──*──*──*── 食堂
食堂に入ると、お客さんの姿があまりない。
14時を過ぎてるからだろうな。
遅めの昼食を食べてる人が数人居るだけだ。
オレは食堂を見回して、宿主の妻の姿を見付けた。
マオ
「 おばちゃん! 」
オレは宿主の妻の元に駆け寄った。
宿主の妻
「 あら、マオちゃん。
どうしたの?
セロッタさんなら来てないよ 」
マオ
「 そうなの?
何処に行ったのかな??
──オレ、おばちゃんに渡したいのがあって持って来たんだ! 」
宿主の妻
「 渡したいもの?
アタシにかい? 」
マオ
「 うん。
一昨日、セロと一いっ緒しょに《 セロッタ・ミュージアム 》へ行いったんだ。
おっちゃんにお土産みやげを買かったんだけど、おばちゃんにも買かって来きたんだ! 」
宿主の妻
「 アタシにも…かい? 」
マオ
「 うん!
此これだよ。
開あけてみてよ 」
オレは宿やどお主ぬしばの妻つまちゃんに、プレゼント用ようにラッピングされている包つつみを渡わたした。
オレから包つつみを受うけ取とった宿やどお主ぬしばの妻つまちゃんは、「 開あけてもいいのかい? 」とオレに聞きいてからリボンを外はずして、ラッピングを丁てい寧ねいに剥はがしてくれる。
箱はこの上うわ蓋ぶたを開あけた宿やどお主ぬしばの妻つまちゃんは、中なかに入はいってる物ものを見みて驚おどろきの声こえを上あげた。
宿主の妻
「 マオちゃん、此これは…なんだい? 」
マオ
「 此これは “ 腕わん珠じゅ ” って言いって、手て首くびに着つける数じゅ珠ず風ふうブレスレットだよ。
丈じょう夫ぶなゴムを使つかってるから、髪かみを結むすぶのにも使つかえるよ 」
宿主の妻
「 へぇ〜?
ブレスレットかい!
お洒しゃ落れなブレスレットがあるもんだねぇ! 」
宿やどお主ぬしばの妻つまちゃんは物もの珍めずらしそうに腕わん珠じゅを見みている。
マオ
「 其それはインテリアにも使つかえる玩がん具ぐおもちゃのスノードームを数じゅ珠ず風ふうブレスレットにしたアクセサリーなんだよ。
透とう明めいの球きゅう体たいの中なかに、小ちいさな花はなが一いち輪りんずつ入はいってるんだ。
細こまかいスノーパウダーも入はいっていて、動うごかすとスノーパウダーが舞まって雪ゆきスノーが降ふってる様ように見みえるんだ 」
宿主の妻
「 マオちゃん…。
アタシ、おばちゃんだよ。
おばちゃんが、こんな綺キ麗レイなの着つけても良いいのかねぇ… 」
マオ
「 おばちゃん!
良いいに決きまってるだろ!
オレはおばちゃんに使つかってほしいんだ。
毎まい日にちじゃなくていいんだ。
出で掛かける時ときにでも着つけてもらえたら嬉うれしいよ(////)」
宿主の妻
「 マオちゃん…。
有あり難がうね…マオちゃん…。
おばちゃ、嬉うれしいよ。
マオちゃんが孫まごだったら良よかったのにねぇ… 」
マオ
「 おばちゃん…(////)」
宿やどお主ぬしばの妻つまちゃんは涙なみだを指ゆびで拭ぬぐいながら、プレゼントを喜よろこんでくれてるみたいだ。
一寸ちょっと気き恥はずかしいな…(////)
でも…喜よろこんでもらえたみたいで、オレは嬉うれしい。
宿やどお主ぬしばの妻つまちゃんにもお土産みやげを買かって良よかった!
宿主の妻
「 マオちゃん、朝あさ食げモニングも昼ひる食げランチも未まだだろ?
何なにか食たべるかい? 」
マオ
「 いいの? 」
宿主の妻
「 いいのよ〜。
マオちゃんは特とく別べつだからねぇ。
食たべたい料りょう理りがあるなら作つくるよ 」
マオ
「 有あり難がとう、おばちゃん!
じゃあ、サンドイッチか食たべたい! 」
宿主の妻
「 あいよ、サンドイッチだね。
座すわって待まってな 」
マオ
「 うん! 」
オレは宿やどお主ぬしばの妻つまちゃんの厚こう意いに甘あまえる事ことにした。
未まだ14時じ半はんだし、15時じ迄までは時じ間かんがある。
サンドイッチを食たべるぐらい別べつにいいよな?
空あいてる席せきに座すわると、ウェイターが丸まるいトレお盆ぼんンチにマグカップを載のせて運はこんで来きてくれた。
ウェイターがテーブルの上うえに置おいてくれたマグカップには、温あたたかいミルクティーが入はいっている。
マオ
「 頼たのんでないよ 」
ウェイター
「 サービスだよ。
お代わり自じ由ゆうだから、遠えん慮りょしないでいいからね 」
誰だれに対たいしてもフレンドリーな天てん然ねんパーマでそばかす男だん子しのウェイターは笑え顔がおで言いうと、丸まるいトレお盆ぼんンチを持もって下さがって行いった。
オレはマグカップの取とっ手てを持もつとマグカップに口くちを付つけてミルクティーを一ひと口くち飲のんんだ。
美お味いしいっ!
おばちゃんが作つくって淹いれてくれるミルクティーは、オレのお気きに入いりになっていた。
食しょく事じの締しめには、 “ 必かならず ” って言いう程ほど、オレはミルクティーを注ちゅう文もんしてる。
旅たびに出でちゃたら、もうおばちゃんのミルクティーは飲のめなくなっちゃうんだよな…。
其それは其それで寂さみしくなるんだよな…。
セロに頼たのんで何い時つでも飲のめる様ように作つくってもらおうかな?