オレはウェイターが教えてくれた様に薄い生地のヤンを広げた。
ヤンの上に野菜を載せた後、ケバムフの肉ウインナーを載せて、くるんと巻いて食べる。
確かに此の食べ方だと卑猥には見えないと思う。
まぁ、口を開けて食べてるだけで──とか、カップに口を付けて飲んでるだけなのに何故だか卑猥に見えちゃう人は居ますけどね!
オレと向かい合って、目の前で輪切りのケバムフの肉ウインナーを完璧なテーブルマナーを披露して食べてる訳だけど……。
モモスマンブのロースト煮込みは、オレが取り皿に入れてからセロに渡している。
柔らかいローストは口の中に入れるとホロホロと崩れて食べ易い。
癖になりそうな味付けだ。
料理に舌鼓を打ってる最中にセロが注文していたマルカタニ炒め,ホウホソウの和え物,キャピラの包み焼き,ボルチッドの4品が運ばれて来た。
マルカタニ炒めは、ダタネモの脂身で炒められていて、ケプの皮に巻いて食べる料理らしい。
ホウホソウの和え物は、ピリッと辛味があって、ケリラ油を加えるとマイルドになって食べ易くなるみたいだ。
キャピラの包み焼きは、ホホロン鳥の胸肉と薬味になる山菜と一緒にパイ生地に包んだ料理らしい。
ボルチッドは、グツグツと煮詰まってる真っ赤なスープだ。
見た目からして辛そうで、好みで辛さを選ぶ事が出来るらしい。
エニス油と溶いた卵を絡めた麺を付けて食べるらしい。
麺には辛味の強いヤッザの粉末とフブダチの粉末をふんだんに練り込まれているらしい。
辛いモノ好きが、お酒の肴に単品で頼んだりする自家製麺なんだとか。
セロは辛いのが好きなのかな?
ボルチッド、オレも一口だけ挑戦してみようかな??
セロとの夕食は楽しい。
──ハッ!!
食事を楽しんでるばっかじゃ駄目だった!!
オレはセロに確かめないといけない事がある。
セロが何をして18時迄過ごしていたのかだ。
マオ
「 ──なぁ、セロぉ。
オレが寝てる間、何をしてたんだ? 」
セロフィート
「 何故です? 」
マオ
「 気になるじゃんか。
大好きな読書三昧でもしてたのか? 」
セロフィート
「 《 創造主の館 》で読書はしてました 」
マオ
「 《 創造主の館 》は時間の流れが遅いもんな〜〜 」
セロフィート
「 〈 合成獣 〉の様子も見て回りました 」
マオ
「 〈 合成獣 〉は元気だったの? 」
セロフィート
「 相変わらずパワフルで、元気に走り回ってました 」
マオ
「 そ…そうなんだ?? 」
セロフィート
「 後は遊戯室や食堂で詩歌を歌ってました 」
マオ
「 へ?
詩歌を歌ってたのか?? 」
セロフィート
「 歌い手歓迎の宿屋ですし。
吟ぎん遊ゆう詩し人じんらしい事ことをしてみました 」
マオ
「 そう言いえば、詩しい歌かの本ほんを読よんでたもんな…。
1曲きょく1万まんUユロで歌うたったのか? 」
セロフィート
「 《 蝶ちょう華か街がい 》ではないですし、歌うた代だいは請せい求きゅうしてません 」
マオ
「 えぇっ?!
マジかよ!
{ だって──、セロは超ちょうの付つく吟ぎん遊ゆう詩し人じんだろ!
なのにタダで歌うたってたのかよ?
サービスし過すぎじゃないのかよ? }」
セロフィート
「{ 詩しい歌かで “ ガッポリ ” する必ひつ要ようもないですし }」
マオ
「 そうだろうけど……。
{ 稼かせぐ為ために歌うたわない吟ぎん遊ゆう詩し人じんって、≪ アレンカルダ大たい陸りく ≫中じゅう探さがしてもセロぐらいだろうな…… }」
セロフィート
「 そうかも知しれません。
{ ──新あたらしい手て品じなを考かんがえたので、 “ ガッポリ ” しときました♪ }」
マオ
「 はぁあ??
手て品じなしたのか?? 」
セロフィート
「 はい♪
宿しゅく泊はく客きゃくや詩しい歌かを聞ききに来きてくれたお客きゃくに喜よろんでもらえました 」
マオ
「 へ、へぇ……。
因ちなみにさ、どんな手て品じなを披ひ露ろうしたんだ? 」
セロフィート
「 おや?
気きになっちゃいます? 」
マオ
「 …………酔よってないよな?? 」
セロフィート
「 はい?
酔よう訳わけないでしょう 」
マオ
「 ……ですよね… 」
セロフィート
「 種タネも仕し掛かけもない、食しょく堂どうで使つかわれているまな板いたと透とう明めいなケースと風ふ呂ろ敷しきを貸かして貰もらいしました 」
マオ
「 へぇ…?
手て品じなに使つかう道どう具ぐは、セロが用よう意いしてないんだ? 」
セロフィート
「 手てぶらでしたし 」