9.宿屋 29 〜 宿泊室 17 〜
セロフィート
「 はい♪
子供向けの文庫本です。
大人の読む小説はディープな内容のものが多いですけど、子供向けの小説はマイルドな内容となってます。
子供向けに読み易い翻訳がされてます。
絵本を卒業すると児童文庫へSTEPUPします。
大人も楽しんで読めるオススメの児童文庫も沢山あるそうです。
ワタシは物足りないマイルドな児童文庫より、デスディープな大人小説を好みますけど…、マオが読むなら児童文庫でしょう 」
マオ
「 …………デスディープって何だよ…。
ディープよりもゲスい内容なのか? 」
セロフィート
「 ゲスいと言うよりブラック要素の詰まった内容です。
マオにはオススメ出来ません 」
マオ
「 …………絵本だって最後迄読みきれないオレに大人小説なんて読める訳ないだろ?
どうせ、細かい文字がビッシリなんだろ〜し 」
セロフィート
「 挿し絵もないです 」
マオ
「 ……オレは読まないけど、セロが読み聞かせてくれるんだろ?
オレ、頑張って起きてるよ!(////)」
セロフィート
「 はいはい。
トイチから薦められた “ 少年探偵コォト ” を読みます 」
マオ
「 其って、 “ 体は子供、頭脳は大人 ” って奴か? 」
セロフィート
「 そうです。
ちゃんと挿し絵もあります。
見ます? 」
マオ
「 うん!
オレが読む訳じゃないけど、どんな絵なのか見てみたい! 」
オレがそう言うと、セロは “ 少年探偵コォト ” の児童文庫の表紙を見せてくれた。
マオ
「 …………ロマンスグレー…だよな?
探偵を引退する高齢者なんじゃなかったのか? 」
セロフィート
「 原作の主人公──コーナー・ドゥ・ロマイトは、杖を付く腰の曲がった白髪の老紳士です。
まさに探偵を引退する高齢者となってます 」
マオ
「 そうなのか?
原作と違うじゃんか。
原作を無視していいのか? 」
セロフィート
「 子供向けですし。
ある程度の変更は大目に見られているのではないです?
子供にしてみれば、ロマンスグレーも十分お爺さんで通ります 」
マオ
「 そういうもんなのかな? 」
セロフィート
「 作者は亡くなってますし、古い作品です。
著作権とか言う権利もないそうですし 」
マオ
「 ふーん…。
老紳士…には見えないよなぁ…。
オレは──、ヨボヨボのじいちゃんが子供の姿に若返って活躍する方が好きかも。
此の絵の主人公はさ、未々現役の探偵してる感じがプンプンするよ。
絶対に引退する年齢じゃないもん! 」
セロフィート
「 そうですね。
辻褄を合わせる為に設定の変更が多々されてます。
其は其で面白いですよ。
飽きさせない様に考えられて書かれてますし 」
マオ
「 ふーん…。
本当に面白いの? 」
セロフィート
「 さて、どうでしょう。
トイチのオススメだからと言って、マオに合うのか──。
ワタシからは何とも言えません 」
マオ
「 え〜〜〜…… 」
セロフィート
「 内容を聞いてから判断しても遅くないです 」
マオ
「 だよな… 」
オレはセロの膝から下り様としたけど、セロに阻止された。
セロの胸元に背中を預ける様に座り直した。
はぁ……。
セロとイチャイチャも出来ないなんて……萎える。
早く元の姿に戻りたい……。
そんでもって、セロとデートしたい!!
セロは空中に浮かせている児童文庫を読み始めた。
セロなら此も詩歌にして、歌えるんじゃないのかな?
主人公のコーナー・ドゥ・ロマイトが子供の姿になるのは、第1章の終わり辺りらしい。
今は、輝かしい探偵業を引退しようと考えているロマンスグレーのコーナー・ドゥ・ロマイトが、何時もと変わらない平凡な1日を過ごしている様子が書かれているシーンみたいだ。
コーナー・ドゥ・ロマイト──長いから略して “ コナじぃ ” でいいよな?
挿し絵は “ じぃさん ” じゃないけど、決定だ!




