の固形燃料,土鍋,丸型コンロ,お玉,レンゲ,呑水なんかも、トイチの祖国こく本ぽんの料りょう理りに使つかわれていた物ものなんだ!
《 セロッタ・カンパニー 》で売うり出だしていて、鍋なべ料りょう理りを提てい供きょうしている店みせから重ちょう宝ほうされてたりする。
トイチと同おなじ日に本ほん人じんが、何ど処こかに本ほん当とに居いるんだとしたら、懐なつかしんでくれるかも知しれない。
オレは土ど鍋なべの上うわ蓋ぶたを取とる。
ふわっ──と食しょく欲よくをそそってくれるスープの香かおりが湯ゆ気げと一いっ緒しょに舞まい上あがると空くう気きと溶とけあった。
マオ
「 う〜〜〜ん(////)
美お味いしそうな匂においがしてる!
食たべ頃ごろだな!(////)
──いただきまっす!! 」
食しょく前ぜんに必かならず行おこなう大たい神しん陸りく仰こう神しんへの感かん謝しゃの祈いのりを終おえたオレは、お玉たまで具ぐ材ざいとスープを掬すくって呑とん水すいの中なかに入いれた。
土ど鍋なべが熱あつ々あつだから火傷やけどしない様ように呑とん水すいに取とり入いれて食たべるのが、日に本ほん人じんの食たべ方かたらしい。
態わざ々わざ呑とん水すいに取とり入いれずに、直ちょく接せつ土ど鍋なべからレンゲで具ぐやスープを掬すくって食たべる人ひとも居いるらしいけど…。
──うん、オレの目めの前まえにも居いました!
マオ
「 えぇと……、セロは何どんな鍋なべにしたんだ? 」
セロフィート
「 赤あかくて辛からい鍋なべにしてみました。
マオも少すこし食たべます? 」
マオ
「 ……辛からいなら止やめとくぅ〜〜。
オレはセロみたいに辛からいのを平へい気きで食たべれないもん 」
セロフィート
「 そうです? 」
セロは残ざん念ねんそうな顔かおをしている。
本ほん当とに残ざん念ねんだと思おもってるかは分わからない。
演えん技ぎだって可か能のう性せいもある。
セロは──、人にん間げんの作つくる料りょう理りを美お味いしそうに食たべながら、息いきをするみたいに他た国こくで暮くらす人にん間げんを一いっ瞬しゅんで大たい量りょう殺さつ害がいさせる事ことが出で来きる人にんセロ形ぎょうフィートだ。
残ざん念ねんそうな演えん技ぎなんて、朝あさ飯めし前まえに決きまってる。
其それにしたって、セロの注ちゅう文もんした鍋なべの中なか身みは──、まるで此この世よの悪あく意いが「 此これでもか! 」と言いわんばかりに詰つめ込こまれた様ような毒どく々どくしい程ほど真まっ赤かに染そまっていて、グツグツと煮にえたぎっている。
…………此これ…本ほん当とに食たべ物ものなのかよ??
見みてるだけで瞬しゅん殺さつされそうな色いろしてるんですけど?!
恨うらみとか、怨うらみとか、怨おん念ねんとか憎ぞう悪おとか悪わるいモンが絶ぜっ対たいに入はいってるよな??
禍まが々まがしいよっ!!
オレ、セロみたいに辛からい鍋なべにしなくて良よかった!!
オレの目めの前まえで、セロはレンゲで掬すくったスープを完かん璧ぺきなテーブルマナーでお上じょう品ひんに食たべている。
熱あつかったり、辛からかったりしないのかよ??
人にん間げんを止やめたからと言いって、味み覚かくが無なくなった訳わけじゃない。
ちゃんと人ひと並なみみに味あじわえている。
熱あつい,冷つめたい,温ぬるい,甘あまい,苦にがい,酸すっぱい,辛からい──って、ちゃんと味あじわえる。
だから、料りょう理りを美お味いしく食たべる事ことが出で来きるんだ。
不ま味ずいもんは、ちゃんと不ま味ずいしな!!