マオ
「 ………………うぅん…………セぇ…ロぉ〜〜〜…… 」
マオの寝言に返事はない。
セロフィートに熟睡魔法を掛けられているマオは、ベッドの中でモゾモゾと寝返りを打ちながら眠り続けていた。
何度目かの寝言を呟いたの後、壁に掛けられている時計が音を鳴らす。
4回目の音が鳴り止むと、宿泊室はシーン……と静まり返っていた。
音がすると言えば、雨音だろうか。
シトシト…と小降りの雨音ではなく、ザァーザァーと強い大降りの雨音だった。
遠くの方の空では、ゴロゴロ…と音が鳴っている。
マオがセロフィートとデートする予定でいた木曜日は、デート日和ではなく、生憎の天気だった。
マオは何も知らずにベッドの中で眠りこけている。
──*──*──*── 1時間後
時計から5回目の音が鳴り止んだ後、マオに掛けられていた熟睡魔法が解けた。
暫くして、マオはベッドの中で目を覚ます。
モゾモゾとベッドの中で動いていると自分以外誰も居ない事に気付いた。
マオ
「( …………セロが居ない?? )
……オレを放って本でも読んでるのか?? )
──セぇ〜ロぉ〜〜〜…… 」
ベッドの中でモゾモゾしながらオレは、セロの名前を呼んだ。
だけど、何れだけ待ってもセロからの返事はなくて……。
何度も何度も馬鹿みたいにセロの名前を呼んだけど、セロは返事をしてくれない。
オレより本の方が大事なのかよっ!!
セロらしいって言えば、セロらしいけどさ!
仕方無いからオレはベッドから出る事にした。
本当はセロに優しく起こしてもらいたかったんだ。
「 マオだけのセロフィートです 」って言いながら、髪を撫でてほしかった。
結局だ…、オレの想いは一方通行なんだよな……。
昨日はさ 、結けっ構こうイイ感かんじのデートが出で来きたんじゃないかって思おもったんだ。
セロと距きょ離りが縮ちぢまったんじゃないかって……期き待たいしてたんだけどなぁ……。
セロは相あい変かわらずかよぉ〜〜〜。
時と計けいが5回かい鳴なってたから、今いまは多た分ぶん5時じじゃないかな。
起おきたら温おん泉せんに入はいって、身み支じ度たくを整ととのえたら、朝あさ食げモニングを食たべて、デートで失しっ敗ぱいしない様ように確しっかりとデートプランを見み直なおして、頭あたまに叩たたき込こむんだ。
今日きょうはセロと一いっ緒しょに温おん泉せんに入はいりたい!!
ベッドから顔かおを出だしたオレは、室しつ内ないに誰だれも居いない事ことに気き付づいた。
セロは居いなかった。
何ど処こに居いるんだよ!!
若もしかして……温おん泉せんに入はいってるとか?
たくっ……、温おん泉せんに入はいるなら、オレを起おこしてくれたらいいのに!!
掛かけ布団ぶとんを捲めくると、オレは素すっ裸ぱだかだった。
若もしかして……オレが寝ねちゃった後あとに、セロがオレに『 いいこと 』してたのか??
だって、起おきたら素すっ裸ぱだかになってる時ときは、大だい体たいが『 いいこと 』をした後あとだからだ。
そうじゃない時ときも偶たまにはあるけど……。
セロの奴やつ──、オレに何なにしてくれたんだろう??
もうっ(////)
起おこしてくれたらいいのにっ!!
ベッドの隣となりにはサイドテーブルがあって、上うえには丁てい寧ねいに折おり畳たたまれたバスローブが置おかれていた。
オレの為ためにセロが置おいてくれてるバスローブに腕うでを通とおして羽は織おったら、セロが入はいってるかも知しれない温おん泉せんへ直ちょっ行こうする事ことにした。
スライドするドアの取とっ手てを握にぎったら、ドアをスライドさせて洗せん面めん脱だつ衣い室しつへ入はいった。