マオ
「 手ぶら…ねぇ? 」
セロフィート
「 宿屋にある物ものを使つかえば、疑うたがわれる事こともないでしょう? 」
マオ
「 手て品じなって、疑うたがわれてナンボの商しょうエンター売ばいテイメントなんじゃなかったっけ?? 」
セロフィート
「 少すこし不ふ思し議ぎさを残のこした手て品じなに上う手まく騙だまされてくれたらラッキーです 」
マオ
「 ははは……。
──で、まな板いたと透とう明めいなケースと風ふ呂ろ敷しきを使つかって、何なにを見みせたんだ? 」
セロフィート
「 まな板いたの上うえにブルーオアシズと呼よばれる蒼あおい宝ほう石せきの塊かたまりを置おいて、透とう明めいなケースを被かぶせました。
其その上うえに風ふ呂ろ敷しきを掛かけて── 」
マオ
「 ……いや、一寸ちょっと待まて! 」
セロフィート
「 どうしました? 」
マオ
「 宝ほう石せきの塊かたまりって何なに?? 」
セロフィート
「 ワタシが用よう意いした宝ほう石せきです 」
マオ
「 …………手てぶらの吟ぎん遊ゆう詩し人じんが宝ほう石せきの塊かたまりを出だした事ことに、先まずは度ど肝ぎもを抜ぬかれたんじゃないのか? 」
セロフィート
「 ふふふ。
掴つかみは完かん璧ぺきでした♪ 」
マオ
「 インパクト強つよ過すぎだよ!
──其それで?
風ふ呂ろ敷しきを掛かけてからどうしたんだ? 」
セロフィート
「 5つ数かぞえてもらった後あとで風ふ呂ろ敷しきを取とりました 」
マオ
「 そ…其それで?? 」
セロフィート
「 500Uユロサイズの宝ほう石せきに変へん換かんしました 」
マオ
「 えと……小ちいさくしたのか? 」
セロフィート
「 いえ、500Uユロサイズの宝ほう石せきがゴロゴロと── 」
マオ
「 ゴロゴロと??
其それって…宝ほう石せきの塊かたまりを分ぶん裂れつさせて増ふやしたって事ことか? 」
セロフィート
「 はい♪
皆みなさん、透とう明めいなケースの中なか身みに釘くぎ付づけになりました♪ 」
マオ
「 ……そりゃ…なるだろな!
宝ほう石せきの塊かたまりが手て頃ごろな大おおきさの宝ほう石せきに変かわって増ふえた訳わけだし?
釘く付ぎけになるだろうし、テンションも一いっ気きに上あがるだろうな! 」
セロフィート
「 ふふふ♪
ブルーオアシズの蒼あお一いっ色しょくだと面おも白しろ味みがないですし、風ふ呂ろ敷しきを掛かけた後あとに5つ数かぞえてもらいました 」
マオ
「 好すきなだな〜〜、数かずを数かぞえさせるの 」
セロフィート
「 お客きゃくと一いっ体たいになる為ための簡かん単たんなパフォーマンスですし。
風ふ呂ろ敷しきを外はずして、色いろ取とり取どりの様さま々ざまな種しゅ類るいの宝ほう石せきに変へん換かんしました 」
マオ
「 其そ処こ迄までやっちゃったのかよ?
サービスし過すぎだろ? 」
セロフィート
「 喜よろこんでもらえましたけど? 」
マオ
「 そりゃ喜よろこぶだろうよ。
全ぜん力りょくで喜よろこぶよ!
宝ほう石せきの種しゅ類るいも増ふえれば余よ計けいに! 」
セロフィート
「 其その後あと、風ふ呂ろ敷しきを掛かけて、お客きゃくに5つ数かぞえてもらっている間あいだ、宝ほう石せきの塊かたまりに変へん換かんしました 」
マオ
「 えっ??
態わざ々わざ宝ほう石せきの塊かたまりに戻もどしたのか? 」
セロフィート
「 仕し上あげる為ためには塊かたまりに戻もどす必ひつ要ようがありましたし 」
マオ
「 仕し上あげ?? 」
セロフィート
「 はい♪
最さい後ごに風ふ呂ろ敷しきを掛かけ、お客きゃくに5つ数かぞえてもらい、宝ほう石せきの塊かたまりを10.000Uユロ金かん貨かに変へん換かんして、手て品じなを終おわりました 」
マオ
「 へ??
宝ほう石せきの塊かたまを10.000Uユロ金きん貨かに変かえたのかよ?
其それでどうしたんだよ?! 」
セロフィート
「 お客きゃくに配くばりました。
手て品じなを見みてくれたお客きゃくへの細ささやかな御お礼れいの気き持もちです 」
マオ
「 本ほん物ものの金きん貨かなのか? 」
セロフィート
「 勿もち論ろんです。
嘘ウソ偽いつわりない正しょう真しん正しょう銘めいの10.000Uユロ純じゅん金きん貨かです 」
マオ
「 奮ふん発ぱつし過すぎじゃないのか?? 」
セロフィート
「 そうです? 」
マオ
「 騒さわぎになったり、問もん題だいが起おきたりしなかったのか? 」
セロフィート
「 大だい丈じょう夫ぶでした 」
マオ
「 そっか……。
一寸ちょっと安あん心しんしたよ…。
……うん?? 」
セロフィート
「 どうしました? 」
マオ
「 なぁ、一寸ちょっとオカシクないかな? 」
セロフィート
「 何なにかオカシイです? 」
マオ
「 いや…だってさ、セロは手て品じなで “ ガッポリ ” したんだよな? 」
セロフィート
「 そうですけど 」
マオ
「 やっぱりオカシイよ! 」
セロフィート
「 はあ…。
何ど処こが…です? 」
マオ
「 セロの話はなしだと、手て品じなを見みてくれたお客きゃくに10.000Uユロの純じゅん金きん貨かを配くばったんだよな? 」
セロフィート
「 そうですけど 」
マオ
「 幾いくら分ぶんを配くばったのか分わからないけどさ、 “ ガッポリ ” どころか損そんしてるじゃないか 」
セロフィート
「 そんな事ことです? 」
マオ
「 『 そんな事こと 』って…… 」
セロフィート
「 確たしかに損そんをしている様ように聞きこえたでしょうけど、損そんはしてません 」