✔ １．食堂 ４ 〜 美味しい夕飯 ４ 〜
マオ
「 ≪ アレンカルダ大陸 ≫の宗教は〈 アレンカルダ教 〉じゃなくて、言霊信仰なんだ？ 」
セロフィート
「 〈 大陸神アレンカルダ 〉を中心にしてますし、良いのではないです？
教えの内容が正しいとは限りませんけど 」
マオ
「 …………〈 皇 〉が不在だから、本統に正しい宗教を學べないんだもんな… 」
セロフィート
「 そういう事です。
随分と大地も荒れ果て所々が枯渇してます。
≪ エルゼシア大陸 ≫よりも〈 皇 〉の不在が長い証拠です 」
マオ
「 じゃあ、≪ アレンカルダ大陸 ≫の今の状態が≪ エルゼシア大陸 ≫の未来の状態って事？ 」
セロフィート
「 似た様な状態にはなりますね 」
マオ
「 そんな……。
なぁ、セロ…、≪ アレンカルダ大陸 ≫の〈 皇 〉は何処に居るんだ？
生まれてるのか？ 」
セロフィート
「 生まれてはいますけど、〈 皇 〉に立つのは難しい状況でしょうね 」
マオ
「 どゆこと？？ 」
セロフィート
「 魂の輝きが消え様としてます 」
マオ
「 えっ……？！
消えそうって…事？ 」
セロフィート
「 そうです。
助けるにしても手遅れです 」
マオ
「 手遅れ……。
何処に居るのか判らないのか？ 」
セロフィート
「 判る訳ないでしょう。
古代魔法は万能ではないです。
魂の輝きを感じる事は出来ても、人形に〈 皇 〉が何処の誰に生まれ変わっているのか判りません。
何処で何をしているのか、どんな目に遭っているのか判りません。
探し出す事も出来ません。
抑、人形が〈 皇 〉となる前の者と接触する事事態が先ず有り得ません。
マオとワタシの出会いは稀な事です。
１億年に１回あるか，ないかの確率です 」
マオ
「 そう…なの？？ 」
セロフィート
「 今回も≪ アレンカルダ大陸 ≫に〈 皇 〉は立たないでしょう。
残念な事ですけど、諦めなさい 」
マオ
「 そんな…… 」
セロフィート
「 〈 皇 〉が再び大陸の持ち主となる事は決して簡単な事ではないです。
陸民達の手で直接処刑されるのは、お約束ですし 」
マオ
「 そう…なの？？ 」
セロフィート
「 〈 皇 〉だった頃からの記憶が残っている分、辛いでしょうね 」
マオ
「 記憶が残ってる？？
〈 皇 〉だった時の事を覚えてるのか？ 」
セロフィート
「 勿論です。
〈 皇 〉だった頃の記憶，生まれ変わって死ぬ迄の記憶、全てを覚えてます。
彼等は生まれ変わる度に〈 皇 〉となる為に何度でも奮闘します。
何度失敗しても〈 皇 〉となる為に決して諦めません。
大陸の為、陸民達の為に── 」
マオ
「 …………オレは覚えてないよ。
オレには記憶が無い…。
オレは…オカシイのか？？
オレは本当に〈 皇 〉なの？？
大陸の為とか、陸民達の為とか、全然思わないのに…… 」
セロフィート
「 稀な事です。
マオが初めてではないですし、気にする事でもないです。
〈 皇 〉になる気はないのでしょう？
ならば問題ないです 」
マオ
「 うん…… 」
セロフィート
「 ──マオ、串揚げが来ました 」
マオ
「 う、うん… 」
従業員が串揚げを丸盆に載せて運んで来てくれた。
大食い大会のチラシも持って来てくれた。
チーズでディップした串揚げは文句なしに美味しかった。
だけど、オレは……今にも魂の輝きが消えかけてる〈 皇 〉── になる前のだけど ──の事が気になっていた。
助けられない？？
手遅れ？？
今回も≪ アレンカルダ大陸 ≫に〈 皇 〉は立たない──。
残念だけど、諦めろ？？
だって、未だ生きてるんだろ？！
生きてるなら、助けられるんじゃないのか？
諦める必要だってないと思う。
早く助けられれば、手遅れにだってならないよな？
≪ アレンカルダ大陸 ≫は≪ エルゼシア大陸 ≫よりも広大らしい。
≪ エルゼシア大陸 ≫が４つ分あるって、セロが言ってた。
そんな広大な≪ アレンカルダ大陸 ≫から見付け出すのは難しいのかも知れない。
