✔ 8.宿屋 17 〜 宿泊室 5 〜
マオ
「 ジグソーパズルしてるし… 」
セロフィート
「 そうです? 」
セロは残念そうな顔でオレを見詰めて来る。
オレを “ 誘ってる ” って勘違いしていいかな??
マオ
「 セロはさ、てるてる坊主を作りたいのか? 」
セロフィート
「 悪戦苦闘しながら、てるてる坊主を作るマオを見たいだけです 」
マオ
「 オレかよ!
オレに作らせる気なのかよ〜〜 」
セロフィート
「 きっと面白いです♪ 」
マオ
「 面白がるなよ!
もうっ…。
オレに作らせるにしたって、てるてる坊主の作り方は知ってるのかよ? 」
セロフィート
「 知る訳ないです 」
マオ
「 へ?
知らないのか? 」
セロフィート
「 必要な材料は聞きましたけど、作り方迄は聞いてません 」
マオ
「 おい!!
作り方も知らないのにオレに作らせようとしたのかよ! 」
セロフィート
「 其の方が面白いです♪ 」
マオ
「 『 面白いです♪ 』じゃ、ないわ!!
何でトイチに作り方を聞かなかったんだよ? 」
セロフィート
「 完成したてるてる坊主を出せば済みますし 」
マオ
「 サイテーかよっ!!
作り方を知らないのに、オレに作らせて、最後に完成品のてるてる坊主を出すなんて、サイテーだぞ! 」
セロフィート
「 そうです? 」
マオ
「 そうなの!
大事な事だからな、2回言ったんだぞ! 」
セロフィート
「 マオがてるてる坊主を作りたくないのは分かりました。
残念ですけど、諦めるとします 」
マオ
「 …………オ、オレは悪くないんだからな? 」
セロフィート
「 何故疑問系です? 」
マオ
「 う…其は…… 」
セロフィート
「 少しは悪いと思ってくれてます? 」
マオ
「 ………………一寸だけ… 」
セロフィート
「 もっと罪悪感を抱いてください 」
マオ
「 こら!
全面的にオレが悪いみたいな言い方するなよ!
ジグソーパズルしながら、てるてる坊主なんて作れないだろ! 」
セロフィート
「 そうでしたね 」
マオ
「 オレを悪く言う前に気付いてよ… 」
セロフィート
「 はいはい 」
マオ
「 もうっ、反省してないだろ〜〜 」
セロフィート
「 終われそうです? 」
マオ
「 真ん中が未だだよ。
1000ピースって初心者に難しくないか?
せめて500ピースとかにしてほしかったよ 」
セロフィート
「 諦めます? 」
マオ
「 嫌だよ!
此処迄作ったのに止めるなんて──。
オレは完成させたいんだ! 」
セロフィート
「 捗れる様にします? 」
マオ
「 出来るのか? 」
セロフィート
「 裏を見てください 」
マオ
「 裏?? 」
オレはセロに言われてジグソーピースを裏返してみた。
マオ
「 ──此って数字? 」
セロフィート
「 パネルを見てください 」
マオ
「 パネル?? 」
セロに言われて次はパネルに目を向けた。
パネルにも数字が書かれている。
マオ
「 セロ、此って… 」
セロフィート
「 パネルに書かれている数字の上に、同じ数字が書かれているパズルピースを置きます。
此の作業を繰り返せば、簡単にパズルを完成させる事が出来ます。
どうです? 」
マオ
「 ──セロ、最初からこうしてくれよ 」
セロフィート
「 気に入りました? 」
マオ
「 まぁな。
此なら完成させれそうだよ!
有り難な、セロ! 」
セロフィート
「 どう致しまして。
もう少し悪戦苦闘するマオを見ていたかったです 」
マオ
「 セぇロぉ〜〜〜 」
オレは悩ましい程に胸元がはだけ掛けたまま、オレを見ているセロを睨み付けた。
セロは笑顔でオレを見詰めながら、長く伸びたオレの黒髪を触っている。
オレが睨んだ所で、セロに怖がられる訳がなかった。
セロの方が怖いし…。
セロに髪を触られてるのが嬉しいのか、オレの尻尾は激しくブンブンと左右に動いている。
落ち着けよ、オレの尻尾ォォォオオオオオっっ!!!!
激しく反応し過ぎだろ!!
うぅ…恥ずかしいっ(////)
ジグソーパズルに集中出来ないっ!!
若しかしてセロは、オレにジグソーパズルを完成させない様に、然り気無く邪魔をしてるんじゃないのか?
さっきから『 悪戦苦闘してるオレを見たい 』的な事を言ってくれてる訳だし!
邪魔する気満々だろ!!
絶対にジグソーパズルを完成させて、セロをガッカリさせてやるんだからな!!
オレはジグソーパズルに集中する事にした。
──*──*──*── 1時間後
セロが完成し易くしてくれたジグソーパズルを、オレは1時間も費やして完成させた。




