✔ 8.宿屋 12 〜 食堂 6 〜
マオ
「 損してない??
どゆことだよ? 」
セロフィート
「 此の話には未だ続きがあります 」
マオ
「 続き?? 」
セロフィート
「 手品が終わった後、宝石店の店主に声を掛けられました 」
マオ
「 宝石店の店主に??
……来てたんだ?
其でどうしたんだ?? 」
セロフィート
「 『 手品に使ったブルーオアシズの塊を売ってほしい 』と言われました 」
マオ
「 はぁあ?
宝石の塊を?
…………売ったのか? 」
セロフィート
「 勿論、売りました。
{ 幾らでも構成出来ますし、態々ケチる必要もないでしょう? }」
マオ
「 セロ……。
そりゃ、そうかも知れないけど……。
其で…幾らぐらいで売ったんだ? 」
セロフィート
「 そうですね……。
ブルーオアシズは珍しく稀少価値の高い宝石です。
あれ程の塊で発見される事は先ずないです 」
マオ
「 ──だろうな。
{ 〈 テフ 〉で構成してる訳だしな。
≪ アレンカルダ大陸 ≫で採掘されない宝石だったとしても、地球に存在してるなら〈 テフ 〉で構成出来るんだもんな!
いっその事、吟遊詩人なんて止めて、宝石専門の商人に転職したらどうだよ? }」
オレは少し嫌味っぽく言ってみた。
一寸くらい仕返ししたっていいよな?
セロフィート
「{ 〈 器人形 〉にさせてます }」
マオ
「 そですか… 」
嫌味にもならなかったみたいだ。
無駄なのは分かってましたけどね!
マオ
「 まぁ、そうだよな。
其で幾らで売れたんだ? 」
大事な事だから、何度でも聞いちゃうぞ!
セロフィート
「{ 色を付けて8.000万U程です }」
マオ
「 は…はっせん……8.000万U……だって?!
ぼったのかよ?! 」
セロフィート
「 ぼってません。
稀少価値の高いブルーオアシズの塊ですよ。
色を付けたとしても良心的な金額です。
本来なら、1億Uを売値にしても良い程です。
8.000万Uは破格です。
今後は《 ジュエリー・セロッタ 》からも宝石を仕入れる条件を提示しました。
契約成立しましたし、2.000万Uはオマケしました 」
マオ
「 マジか……。
取り引きしたのかよ。
だけどさ、契約したからって必ずしも《 ジュエリー・セロッタ 》から宝石を仕入れてくれるとは限らないだろ? 」
セロフィート
「 心配無用です。
〈 器人形 〉に任せとけば間違いないです。
何せ《 ジュエリー・セロッタ 》は王族御用達です。
無下には出来ません 」
マオ
「 王族御用達??
何時の間にだよ… 」
セロフィート
「{ 王族,貴族は高価で稀少価値のある宝石が大好きです。
“ ガッポリ ” するには持って来いでしょう? }」
マオ
「 其って、例の “ 王家の紋章旗 ” を授与されてる──って事か?」
セロフィート
「 そうなります 」
マオ
「 《 セロッタ探偵事務所 》は “ 王家の紋章旗 ” を授与して貰うのが大変なのに、《 ジュエリー・セロッタ 》は簡単だったのか? 」
セロフィート
「 人間は欲深いですし、誰も持ってない宝石を我先にと欲しがるものです。
《 ジュエリー・セロッタ 》に関しては “ 王家の紋章旗 ” を授与して貰うのは簡単でした 」
マオ
「 そう、なんだ…。
でも…まぁ?
オレが寝てる間、セロが何してたのかは大体分かったよ… 」
セロフィート
「 安心しました? 」
マオ
「 ……まぁ、な。
完全に安心は出来ないけど、悪い事はしてないみたいだし? 」
セロフィート
「 いやですね。
する訳ないでしょう 」
マオ
「 信用出来るかてーの! 」
セロフィート
「 してください 」
マオ
「 してもらえる様な努力をした事あるのかよ? 」
セロフィート
「 する必要あります? 」
マオ
「 ……ないです… 」
そうだよな。
セロは努力とは無縁な生き方をしてる訳だし……。
誰かに信用,信頼をしてもらおうなんて微塵も思ってすらない。
誰にも縛られる事もなく、自由奔放に生きてるもんな。
其が人形なんだ。




