♥ エレファント・ザ・リッパー事件 2
然もだ、御丁寧に「 ダイイング・メッセージ 」を「 ダイニング・メッセージ 」と言い間違えてくれている。
阿呆だと思った。
誰だって思うだろう?
名探偵と名乗っているにも関かわらず、「 ダイイング・メッセージ 」を「 ダイニング・メッセージ 」と言い間違えているのだ。
ドヤ顔で堂々としているのだから、救い様のない阿呆ボンではないだろうか?
素なのか、態となのかは分からないが、明らかに其の場に居る警察官,捜査官の全員が、セロッタ・ホームスを「 コイツ、阿呆や 」だの「 駄目や、コイツ 」と思ったに違いない。
セロッタ・ホームスのデタラメでチンプンカンプンな推理が進む中、捜査も愈々手詰まり状態となった頃、口を開いたセロッタ・ホームスは「 此は密室殺人です。密室ですけど、目撃者は居ます 」と言った。
いやいやいや、密室て──、何ですか??
目撃者は確かに居ますけどね!?
密室は関係無いですよ!
だって、 “ エレファント・ザ・リッパー事件 ” は全て外で起きてるんですからね!!
被害者の娼婦は、外で殺害されてるんですから、密室殺人はおかしいですよ!!
警察官,捜査官の全員が心の中で思ったが、誰も何も言えない。
セロッタ・ホームスがドヤ顔で、妙に自信満々に発言してくれているからだ。
一体何処から、そんな自信が出て来るのだろうか??
マオ・ワトスン少年もセロッタ・ホームスの言葉を聞いて、戸惑っており、困惑している様だ。
そりゃ、当然だろう。
マオ・ワトスン少年は至って正しい反応をしているのだ。
其に引き換え、セロッタ・ホームスは、とんでもない “ 迷探偵 ” ぶりを発揮しては、助手すらも困惑させるばかりの危険な電波野郎だった。
デタラメでチンプンカンプンな意味不明の推理を繰り広げ、警察官,捜査官を散々振り回して弄んでいるにも関わらず、セロッタ・ホームスには悪びれる様子が全く以て皆無だった。
至って温厚な警察官,捜査官の堪忍袋も限界に達し、そろそろガチマジで切れ掛かった頃、迷宮入りの未解決事件の仲間入りとなる筈だった “ エレファント・ザ・リッパー事件 ” は誰も予想しない様な意外過ぎる展開を迎え、呆気なく解決した。
そう、 “ エレファント・ザ・リッパー事件 ” は解決したのだ。
犯人達は逮捕され、≪ 街 ≫は長い長い恐怖から解放され、安息の日々を取り戻せたのだ。
“ エレファント・ザ・リッパー事件 ” を解決に導いたのは、優秀で有能な警察官,捜査官ではなく、名高い名探偵達でもなく、事もあろうに “ 自称 ” 名探偵のセロッタ・ホームスだった。
何とセロッタ・ホームスは “ エレファント・ザ・リッパー事件 ” を解決させる為に、態と警察官,捜査官の足を引っ張り、振り回し、デタラメでチンプンカンプンな推理を披露して、全員が呆れて落胆する様な “ 阿呆過ぎる迷探偵 ” を敢えて演じていたそうだ。
此にはマオ・ワトスン少年も驚いており、真相を知らされたマオ・ワトスン少年は、本気でセロッタ・ホームスを怒っていた。
マオ・ワトスン少年の怒る気持ちは良く分かる。
自分達もセロッタ・ホームスの被害者なのだから。
幾ら犯人達を油断させる為とは言え、やり過ぎにも程があると思うのだ。
セロッタ・ホームスの迷惑行為オンパレードだった今回の “ エレファント・ザ・リッパー事件 ” は、やり過ぎの限界を明らかに突破していたに違いない。
ところで、何処か気になる部分がなかっただろうか?
実は “ エレファント・ザ・リッパー事件 ” の犯人である『 EReFaNNTu・MaNN 』なる人物は、単独犯ではなく、複数名居たのである。
「 犯人は殺殺現場に現れる 」や「 現場検証100回 」を理由としたセロッタ・ホームスは「 連続殺人犯は、捜査官の中に紛れ込んでいる 」と判断したそうだ。




