✔ ８．宿屋 １６ 〜 宿泊室 ４ 〜
全く、なんて如何わしい肉体してんだよ！
人形に、そんな肉体なんて要らないだろがっ！！
バスローブをはだけさせたセロが街中に立ってるだけで、暴動が起きて街民同士の殺し合い迄勃発しそうで恐い。
人間を人形に欲情させてどうすんだ。
こんな淫らなセロの姿を他人には見せられない！！
オレだけの至福にしないと！！（////）
セロフィート
「 マオ…。
涎、出てます 」
マオ
「 へ？？ 」
セロフィート
「 本当に君は面白い（////）」
マオ
「 ……っ（////）
セロの所為だろ！
オレを犬人間にしたからだ！！ 」
セロフィート
「 犬人間ではなく、フェンリルです。
……涎も副作用です？ 」
マオ
「 知らないよっ！（////）
犬は涎を垂らすもんだろ？ 」
セロフィート
「 フェンリルです 」
マオ
「 どっちでも良いよ！
──もうっ、明日はデートする日だってのに〜〜〜！
こんな姿にしやがって！！ 」
セロフィート
「 とても可愛いです（////）」
マオ
「 黙れよ！（////）」
オレは怒ってるのに、肝心の尻尾はオレの立場なんてお構いなしに、嬉しそうにパタパタと忙しなく左右に揺れてくれてるもんだから、説得力が全くないよ！！
話題を変えよう。
マオ
「 ──なぁ、セロ。
明日は晴れるてくれるよな？
夕方よりも雨音の激しさが一向に弱まる気配がないんだけど… 」
セロフィート
「 明日の天気は明日にならなければ判りません」
マオ
「 セロなら天気ぐらい、どうにでも出来るだろ？ 」
セロフィート
「 ワタシを過大評価し過ぎです。
天候を自在に操る事を許されているのは〈 久遠実成 〉だけです 」
マオ
「 じゃあ、出来ないのか？ 」
セロフィート
「 古代魔法を使えば天候を弄る事等造作もないです。
ですけど…人形には天候を弄る事は許されてません。
人形の都合で天候を弄る事は〈 久遠実成 〉から与えられる恩恵を絶ち切る事になります。
人形の身体は〈 テフ 〉を貯める貯蔵庫として機能しなくなり、〈 テフ 〉を得られなくなった人形は動かなくなります。
意識も記録されている記憶も消え去り、空っぽとなった器は跡形も無く消滅します 」
マオ
「 天候を変えたらセロは生きられなくなるのか？ 」
セロフィート
「 そう言う事です 」
マオ
「 …………じゃあ、明日の為に雨を止めて天気にしたら… 」
セロフィート
「 アウトです 」
マオ
「 そんな…… 」
セロフィート
「 天候に関しては諦めてください 」
マオ
「 …………分かったよ…… 」
セロフィート
「（ ──嘘だけどね。
天候を弄ったくらいで、どうこうなる訳ないし。
流石に〈 久遠実成 〉が起こされる天災を鎮める様な邪魔をしたら、無事では済まないだろうけどね。
人形も万能ではないし、出来ない事を脚色したって問題はないよ。
相手はマオだし ）
──てるてる坊主でも作ります？ 」
マオ
「 てるてる坊主？？ 」
セロフィート
「 トイチから聞きました。
トイチの祖国では、翌日の天候が晴れてほしい時には、白い布で人形を作り、窓の外に吊すそうです 」
マオ
「 ふぅん？
其って効果あるのか？ 」
セロフィート
「 気休め的な行為の１種です。
てるてる坊主に特別な力は宿りません。
“ 晴れればラッキー ” と言う気晴らし的な儀式です 」
マオ
「 気晴らしって……。
効果の期待出来ないもん作るなんて時間の無駄じゃないのか？ 」
セロフィート
「 何もしないで明日を待つより、何かをして明日を待ちたい人間の心理を上手く利用してます。
満足感を得る為の暇潰しです 」
マオ
「 …………。
オレはいいや… 」
