──*──*──*── セロッタ・ミュージアム
──*──*──*── 会場
時刻は18時50分。
プラネタリウムの放映が始まるのは10分後だ。
プラネタリウムの会場になってるのは、芝生広場,ピクニック広場,アスレチック広場だけど、今は昼間の様な面影は皆無だった。
其も其の筈で、会場はプラネタリウムを観賞するお客達が座れる様にと椅子が出ているからだ。
沢山用意されている椅子は満員御礼で満席だ。
スタッフが椅子を並べて用意したんじゃなくて、魔法陣が発動して一瞬の内に椅子が現れる様になってるらしい。
広場の隔たりとなっていた改札口もなくなっていて、3つに分かれていた広場は1つの広い会場に変わっていた。
本当に魔法は使い様だな。
セロは椅子に座っているけど、オレはと言うと……。
オレも初めは椅子に座っていたんだけど、セロが自分の膝を軽く叩いて、「 マオ、此処に座ってください 」ってオレに膝の上に座る様に促して来た。
…………だから、今のオレは椅子じゃなくて、セロの両膝を椅子代わりにして座ってる訳で…(////)
座り心地は椅子より断然好くて…(////)
オレの背中はセロの胸に預けてる状態になっていて、セロの両手はオレの身体が落ちない様に、オレのお腹の前で組まれている。
何でセロはオレを膝の上に座らせたがるんだろう?
オレは嬉しいんだけど…(////)
此の状態ってデートでしないよな?
親子しかしないんじゃないのか??
他の人からは親子に見えてるんじゃないのか??
19時になると「 皆〜〜、お待ちかねのプラネタリウムを開始するよ〜〜 」って、セロカ君の声を合図にしてプラネタリウムが始まった。
オレは星空を見るのは好きだけど、星座の種類とか星座の物語とか星座神話とかに関しては、さっぱりだ。
はっきり言って興味もない。
多分、物語の最中に睡魔に襲われて、其のまま爆睡しちゃうんじゃないかとすら思う。
だけど、爆睡しちゃうかも知れないオレは、 “ 微塵も悪くない ” って思ってる。
だって、そうだろ?
誰も睡魔の誘惑には敵わないんだからさ!
睡魔に襲われて夢の世界へダイブする事は、 “ デート中にも良くある事だ ” って事をトイチが言っていた。
正常な人間だったら、誰にでも起こりうる定番中の定番なチャンスミステイクだって!
だから、デート中に寝ちゃった相手を責めたり、怒ったりしたらいけないんだ。
オレはトイチから “ デートのマル秘攻略戦法 ” ってのを聞いた事がある。
真っ暗な部屋で大きなスクリーンで映像を見る映画館デートって言うのが、男にとってチャンスが舞い降りるシチュエーションを提供してくれる場所なんだって、言ってた。
真っ暗で…スクリーンじゃないけど天井に映像が見えてる状態は、話に聞いた映画館と状況が被ってるんじゃないかと思う。
計画通り──ってヤツだ。
後は観賞する映像が睡魔を呼び寄せ易い如何にも眠たくなる様な詰まらなくて退屈な内容の物語である事だ。
うん、此も計画通りだ!
観賞中に相手の腰に手を回したり、肩に腕を回したり、手を貝繋つなぎをしたりして、其それらしくムードある雰ふん囲い気き作づくりをするらしい。
…………此これに関かんしては、セロとオレの状じょう態たいがトイチから聞きいた状じょう況ほうと当あてはまるかと言いうと…………微び妙みょうなんだよなぁ……。
オレはセロの両りょう膝ひざの上ううに座すわってて、抱だっこされてる訳わけだし。
ムードある雰ふん囲い気きは何ど処こへやら、完かん全ぜんに遠とおざかってる!!
ムードある雰ふん囲い気きは期き待たい出で来きそうもない。