✔ 8.宿屋 14 〜 宿泊室 2 〜
マオ
「 根に持ってるんだな?
表向きはニコニコしてるけど、腹の裏では静かに怒ってるんだな? 」
セロフィート
「 いやですね。
怒ってません 」
マオ
「 嘘吐くなよ!
早い話がデートすっぽかしたオレへの仕返しだろがっ!! 」
セロフィート
「 ……酷いです…。
“ ガッポリ ” 出来る方法を模索していただけです 」
マオ
「 ──悪意!
悪意をビンビンに感じるんだよっ!! 」
セロフィート
「 気の所為です 」
マオ
「 ──だったら、オレの目を見て言えよ!! 」
セロフィート
「 初心者向けが気に入らないければ、児童向けに売り出しますけど? 」
マオ
「 違うだろがっ!!
そんな話し、微塵もしてないだろ!! 」
セロフィート
「 ジグソーパズルしません? 」
マオ
「 …………するけど…。
どうせなら、セロの描いた絵をジグソーパズルのイラストに使えば良いだろ〜〜〜 」
セロフィート
「 既に販売中です 」
マオ
「 えっ…?
何だよ、そうなんだ… 」
セロフィート
「 有名,無名関係無く、画家の描いた絵は絵葉書やジグソーパズルにして販売してます 」
マオ
「 そうなのか? 」
セロフィート
「 A大陸では高い評価をされている有名な画家の絵画が、D大陸では見向きもされず、評価もされず埃を被っている事もあります。
にも関わらず、A大陸では誰にも見向きもされなった無名の画家の絵画が、何故かD大陸では高く評価され、高値で取り引きされるのは、なかなか面白いです。
マオの描いた絵心の欠片も感じられない救い様皆無な絵も、別の大陸では高く評価され、有名になるかも知れません 」
マオ
「 有名になって堪るかよ!!
オレは、世に出回らない様に封印してたいんだよ!! 」
セロフィート
「 勿体無いです 」
マオ
「 大体なぁ、セロはオレの絵をディスり過ぎだよ! 」
セロフィート
「 ディスってません 」
マオ
「 ディスってるの!!
“ 絵心皆無 ” とか!
“ 美的センスも才能の欠片も感じない壊滅的な絵 ” とか!
“ 絵心の欠片も感じられない救い様皆無な絵 ” とか!!
──此がディスリじゃなくて、何だって言うんだよ!! 」
セロフィート
「 誉め言葉に決まってます 」
マオ
「 セロっ!! 」
セロフィート
「 短気は損気です。
怒ると身長が縮みますけど、良いです? 」
マオ
「 オレに短気を出させるのはセロだからな!
自覚しろ!! 」
セロフィート
「 短気が出るのは君が大人になりきれてないからです。
君は未々お子ちゃま──です 」
マオ
「 其は、セロがオレより長生きだからだろ!
セロにしてみれば、人間の大人は全員 “ お子ちゃま ” だろが!! 」
セロフィート
「 そうですけど… 」
マオ
「 だったら、オレを “ お子ちゃま ” 扱いも、呼ばわりもするな!! 」
セロフィート
「 其はマオ次第です 」
マオ
「 セロ!! 」
セロフィート
「 マオ、手を動かしてください。
ジグソーパズルを完成させてください 」
マオ
「 だ・か・ら、オレは『 初心者だ 』って言ってるだろ! 」
セロフィート
「 安心してください。
マオにも完成出来る様に仕掛けがあります 」
マオ
「 仕掛け? 」
セロフィート
「 はい♪
ピースを置くパネルを良く見てください 」
マオ
「 パネル?? 」
セロフィート
「 はい♪ 」
オレはセロに言われた通り、ジグソーパズルのパネルを見てみた。
パネルには薄い線で絵が描かれていた。
ケースの表面に印刷されてるオレの絵と同じだ。
パネルには薄いを色も付いている。
マオ
「 此って…… 」
セロフィート
「 どうです?
此なら初心者のマオでも完成させ易いでしょう? 」
マオ
「 まぁ…確かに…… 」
セロフィート
「 挑戦してみてください 」
マオ
「 うん… 」
オレはセロに言われるまま、ジグソーパズルに挑む事にした。
額縁に固定されてるパネルに、1ピースずつを置いて行く。
確かにパネルに色付きで絵が印刷されてるから、何のピースを何処に置いたら良いのか分かり易い。
此ならオレにも完成させれそうだぞ!
出来上がりのイラストは、ケースの表面を参考にしている。
パズルを完成させる為とは言え、自分の描いた黒歴史的な絵をガッツリ見ないといけないのは、我ながら恥ずかしいっ!!




